17話 終業式
7月24日(金曜日)―――
蒸し風呂のような体育館では長い長い校長先生の話が続いていた。
汗を浮かべながら立ち並ぶ生徒たち。その中に萌絵の姿はなかった。
進路の件で早朝に登校した優子が言うには、教務室に萌絵が入って行くところを見たと言う。しかしその後彼女を見た者はいないようだ。
彼女は
そう言えば教頭先生の姿も見えない。教頭先生が終業式に顔を出さないなんて、これまた異例だろう。もしかしたら萌絵の『自白』を受けて、学校としてどうもみ消すか算段をしているのかもしれない。
友人の犯行、そして相も変わらぬ学校の隠蔽体質。
一応の決着は迎えたが、今回の事件も『キュートに解決!』とはほど遠いものだった。
校長先生の話はまだ続いている。
夏休みの過ごし方について。進学組はココが正念場だ、羽目を外さないように、計画的に過ごすこと、云々。
小学校の頃から基本的に先生の言う事は変らない。
先生独自の思想を延々と喋り続けるか、はたまた決められた原稿を同じように読んでいるか。きっと来年の生徒もまたその次の生徒も、同じことを聞かされるのだろう。私たち子供は一週間単位で変化しているのに。
でもこの苦行を乗り越えれば明日からは夏休みだ。
約一ヶ月の自由な時間。
『魔法学校・最後の戦い』は封切り当日に見に行く予定だし、『キャラクターランド』の期日指定パスも早めに発券しておかなければ。
そして・・・。
―――あの誘い、凛花はどうするつもりなのかな・・・。
私の耳に盛りを迎えたセミの鳴き声が降りしきるように響いていた。
――― File.2 名探偵 初めてのスランプに困惑する 解決!?
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