第3章 解説編はバーガーを食べながら

14話 モグモグバーガー駅前店①


 本屋を後にした私たちは駅前のモグモグバーガーに来ていた。やっぱり解決編はポテトをドリンクで流し込みながら、と言うのが最高のシチュエーションだ。


 一階で注文を終えると、番号札を持って二階席に移動。駅前にあるこの店舗は、数あるモグモグチェーンの中でも大きな方なのだろう、二階席だけでも五十席以上はありそうだ。


 私たちは夕陽が差し込む窓際の席を確保する。窓からは下校中の学生に混じって、家路を急ぐ会社員の姿もチラホラ見える。テーブルにスマホを置くと私は早速凛花に聞いてみた。


「ねえ凛花。今回の一件だけど、あなたには全部解ったのよね?」

「ああ。まあ、多分な」


 私も途中まではある程度推理していた。だがどこかで調子が狂って来たのだ。


「じゃあ、今回はオレが探偵役をすっかな。玲ご自慢の『桃色ももいろ脳細胞のうさいぼう』は一足先に夏休みに入ったようだし」

「ん? ちょっと、なによソレ?」

「だってそうだろ、オッサンだから灰色、で玲はJKだからピンク」


 きっとかの有名なベルギーの名探偵にあやかっているつもりなのだろう。それにしたって桃色て!


「な、なかなか良いキャッチフレーズだろ?」私の顔を覗き込むように、得意げな顔でニヤリと笑う凛花。


―――オヤジ言葉使ったり厨二病発症したり、あなたも忙しいわね。


 そんな彼女に対し、あえて愛想無く答える。


「上手いこと言ったつもりだろうけど遠慮させてもらうわ」

「なんでだよ」

「だって『ピンクの脳細胞』なんて頭の中、お花畑みたいじゃない。それにいつもそっちのことばかり考えているみたいだし」

「そっち? そっちとは・・・どっち?」

「もう! どうでも良いわよそんなこと!」


 そう、今はそんなことはどーでも良い。

 でもまあ、今回は不調の私に代わって凛花から探偵役になってもらい、ことのあらましを解説してもらおう。


「じゃあさ、凛花の推理を教えてくれる?」

「オッケー! でもそれよりまずはハラごしらえだな。ハラが減ってはイクサはできねえし」そう言うとちょうど良いタイミングでバイブした番号札を持って、一階までバーガーを取りに行く。


―――相変わらず凛花の言う事ってどこかオッサン臭いのよね。

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