8話 張り込み
放課後、私は凛花と一緒に生徒玄関まで来ていた。
今日も凛花はバイト、私は祖父のお見舞いに行かなくてはならない。
生徒玄関を出ると自転車小屋に佇むむさ苦しい男子を発見。太刀川だ。例によって隣には真冬君を従えている。
「チッ! 太刀川のヤツ、アレで張り込んでいるつもりか?」
「そうね、犯人がアレを見たら何もしないで逃げ出すだろうね」
張り込みと言うからは、物陰にでも隠れて犯行現場を取り押さえるつもりかと思いきや、アレじゃあ単に自転車小屋の番人をしているだけだ。まあ、それで犯行が防げるなら結果オーライなのかもしれないが。
「暑いのにご苦労なことだぜ、もうサドルは盗られないのによ」
「ん? どう言うこと?」
ちょうどそこに私の乗るバスがやって来た。バスを待ちながら駄弁っていた様子の優子と萌絵も一緒にバスに乗り込んで行く。凛花はバイト先まで徒歩だから今日はここでお別れだ。
「じゃあまたな、玲!」
「あ、うん。バイト頑張ってね!」
凛花の背中を見送ると、私も優子たちを追ってバスに乗り込んだ。
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