第4回「浮浪者」
定まった住居や職業を持たず、あちこちさまよい歩く者。浮浪人。ルンペン。
第4回にして少し扱いにくい単語が出てしまった。
中学の校外学習で、同じ班の女子が公園で寝ている浮浪者を見て、「ホームレスキモい」と言った。何の問題言動も起こさない普通の女子だという印象があったので、自分よりはるかに年上の男性を虫か何かのように扱ったのは
衣食住の揃った生活をしている人が大多数のこの国において、公共の場に居座る不清潔な浮浪者は、人間扱いされないのかもしれない。しかし、彼らには彼らの事情があるのである。心身の病気で仕事ができないのかもしれないし、事故や詐欺に遭って財産を失ったのかもしれない。いずれにせよ、不運な人々であるのは間違いない。自分は絶対に次元の違う人間だと決めつけて、浮浪者に対して差別的な言動を取ることは、あってはならない。
とはいえ、正直に言えば彼らを疎ましく思う気持ちも分かる。
新宿に行くときは、大ガード下にいる彼らを見たくなくて、あそこを通らないようにしている。友人といるときは特にだ。人は、目に入ったものを何気なく話題にしがちだが、彼らについて触れるのは当然憚られる。しかし、見て見ぬふりをして友人との空気が微妙になるのも苦しい。
そういえば、渋谷の往来で正座をしていた物乞いの男性を、数か月後の池袋でまた見たことがある。そのときは妙に感慨を覚えたものだが、物乞いをするなら目立つところでないと意味がないから、よく考えたら別に奇跡でもない。
また、ブラジルのホームレスの男性が美容院に行き容姿が一変したニュースは印象的だった。ニュースを見た彼の姉が10年ぶりに会いに行き、保護を申し出たが、彼は世間のしがらみを嫌ってその後も路上生活を続けているという。自ら浮浪者を選ぶ人もいるのである。
『西成ルポ』は前から読みたいと思っている。浮浪者には浮浪者の社会やしきたりがあるわけで、それを知りたい。
ちなみに、ルンペンとはドイツ語Lumpen「
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