第2回「財宝」
財産や宝物。財産となる価値の高い物品。宝物。「金銀―」
(『デジタル大辞泉』)
小学生のころ、親に連れられて行ったバザーセールで、ギラギラと輝く金色のネックレスや指輪が詰まった箱を見つけて買ってもらったことがある。売値は覚えていないが、親が買ってくれた以上オモチャ同然だったろう。当時の私にはそれが凄まじい価値を持つものに思えて、何年も大事に保管していたのだが、今やどこに行ってしまったのか全く分からない。親が勝手に捨ててしまったかもしれない。
私の場合、「財」という語からは金銭や不動産といった財産全般を想起し、「富」とほぼ同義だと感じる。一方、「宝」だと、「宝の持ち腐れ」という慣用句では資質や能力など無形物もを示し、「この子は我が家の宝」などの言い回しでは生物を指している。この類語二つが組み合わさった「財宝」だと、例にあるように実物的な金銀財宝をイメージする。
そもそも、財宝はなぜ財宝たりえるのだろうか。私は、以下の二点だと思う。貴重であることと、美しいと感じる人が多いこと。財宝のほとんどは、それ単体には実質的な価値はほとんどない。莫大な価値を持つものとして、石油や土地などとはそこが違う。
財宝は、古来から権力者の象徴となってきた。権力者は見た目が重要であるし、貴重なものを身に付けていること自体がステータスになる。財宝は、そのものが権力の象徴なのかもしれない。
また、Netflixで視聴できるオムニバスSFアニメ『ラブ・デス・ロボット』の『彼女の声』は素晴らしかった。『スパイダーマン:スパイダーバース』にもかかわったアルベルト ・ミエルゴ氏の作品で、私が知っているCGアニメーションの中で最も写実的だ。金銀財宝を鱗のごとく身に付けている妖怪のような女と、それに心を奪われた兵士の物語である。
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