第106話 飯テロ配信と〈神匠〉の可能性
〝うおおおおおおおお!?〟
〝肉が消えてないですわ!?〟
〝マジでユニークの制限超えたのかお嬢様!?〟
〝めっっちゃ瑞々しくて綺麗な挽肉で焼く前から美味そうなんですけど!?〟
〝あかんこれマジでハンバーグ作るぞ!?〟
〝飯テロに備えてコンビニにダッシュですわー!?〟
〝え、これマジでユニークの制限超えた!?〟
下層以降の肉は大雑把に切って焼くという原始的な調理しかできないという〈ぱくぱくもぐもぐ〉の制限。
カリンの加工スキルがその制限を超えたことで、視聴者たちがどよめきの声をあげていた。
しかしそんななか最もテンションが上がっているのは視聴者ではなく――、
「うおおおおおおおお!? マジで妾のユニークスキルの制限が突破できたのじゃああああああああ!? マジでどうなっとんじゃお主!?」
シャリーさん14歳ことアフリカ統一ダンジョン女王。
長年どうにもならなかった自らのユニークスキルの制限が突破され、本気の歓声をあげる。
「やりましたわー! この調子でいけば最強ハンバーグがガチで作れそうですの! 実は〈神匠〉の謎お排泄物仕様で〈神匠〉製の加工道具を使った通常スキル製装備もほかの方は使えなかったりするんですけど……このお肉はもとが特殊なおかげか事前の直感どおりシャリー様も食べられる感じですし!」
そしてユニーク制限の突破という偉業を成し遂げたカリンもまた目を輝かせて成功を喜んでいた。目は相変わらずの肉状態。しかし決して冷静さを失っているわけではなく、
「ただ視た感じ、このあとの工程もしっかり加工スキルを使わないと調理できないっぽいですわね……! 集中して作業しますので、引き続き護衛よろしくお願いいたしますわシャリー様!」
「うむ! 了解なのじゃ!」
そしてカリンは先ほど巨大ミートミンサーを作り出した要領で、〈神匠〉製の魔法フードプロセッサーや魔法フライパンを次々と生成。
「今回はあんまり準備もないことですし、お肉本来の旨味をがっつり味わえる繋ぎほぼゼロの熊肉100%ハンバーグにしていきますわ!」
プロセッサーのなかに挽肉を放り込み、さらにはアイテムボックスから取り出した塩コショウを投入。肉をまとめるには塩で粘りを出すだけで十分という100%肉の旨味を楽しむ本場スタイルを採用し、加工スキルを発動しながら肉を練りまくる。
〝!?〟
〝アイテムボックスから調味料出てきておハーブ〟
〝なんか当然のように取り出してるけどおかしいだろ!?〟
〝これアイテムボックスの容量無駄に消費してない!?〟
〝カリンお嬢様!? なんでアイテムボックスから塩コショウが出てきますの!?〟
カリンが当然のように取り出した各種調味料にコメント欄がツッコミで埋まる。
するとカリンは作業を継続しつつ、
「あー、これはアレですの。アイテムボックスに入れておくと調味料が湿気ったりしないので常に入れてるんですのよ。今日は入ってなかったですけど普段はパンも入ってたり。あと時間が流れないボックス内では投げ売りされてる当日賞味期限の品なんかも買い溜めして長期保存しておけるので、とっても節約に便利なんですのよ。あ、ちなみにその投げ売りでゲットして大切に大切に使ってきたソースがこちらですわ! ハンバーグが出来上がったらこれをかけていただきたいですわね!」
〝クッッッッソ贅沢なアイテムボックスの使い方でおハーブ枯れる〟
〝そんな微々たる節約のために推定数千億の価値あるアイテムが使われてんの新手の尊厳破壊だろ!〟
〝国宝級の聖剣をかまぼこ切るのに使うレベルの暴挙!〟
〝いやでもこの贅沢すぎる使い方は逆にめっちゃお嬢様キャラっぽいのでは???(錯乱)〟
〝てかソースの賞味期限が半年前なんだが!?〟
〝70%オフのシール貼ったままで草〟
〝お嬢様キャラが取り出していい品じゃねーですわよこれ!〟
〝没落貴族かな?〟
〝(あれこれ地味に半年前には既にアイテムボックスゲットしてたってことに……?)〟
あんまりなアイテムボックスの使い方にツッコミが入りまくるが、そのあたりの書き込みはもうカリンの目に入っていなかった。
挽肉を作ったときもそうだったが……そのあとの調理にも思いのほか集中力が必要だったからだ。
「むむむ……やはりというかなんというか、なかなか難易度が高くてこの調理はそう簡単に加工過程を飛ばしたりできませんわね」
加工スキルを発動しながらフードプロセッサーを回すカリンが真剣な表情で呟く。
「ユニークスキルの制限突破。さらには普段と勝手の違うお料理系の加工でかなり手こずりますわね。……でもこれ、なんだかいままでとまったく違う方向性の作業に〈神匠〉を含めた加工スキル全般の理解がさらに深まっていく感覚がありますわ……! いろんな意味でいい手応えですの!」
〝!?〟
〝なんかお嬢様ヤバいこと呟いてない……?〟
〝おいおいおいおい!〟
〝これまさかお嬢様のお稽古になってねぇか!?〟
〝ハンバーグ作りで成長するお嬢様!〟
〝ハンバーグ作って成長するお嬢様ってなんだよ!?〟
〝変なミーム生まれそうな字面で草〟
〝視聴者の9割はお嬢様の恐ろしい発言に気を取られて画面外でシャリー様が深層モンスター虐殺してる音に気づかない〟
そうして視聴者たちが少々ビビり散らすなか――作業は順調に進行。
塩を混ぜて練ることで粘りの出た挽肉を成形。
魔力を通すことで熱を発するマグマタートル製の大きなフライパンに、トロルグリズリーから切り取った脂身を投入。動作確認がてら熱を通せば黄金に輝かんばかりの上質な油が染みだして……、
「じゃ、じゃあ……焼きますわよ!」
「う、うむ!」
加工スキルを発動しつつ、カリンがハンバーグの種を熱々のフライパンに投入した。
ジュワアアアアアアアアアアアッ
〝あー! あー!〟
〝お嬢様!! 困ります!! いけませんお嬢様!! あーっ!!〟
〝この音だけでお茶碗3杯いけますわよおおおおお!?〟
〝めっっっっちゃ美味そう〟
〝てかお嬢様加工スキル云々抜きに調理の手際いいですわね!?〟
〝コスプレ衣装作るくらい手先器用で自炊もしてるっぽいですものね〟
〝とことん根が庶民だなこのお嬢様〟
〝2人とも焼ける肉ガン見でおハーブ〟
〝わたくしたちと違って肉の焼ける匂いもしてるだろうからさもありなんですわ……〟
〝邪魔すんなとばかり肉ガン見しながら片手間で深層モンスターぶっ殺してるの怖すぎて草〟
極上の肉が焼ける匂いと音が深層に木霊する。
それに食欲を刺激されまくったカリンとシャリーはもはやそれしか目に入ってないとばかりに(邪魔しにくるトロルグリズリーをぶっ飛ばしつつ)肉の様子を見守る。
そしてカリンが加工スキルを発動し続けること数分、
「できましたわー!」
「うおおおおおおおお! マジで出来上がったのじゃあああ!? めっちゃ美味そうなのじゃあああああ!」
感知スキルで火が通ったことを確認したカリンは、ちょっと雑だがダンジョン壁から作り上げた皿にハンバーグを盛り付ける。ただそれは普通にハンバーグを皿に移しただけではなく、
「ふぉおおおお! 子供の頃から夢だったパンケーキタワーならぬ五段重ねハンバーグですわあああああ!」
ででん!
積み上げられてじゅーじゅーと音を立てるハンバーグに、カリンが歓声をあげた。
〝バカの料理で草〟
〝男子小学生の発想でおハーブ〟
〝お嬢様さっきから食欲に目が眩んでお優雅忘れてませんこと!?〟
〝なんでやパンケーキ重ねるのがオシャレならこっちもオシャレやろ!〟
〝ハンバーグでやるとなんでこんなに絵面のIQが下がるんだ……〟
〝てかいまさらだけどハンバーグ1個1個がでけぇ!〟
〝ウマ娘かな?〟
〝いやでもこれめっっっちゃ美味そうだぞ!?〟
カリンのアレな盛り付けに総突っ込みが入る。
が、
「そ、それでは……」
これまたダンジョン壁から「とりあえず今日の所はこれで」で雑に作った2本のナイフでカリンが五段重ねハンバーグを切りわけた途端――、
〝あ〟
〝うわ〟
〝これあかん〟
〝おああああああああああああ!?(英語)〟
〝あーダメダメ美味しそうすぎます〟
溢れ出した肉汁に、誰もが語彙力を喪失していた。
最上級の旨味が凝縮された黄金の雫。
ただ焼くだけでは垂れ流しになってしまう旨味の詰まった肉汁が皿に流れだし、文字通りこの世のものとは思えないほど食欲を刺激してくる。
そして画面越しの視聴者さえ語彙力を失うほどなのだから、匂いまで直に感じている2人が感じる食欲への刺激はさらに数段上であり、
「……! いただきますですわ……!」
「……! いただきますなのじゃ……!」
もはや吸い寄せられるように、ろくに切り分けることすらせずハンバーグにかぶりついていた。
途端、
「「~~~~~~っ!」」
悶絶。
口に放り込むと同時に広がる暴力的な肉の旨味。
野性的な歯ごたえがありながらしかし同時に柔らかく、噛めば噛むほど閉じ込められていた旨味の溢れてくる肉に咀嚼が止まらない。
配信動画なのだからしっかり食レポしたほうがいいのだろう。
だがガツンと本能を殴りつけてくるような肉の旨味に、それどころじゃないとカリンたちはひたすら食べることだけに集中しまくっていた。脇に用意していたソースをかける余裕すらないほどだ。
やがてどうにか食べる以外に口を使えるようになるも、
「――わっはははははは! なんじゃこれ! なんじゃこれ! まさか本当に調理できただけでも信じられんのに、美味すぎじゃろ!」
「これすごいですわこれすごいですわー!」
本当に美味いものを食ったときは笑うしかない。
そんな話が本当だったと、シャリーはともかくカリンははじめて実感しつつ、満面の笑みでそう叫んでいた。
〝うわああああああああああ!?〟
〝カリンお嬢様のパントマイム食レポとめっちゃ美味そうな肉の合わせ技はルールで禁止でしてよ!?〟
〝うまそうすぎるんだが!?〟
〝あああああああああああああああああああ! もう我慢できねぇ! カシュッ!〟
〝缶ビール開けてるやつおって草〟
〝うわああああああああ! マジで飯の用意しとけばよかったああああああ!?〟
〝肉料理の動画視ながらご飯食べてたお嬢様の気持ちがわかっちまいますわあああ!?〟
〝飯テロを超えた飯テロ〟
〝こ、こんな早い時間に飯テロなんて……! なんて卑劣な……!?〟
〝飯テロ警察だ! 俺にも食わせろ!〟
〝こんなの国際法違反でしてよ!?〟
〝@御剣弁護士:飯テロ容疑について弁護するのでちょっと食べさせてほしいですわ!〟
〝御剣たん職権濫用しようとしてておハーブ〟
〝これお腹空かした捕虜への拷問に使えるやろ……〟
〝視聴者様、拷問の時間ですの〟
〝本当にユニークの制限突破したのか? とかどうでもよくなるレベルの飯テロ……!〟
〝てかお嬢様ダンジョン壁で食器作りまくってておハーブ〟
〝ダンジョン壁「お嬢様っていつもそうですね……! 私のことなんだと思ってるんですか!?」〟
〝↑どこでもいくらでも採れる都合のいい汎用素材〟
と最早その食風景だけでちょっとした大騒ぎだったのだが……深層で作りあげた料理の真骨頂はそこからが本番だった。
「……? あれ? なんですのこれ。なんだかさっきお肉を食べたときよりも力が溢れてきますわ!」
流れるように追加のハンバーグを作ろうとしていたカリンがぶんぶんと腕を振る。
その全身には先ほど熊肉の丸焼きを食べたとき以上の魔力が漲っていて……深層肉が調理できたという事実に気を取られていた
「む……!? なんじゃ!? これまさか、普通に焼いて食うだけのときより魔力回復と滋養強壮の効果が上がっとらんか!?」
そう。
カリン自身なんとなくしか把握してないが……加工スキルは魔力の満ちた下層や深層で使用するとその効果や成長速度が上がる。
そしてそれは今回の調理でもしっかり効果を発揮。
深層にて〈神匠〉製の調理器具を使い、シャリーの護衛もあって加工に集中できたカリンの力によって、味だけでなくその魔法効果まで向上していたのである。
〝!?〟
〝は?〟
〝いやおいさすがにそれは嘘やろ?〟
〝ちょっと待てよ〟
〝あかん〟
〝さ、さすがに美味しすぎてそう感じてるだけですよね……?〟
〝い、いやでもなんか確かに画面越しでも明らかに様子が……?〟
〝俺のサイドエフェクトが囁いてるんだが……いや、やめとこ〟
〝サイエフェ兄貴!?〟
〝ちょっと! そこまで言ったなら最後まで言ってくださいます!?〟
〝お、おいこれ本気でヤバいのでは?〟
〝ダンジョン外じゃバフ回復効果も消えるらしいですけどそれにしたってですわよ!?〟
カリンの加工スキルと〈ぱくぱくもぐもぐ〉の思わぬ相乗効果に視聴者たちが戦慄。
そのなかには当然懐疑的なものもあるのだが……実際に食べて効果を実感しているシャリーたちとしてはもはや確信するしかないわけで。
加えてシャリーはそこでさらなる〝異常〟に気づく。
(ん……? なんか、妾よりもカリンのほうが魔力の回復量が大きくないか……?)
一瞬気のせいかと思う。
だがある程度感知にも長けている魔法職のシャリーが集中すれば……明らかにカリンのほうが特製ハンバーグの恩恵をより多く受けていた。どう見ても魔力の回復量が違う。
(……!? どういうことじゃ!? 同じものを同量食べてなぜ効果に差が!? ……そういえばさっきこやつ、〈神匠〉製の加工道具で作った通常加工スキル製装備も本来他者は使えんとか言っておったが……。まさかこの料理、
その仮説に至ったシャリーはさらに思考を飛躍させる。
通常加工スキルを使ってこれならば……〈神匠〉製の調理器具+〈神匠〉によって正真正銘カリンしか食べられない料理を作った場合、一体どれだけの効果を発揮するのか。
(こ、こやつ、本当にどこまでぶっ飛んでおるんじゃ……!?)
その空恐ろしい予感にシャリーは戦慄するように一筋の汗を流しつつ、しかし同時にわくわくするように口角をつり上げる。
さすがにカリンのさらなる異常パワーアップの可能性まで配信に乗せてしまうとダンジョン女王をして本格的にヤバい気がしたのでここでの言及を避けるが……そのあたりの仮説を抜きにしてもとんでもないカリンの〝調理〟にシャリーは目を輝かせた。
「カリンお主、本当に凄まじいの!? まさか下層以降の肉を本当に調理できてこんなに美味く仕上げるばかりか、このように魔法効果まで増大させるとは……!」
「いえいえ、こちらこそですわ! こんなに美味しいお肉がお金の心配なく食べられるなんて最高ですの! わたくしどんどん作っちゃいますわよ!」
さすがに色々と調理器具を作りまくったので全快とはいかないが、それでもかなり魔力の回復したカリンが再度ミンチを作ろうとお肉に手を伸ばす。
と、そんなカリンを「あ、ちょっと待つんじゃ」とシャリーが止めた。
「この肉だけで腹一杯になってしまう前に、ダンジョンの肉についてひとついいことを教えておいてやろう」
そして深層肉を調理するばかりかとんでもない可能性まで見せてくれたお礼とばかりに悪戯っ子のような笑みを浮かべ、
「モンスターの肉はな、強いヤツほど魔力が満ちておって美味いぞ」
「……!? 深淵ボス狩りですわー!!」
カリンが叫んだ。
が、いちおうすぐに冷静になって、
「あ、いや、深淵で軽々しく配信しないように言われてますし、今日はあくまで連携確認。そもそもよく考えたら奈落と同様に今日会ったばかりの方と一緒に深淵に行くのは怒られ案件ですし……で、では当初の予定どおりここのダンジョンを攻略がてら深層ボスを刈り尽くしましょうですわ! タダ飯深層ボス食べ比べハンバーグ編ですの!」
「よしきた! もっといろいろな種類を調理して食べてみるのじゃ! 味はもちろん効果効能もどうなるか気になるしの!」
「テンションあがってきましたわ!」
〝深層ボス「!?」〟
〝ボスモンス逃げて超逃げて!〟
〝ボス部屋からボスは逃げられないんだよなぁ〟
〝探索者のほうは普通に撤退できるのにね……〟
〝ボス部屋から逃げられないって話がボス側に適用されるなんてことある?〟
〝もう完全に深層ボスが食材にしか見えてなくて草〟
〝お嬢様、目が金の代わりに肉になってますわ!?〟
〝完全に捕食者の顔でおハーブ〟
〝てか第一声が深淵ボス狩りはおかしいだろ!?〟
〝咄嗟に深淵ボス狩りなんて言葉が出てくるお嬢様は普段どこまで潜ってなにをやってるんですかねぇ……〟
〝妥協で深層ボス狩るのは控えめに言ってイカれてるんよ〟
〝深層ボス食べ比べとかいう頭おかしいワード当然のように使わないでくださいます!?〟
〝カリンお嬢様「モンスター様は全員ミンチですわ(ガチ)」〟
と、カリンたちは「あとで合い挽きに使えるかも……」と残った熊肉をアイテムボックスに収納。各種調理器具もアイテムボックスにしまい、凄まじい勢いで深層を突き進み始めた。
――――――――――――――――――――――――
キリのいいところまで書き進めたら結構な文字数になってしまったので、分割して続きは明日の朝に投稿ですわ!(最近文字数多めですけど、こういうのって分割して更新頻度高めるのと1回の更新で一気に投稿しちゃうのどっちがいいのか答えが出ないですわね…!)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます