第95話 お稽古コラボとお嬢様のちょっとした情報開示


 光姫と穂乃花はしばしその光景に言葉を失っていた。


 カリンが突如姿を消したかと思えば、目標の催眠モンスター、バッドステータスタラテクトを胸に抱えて再び姿を現したのだ。


 縄で縛られ目隠しされたそのクモ型モンスターを指さしながら、穂乃花が恐る恐る訊ねる。


「あ、あのカリンお嬢様……? それ、どうやって見つけて……」


「ちょっと感知スキルの探索範囲を階層全域に広げたのですわ!」


 カリンが当然のように答える。


「このモンスター様とは出会ったことがないので具体的な気配まではわからなかったんですけど、幸いここのダンジョンはタラテクト様以外は戦ったことのある下層モンスター様ばかりでしたので、逆に会ったことのない気配を辿ったら発見できましたの! でも運が良かったですわ。そもそも出現していない場合は見つけるもクソもないので、ちょっとズルしたかいがありましたわね! これで皆様をお待たせせず催眠耐性スキルの獲得に挑戦できますわ!」



〝????????〟

〝ちょっとなに言ってるかわからないですわね……〟

〝とりあえずお嬢様が動画ぐだり回避にほっとするあまりクソとか言っちゃってるのだけは理解できましたわ……〟

〝いや確かに思い返したら穂乃花様との〈神匠〉訓練時もバッタの巣窟まで真っ直ぐ突き進んだりしてましたけども!?〟

〝逃げた黒虎の面々を全員捕捉したり初挑戦ダンジョンのボス部屋まで真っ直ぐ進めたりね……〟

〝そりゃ階層内に出現してさえいれば希少モンスも即発見できますわ!?〟

〝いままで散々感知のヤバさは見せてましたけどこれは……〟

〝いやこんなん狙ったモンスの素材効率よくゲットし放題じゃん!?〟

〝〈神匠〉とカリンお嬢様センサーのシナジーがエグすぎませんかね……?〟

〝アイテムボックス素材モンスがランダム出現で良かったと心の底から思いますわ……〟

〝このお嬢様さっき動画の盛り上がりがどうとか言ってたしわざと使わずに素材収拾してたときもあったなこれ!?〟



「あ……あびゃびゃ……さすがは〝無茶苦茶〟の擬人化がドレスを着て歩いてるカリンお嬢様……ッ! 興奮しすぎて心臓が……はっ!? い、いけないっ。カリンお嬢様の配信で変なことをするわけには……」


〝なんかいま一瞬光姫様のお顔が崩れてませんでした???〟

〝今日は大人しいと思ってたら……〟

〝そろそろ猫被るのも限界なんじゃないですかね〟



「さて、それでは早速催眠スキル獲得に挑戦していきますわよ!」


 と、周囲が色々唖然とするなか、カリンはご機嫌な様子で配信を次の段階に進めるのだった。




「やっぱり下層モンスター様を連れてこられるのはこのあたりが限界ですわね」


 催眠モンスターを無事確保したカリンたちは、下層第1層の最も地上に近い部分、中層へと続く通路の前まで戻ってきていた。


 催眠魔法を実際に食らうにあたり、重要なのは周囲の環境。

 当然ながらできるだけ弱いモンスターが出る場所が良いのだが、ここでモンスターの活動領域が問題になってくる。


 モンスターは基本的に、その強さに見合った濃さの魔力が満ちた層域でしか生息できないのだ。

 

 これがイレギュラーを除いて下層や深層のモンスターが上の階層に現れない理由であり、ダンジョン崩壊で地上に魔力が噴出しない限りモンスターが地上に進出してこない理由でもある。


 そのため今回捕まえたバッドステータスタラテクトも連れてこられるのは下層1層入り口付近が限界であり、いざというときは中層にすぐ待避できるようこの場で催眠を受けることにしたのだった。


「では早速」


 とカリンは近くにモンスターの気配がないことを確認してから連れてきたタラテクトの目隠しを外す。そして現れた8つの瞳と目を合わせること数秒。


「む、むきゅう」


 変な鳴き声を発したカリンはその場に座り込んだ。

 そして瞳の焦点があわなくなったかと思えば、


「あら、可愛らしい犬畜生様ですわね~」


 言って、縄で縛られたタラテクトを一心不乱に撫ではじめた。



〝お嬢様なにやってんの!?〟

〝あ、いつもの奇行かと思ったらなるほどそういう催眠か……〟

〝自分を可愛いものに見せる的な……?〟

〝同士討ち誘発したりするやつに比べればだいぶマシですわね〟

〝しばらく目を合わせないと催眠が発動しないってのもまあ良心的なほう〟

〝もしかしてこの動画、本当に催眠耐性獲得の参考になるんじゃないですの???〟

〝いやこれ結構エグいですわよ!? このクモ催眠だけじゃなくて身体に毒針も生えてますし!〟

〝あ、こいつ名前からして複数状態異常もちなのか!?〟

〝催眠かけて毒針満載な自分の身体撫でさせるとかエグいな……〟

〝お嬢様、催眠の影響か語彙がヤバくなってておハーブ〟



 そう。このクモ型モンスターの催眠は、周囲を安全と思い込ませたうえで自らを可愛らしい動物と誤認させ、一心不乱に撫でさせるという極めて珍しいタイプだった。


 相手を錯乱状態に陥れるものがほとんどである催眠魔法にしては牧歌的にも思えるが……実態はかなりエグい。タラテクトの身体には無数の毒針が生えており、撫でようものなら催眠に加えて様々な状態異常が重ね掛けされるのである。


 だが……、


「って、やっぱり催眠って気持ち悪いですわね~。明らかにダンジョンの気配なのに妙にリラックスさせられますし、この方も気配はモンスター様のままなのに犬にしか見えませんの。まあせっかくなので可愛がらせていただきますわ。毒なんて効きませんし」



〝お嬢様毒針をものともしてないし案の定普通に幻覚見破ってんの草〟

〝そりゃ下層ボスラージキメラの毒や深層催眠モンスターの催眠をものともしてなかったお嬢様だからなww〟

〝クモさん見るからに困惑してておハーブ〟

〝これ毒が効いてない以前にそもそも毒針が手にまったく刺さってなくない????〟

〝なるほどこれはお嬢様の催眠耐性獲得に適したモンスターですわ〟

〝毒耐性カンストがここで活きてくるのか〟

〝(……あれ? よく考えたらスキルの習熟方法的に毒耐性カンストって頭おかしくね……?)〟

 


 視聴者たちも気づいたように、カリンには毒がまるで効いていなかった。異常な練度の感知スキルに加えて毒耐性がカンストしているため、バッドステータスタラテクトの悪辣な状態異常コンボがまるで通用しないのである。


 毒さえ効かなければタラテクトの催眠は穏当な部類。いもしない敵の幻影を見せられたカリンが暴れるようなこともなく、比較的安全に催眠耐性獲得に挑戦することができていた。


 あとは耐性スキル発現までしばらくこの状態を維持するだけだ。


「……うん、よし。下層モンスターだからちょっと心配だったけど、しっかり催眠はかかってる……お嬢様は催眠状態でも十分戦えるけど、できるだけ私たちのほうでも対処して……それからイレギュラーが起きないか周りにも注意を……」


 と穂乃花が周囲に注意を向け始めたそのとき。


 バシャシャシャシャシャシャシャシャ!


 なぜかダンジョン下層にシャッター音が鳴り響いた。


 微笑みながらモンスターを愛でるカリンを、スマホを構えた光姫が地面に横たわる勢いのローアングルで激写していたのである。バーストモードだ。


「……光姫さん? なに、やってるんですか……?」


「……え? あ!? ち、違うんです! 手が勝手に! 手が勝手に!」


 じゃらり。


 懐から手錠を出して迫る穂乃花に、光姫が自分でも心底驚いたという顔でぶんぶん首を横に振る。



〝光姫様なにやってんですの!?〟

〝これもう光姫様がイレギュラーモンスやろ〟

〝言動イレギュラーやめろ〟

〝現行犯&配信に犯行の様子がばっちりで証拠十分すぎですわねぇ〟

〝手が勝手に動いたとか余計にタチ悪くて草〟

〝手だけじゃなくて明らかに全身が躍動してただろ!?〟 

〝撮影中完全な真顔の光姫様が怖すぎて夢に出ますわ〟

〝なに下層で警察と変質者のコントやってるんです????〟

〝↑さすがはカリンお嬢様の弟子とファンですわね……〟

〝あとで動画切り抜けばいいだけなのにわざわざ衆人環視のなか撮影するのはマジで無意識やったんやろなぁ〟

〝だって動画切り抜きじゃ可愛らしい表情のカリンお嬢様をローアングルで拝めないし……〟

〝なぜローアングルで撮影する必要が……?〟

〝俺たちの光姫ちゃんがどんどん変な方向に……〟

〝い ま さ ら〟

〝四条家とホワイトナイト苦笑いやろこれ〟



 光姫の突然の奇行にコメント欄は困惑。

 穂乃花もまた周辺警戒しつつ


「……あの、あらかじめこのあたりのモンスターは一掃してあるし、光姫さんもあんな状態でなおちゃんと周辺警戒はしてたみたいですけど……いくらお嬢様が規格外とはいえスキル習得にどのくらいかかるかわからないから……しっかりしてもらわないと……」


「め、面目ありません」



〝ほんとだよ!〟

〝そんでも周辺警戒はしっかりしてたっぽいのはさすが光姫様ですわね〟

〝盗撮犯が犯行時に周辺を警戒するのは当然だからな……〟

〝↑ちゃんと浮遊カメラの存在も意識しろ〟

〝てか光姫様が周辺ちゃんと警戒してるって感じ取れてる穂乃花様も〈神匠〉にかまけず基礎からしっかり成長されてますわねこれ〟

〝さ、さて光姫様のやらかしはいいとして今日の配信はこっからが正念場ですのよ!〟

〝どのくらいこの状態を維持すれば耐性スキルが出んのかね〟

〝いやー、お嬢様でもさすがに1時間とかはかかりますわ。毒耐性なんかは獲得に合計2、3日かかるとかざららしいですし〟

〝そ ん な に〟

〝そりゃ取得法確立してるスキルなのに発現者がすくねーわけですわ!?〟

〝まあただの風邪さえ回復と抗体の獲得に数日かかるわけだしな〟

〝モンスター由来の状態異常ならさもありなん〟

〝数日どころか数時間お嬢様の催眠状態が続いただけで光姫様の理性がもたないと思うんですけど!?

〝というかそもそも獲得できるかも確定じゃないんだよな耐性スキル〟

〝どうなるかね〟

〝とりあえず獲得の瞬間を見逃さないようオムツ履いたわ〟

〝↑RTAやってんじゃないんだからトイレにスマホもっていけばいいだろ!〟



 と、光姫のやらかしに穂乃花が周辺警戒を続けつつ軽くお説教する傍ら、コメント欄では長期戦に備えるような声が多くなる。停滞しがちな耐久動画を盛り上げるためか、コメントの数も増加傾向にあった。


 と、そのときである。



「あ、これ多分耐性スキル獲得できましたわ!」


「「……………………え?」」


〝は?〟

〝は?〟

〝は?〟


 突如。


 弾んだ声とともにすっくと立ち上がったカリンに、コメント欄はもちろん保護観察官モードだった穂乃花としょんぼり光姫が絶句する。


 一瞬、催眠の影響でカリンがいつも以上にわけのわからない妄言でも吐いているのかと誰もが疑う。

 

 だが違った。

 

 強い衝撃を食らったわけでもないのにカリンの瞳はしっかりと焦点を結んでおり、明らかに催眠にかかっている様子ではないのである。


 本当に耐性スキルを獲得できたかはわからないが少なくとも衝撃によらない催眠の自力解除は達成している!? 催眠にかかってから10分とかからずに!?


 と、穂乃花と光姫の2人がカリンに慌てて駆け寄った。


「……!? え、ちょっ、カ、カリンお嬢様……!? 催眠耐性が発現したって……いやそもそもなぜ頭突きもせず催眠が解除されているんですか……!?」


「光姫様と穂乃花様のおかげですわ!」

 

 混乱しながら訊ねる光姫にカリンがぱあっと笑みを浮かべながら答える。


「お二人がしっかり周辺を警戒してくれているのは催眠状態でもよくわかったので。警戒はお二人に任せて、試しに自分の内側に感知スキルを全集中させてみたんですの。ダンジョンアライブでそうやって催眠を解いているシーンがあったので。そしたらどうも脳みその一部でなにやら悪さしている催眠魔法の魔力? が微かに感知できたので、そこにぐっと自分の魔力を集中させてたら解除できましたわ! 耐性獲得には「自力解除」が一番効果的ですけど、恐らくこの催眠の解き方が衝撃によらない自力解除判定だったんですのね。なんか耐性スキルが生えてきた感覚がありますの」


「「……!?」



〝どういうことなの!?〟

〝いやさすがにそれは嘘でしょ!?〟

〝で、でも明らかに催眠は解けてる顔ですわよこれ……頭突きなしで〟

〝カリンお嬢様なんていっつも錯乱してるんだから顔つきで正気かなんてわからんねーですわよ!?〟

〝↑普通に悪口でおハーブ〟

〝い、いやあの、お嬢様の言葉を信じるならこれ耐性スキルって実はなんらかの修練で効率良く習熟できる可能性が……?〟

〝もしそうだとしても恐らくお嬢様レベルの感知スキルが必須と思われるんだが……?〟

〝と、とりあえず鑑定アイテムで真偽チェックですわ!〟

〝スキル獲得を目指した配信ですし当然その手のアイテムは準備してますわよね!?〟



 これは1人では試せないやり方だったのでやはりお二人に協力してもらえて助かりましたわー、と感謝を述べるカリンに反して周囲は大混乱。


 穂乃花はあらかじめ用意しておいた鑑定アイテムを慌てて用意する。

 感知に秀でたモンスターの素材を複数折り重ねて作った水晶で、デバイスと繋げて読み取った所持スキルを表示できる逸品。浮遊カメラよりさらに高度に機械と魔法アイテムが融合した品である。


 この手のアイテムはギルドに常設してあり有料で利用できるが、レベルやスキルの情報などを知られたくないベテラン探索者のために多く一般販売されており、これもそのひとつだった。


 探索者本人のレベルではなく所持スキルの名称とLvを測れるそれにカリンが手をかざす。

 そして意識して魔力を流せば、繋いでいたスマホにスキルの表記が――ずざざざざざざざ!


「「っ!?」」

 

 またしても穂乃花と光姫が固まった。

 スマホ画面に怪奇現象がごとく無数の文字列が文字化けしたような状態で流れ、そして――どろぉ……。


 スマホに繋いでいた鑑定水晶が溶け崩れた。



〝!?〟

〝!?〟

〝は!?〟

〝は!?〟

〝待て待て待て待て! ちょっと待て!〟

〝なんだいまの怪奇現象!?〟

〝どこからつっこみゃいいんだよこれ!?〟

〝怖いよおおおおおおおおおおおおお!〟

〝なんだそれ!? なにが起きたいま!?〟

〝え、ちょっ、なんかめっちゃ文字が表示されまくってたのが一瞬チラっと見えたけどあれまさか全部スキル……?〟

〝読み取れるスキルの数が多すぎて処理オチした……ってコト!?〟

〝いやだったらせめて爆発しろよ! 溶けるってなに!? なんなのぉ!?〟



「ひいいいいいいいいいいっ!? な、なんで水晶が溶けてますの!? え、え、これもしかしてわたくしのせいですの!? それとも不良品!? お、おかしいですわ! わたくしが自作した水晶ではこんなこと一度も……す、すみませんこれ確か光姫様がホワイトナイト様から借りてるやつですわよね!? な、何百年皿洗いしてでも弁償いたしますわ!」


 コメント欄はもちろん、突然の事態に騒ぎの元凶であるカリンまで悲鳴をあげて場が大混乱に陥る。

 

「ス、スキルの数が多すぎて計測できない……!? あ、だ、だったら読み取るスキルをタイプ別に絞って……いや、直近の獲得スキルだけ表示するモードにすれば……」


 と、自分がスパチャ長者なのも忘れて頭を下げまくるカリンと茫然自失な光姫の傍ら、穂乃花が予備の計測機器を取り出し再度準備。どうにか落ち着いたカリンにもう一度スキルを計測してもらう。すると、


 催眠耐性Lv1


 そこにははっきりと、いましがた獲得したスキルが表示されていた。


「あ、よ、よかったですわぁ。ちゃんと獲得できてましたの。いくら弁償するとはいえ、人様のアイテムを壊しておいてやっぱり勘違いでした、なんてお優雅ではありませんものね……!」



〝うそ……だろ……〟

〝ま、マジで獲得してる……?〟

〝え、いや、これ事前に習得してたとかではなく……?〟

〝カリンお嬢様にそんな腹芸は無理定期〟

〝頼むから仕込みだって言ってくれ……〟

〝あとついでにさっきの融解水晶も頼むから不良品だって言ってくれ……〟

〝お嬢様のことだから普通に早期獲得すんだろうなとは思ってたけどこれは……〟

〝いやいくらなんでも早すぎんだろ……!?〟



「ちょっ、これ、どうなっているんですかカリンお嬢様!?」


 と、フリーズしていた光姫が再起動して視聴者の声を代弁するように言う。


「確かにカリンお嬢様なら無茶苦茶な方法で催眠の自力解除くらいできて当然かもしれません……。けどいくら自力解除が耐性スキル獲得に有効とはいえ、それでも耐久適性のある者が何度かやってようやく発現ということがほとんど。本人のレベルの高低によってその原則は崩れませんし……いやカリンお嬢様なら必ず早期獲得とかやらかしてくれると思っていましたが、いくらなんでも……なぜこんな短時間で耐性スキルを……!?」


「あー、確かにわたくしも最初の頃は光姫様が言うように耐性スキルが伸びづらくて結構手こずってましたわ。耐性ってお稽古じゃいかんともしがたいですし、毒耐性とかもやっと取得できたと思ったらずっとLv1だったり」


 大混乱な光姫に、カリンが探索者デビュー初期を思い出すように言う。


「けどレベル4000を越えたあたりから耐性スキルや身体能力が急に伸びやすくなりまして。なので光姫様たちもそこを越えたらきっともう少し簡単に耐性がつくようになると思いますわ!」


「「………………………………………………よ、んせん……?」」



〝おい。おい〟

〝なんて?〟

〝【急報】カリンお嬢様レベル4000以上確定〟

〝待て待て待て待て!〟

〝おいこれ配信に流していいやつか!?〟

〝い ま さ ら〟

〝あ、あの、国家最強クラスの探索者がレベル3000ちょいくらいじゃね? とか推測されてるのが世間一般の常識なんですけどあの〟

〝い、いやまあ国内最強クランの総力を単騎無傷でぶっ潰した時点でそのくらいのレベルは全然予想されてたから……〟

〝いつ4000を越えたかわからない以上、いま何レベルかは不明なままなんだよなぁ〟

〝この無茶苦茶なお嬢様が探索者デビューから2年ちょいってマ?〟

〝100歳くらいサバ呼んでませんこと?????〟

〝つまりお嬢様がボケボケなのは実年齢のせい……ってコト!?〟

〝いまさらだけどホントになんなんだよこのお嬢様!〟

〝今日は光姫様たちとのコラボだから割とゆるい配信になるかなーと思ってたら怒濤の情報絨毯爆撃でおハーブ枯れる〟

〝焦土かな?〟

〝情報の暴力〟 



「うへ、うぇへ……デタラメすぎる……これです……これだからカリンお嬢様摂取はやめられない……世間からの評価も家も捨ててついてきてホント良かったです……やっぱり全身にサインを刻んでほしい……!」



〝あ! ついに光姫様の化けの皮が剥がれましたわ!〟

〝正体現したね〟

〝水晶だけじゃなくて光姫様のお顔も溶けてますわー!?〟

〝なんで鑑定アイテム溶かすようなレベル4000超えのバケモノ見てこんないかがわしい顔ができるんですかね……〟

〝むしろいままでよく保ったよ……〟

〝これは穂乃花様がついてきて正解だったと確信できる18禁顔〟



「え、ちょ、光姫様どうされましたの!?」

「……喜んでるだけだから大丈夫だと思います……」


 と、カリンの爆弾発言の連続に色々とまた大騒ぎにはなったが――その後もバッドステータスタラテクトを利用した耐性スキル習熟配信は順調に進行。

 さすがに下層モンスター相手だったためにスキルLvカンストとはほど遠いが、一度耐性スキルが発現したあとは異常な速度でLvもあがり、


「ふぅ! 穂乃花様と光姫様が手伝ってくださったおかげで思ったよりもずっと早く目標のLvに到達できましたわ! ここまで伸ばしたらあとは1人でも伸ばしやすいですし……今度はわたくしがお二人のお稽古を手伝いますから、いつでも言ってくださいまし!」


「こんな無茶苦茶な配信に同行させていただいたうえにそんなお言葉まで……! ありがとうございます……! 今日の衝撃を咀嚼できた暁にはまたお願いします……!」


「ありがとうございます……カリンお嬢様を守護まもるためにももっと強くならなきゃ……」



〝嘘だろ……2時間とかからず目標のLvに……!?〟

〝耐久配信とは一体……〟

〝(視聴者のメンタル)耐久(値を粉砕する)配信〟

〝カリンお嬢様が嬉しそうでなによりですわ!(白目)〟

〝てか現時点でも相当なのにカリンお嬢様が改めてこの2人鍛えたらどうなっちまうんだよ……〟

〝と、とりあえず穂乃花様には急いで光姫様を取り押さえられるくらいにはなってほしいですわね!〟



 ほくほくのカリンを中心に、視聴者の反応も上々。

 同接800万を超えた耐久配信は様々な混乱を招きつつも目標を達成し、カリンたちは無事日が暮れる前に帰路につくのだった。


―――――――――――――――――

本当はもうちょい進めたかったのですが前話とあわせて妙に文字数多くなってしまったので分割投稿。ダンジョン女王編本格始動は次回からですわ!


※それからお嬢様バズ、実は現在投稿から半年ちょいで年間総合4位という少し凄いことになってまして。日間、週間、月間で総合1位をとったことないのにそのうち年間総合1位はとれそうというちょっと意味わかんない状況になっておりますの!(お嬢様バズより上の作品が投稿から1年くらい経ってるものばかりなので)。

近況ノートで教えてもらったのですが、どうも投稿してない日でも日間ランキングに普通にのり続けたりしているようで恐らくそのおかげ。つまり継続応援してくださった皆様のおかげですわ! ありがとうございますですの!


というわけでダンジョン女王編本格始動前ではありますが、面白いと思っていただけたら引き続き☆やフォローで応援していただけると嬉しいですわ!


改めまして、今年はお嬢様バズをがっつり推していただいてありがとうございます。

来年はダンジョン女王編始動&書籍方面でも色々お知らせができそうなので、楽しみにしていただけますと幸いですの! それでは、良いお年をですわ!

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