第90話 サプライズとこだわり
山田カリンへの国民栄誉賞授与が決定。
表彰式は深層ソロ攻略から2週間も経っていない金曜の夕方。
そのニュースはあらゆる媒体を通じてまたたく間に広がり、ネットでも当然大騒ぎとなっていた。
〝国民栄誉賞授与が早すぎておハーブ〟
〝疾風迅雷まとったカリンお嬢様並の速度で草〟
〝まあ深層ソロ攻略の世界記録に加えて深淵第1層ソロ攻略とかそりゃ受賞するわって功績だしな〟
〝功績より混乱のほうがでかい気がするんですがそれは……〟
〝ここまで早いとなると多分ダンジョン崩壊犠牲者ゼロの時点で検討してたんじゃねえかな〟
〝あー、もともと準備してたとこに深淵ソロやブラックタイガー討伐が加わってこの速度って感じかね〟
〝国民栄誉賞の授与タイミングって結構謎ですものね〟
〝準備さえ整えばいつでも授与できるヤツだしな〟
〝てかこれもう内閣がお嬢様に与する宣言に等しいやろ〟
〝授賞自体は前々から検討してたとしても、この無茶苦茶な日程は明らかに総理が直近の予定にかなり強引な調整入れてるからな……〟
〝警察に続いて内閣のバックにもお嬢様がつくのか……〟
〝↑位置関係がおかしいだろうがよえー!?〟
〝警視庁コラボの次に内閣コラボはおハーブ〟
〝国民栄誉賞授与決定だけならまだしも表彰式が深層ソロ攻略配信から2週間経たずはいくらなんでも爆速すぎますわー!?〟
国民栄誉賞受賞だけでも大ニュースだが、各種掲示板やSNSで特に取り上げられているのはその速度である。
本来であれば総理の予定や各種調整などもあるので、ネットでの指摘通り、どのような功績だろうと決定から2週間足らずで表彰式が行われるなどあり得ないのだが――。
今回の国民栄誉賞表彰式が異例の日程となった背景には大きく分けて2つの理由があった。
まずひとつめに、ダンジョン崩壊を犠牲者ゼロで食い止めた時点でカリンの国民栄誉賞受賞がかなり前向きに進んでおり、記念品の検討など諸々の準備が早い段階で決まっていたこと。
そしてもうひとつが――というか少々事情は複雑ながらこれが最たる理由なのだが――未成年のダンジョン素材換金全面禁止の原則をすぐには変えられなかったからだ。
国としては山田カリンがもたらすだろうとんでもない素材の数々はなんとしても確保したかったし、前々から批判も多かった「未成年の素材持ち帰りと換金は原則禁止」という鉄則を条件付きで緩和していきたかったのだが……。
山田カリンが大量に持ち帰るだろう深淵素材が突然大量流入すれば市場の大混乱は必至。
さらには山田カリンの存在だけでも国際情勢に大きな影響があるなかで日本を中心に大量の深淵素材が流通するとなれば、いまはカリンを警戒して大人しくしている諸外国もさすがに黙ってはいないだろうと思われたからだ。カリンがいくら国家転覆級の力を持っているとはいえあくまで個人。国家全体の力が大きく底上げされるのはまた別ベクトルの脅威として周辺国を刺激しすぎてしまうのだ。
もちろん、日本を経由して深淵素材を輸出し、海外各国の不満や警戒を和らげると同時に外貨を稼ぐという流れが理想ではあるのだが……ただでさえダンジョン庁の人員刷新や諸外国への説明など大混乱が続いているなかでそんな調整が一朝一夕でできるわけもなく、ひとまず未成年の素材持ち帰り解禁は保留せざるを得なかったのである。
というかどのみちあと4年もしないうちに山田カリンが大量の深淵素材を持ち帰ることは確定しているわけで。それに備えてせめてもうちょっと時間がほしいお願い助けてせめてそのくらいはこちらに猶予をくださいお願いします……というのが政府上層部の本音だった。
ただそうなれば、あれだけ異常な強さを持つカリンにすら素材持ち帰りを解禁しないのはいかがなものかという世論も当然予想される。なのでそういった批判を少しでも緩和するためにも政府はまず国民栄誉賞だけでも授与して山田カリンを支持しているという姿勢を示したかったのだ。
もちろん純粋にダンジョン崩壊を犠牲0で食い止め国内の不穏分子一掃に尋常ならざる貢献を果たした山田カリンへいまできる謝意を示すという側面もかなり大きいのだが……なんにせよ政治的な要因が色々と重なったうえにカリンが急な日程でも頷いてくれたため、異例のスピード受賞が実現したのだった。
――とまあ、そういった様々な事情が裏にあったわけなのだが、受賞した当の本人はそんな小難しい話を考える余裕は一切なく……表彰式当日、カリンはかつてないほどに緊張していた。
「こひゅー、こひゅー」
総理官邸。
国旗と金屏風を背景に大量の報道陣と出席者が並ぶ表彰式会場にて、カリンは顔面蒼白でグロッキー。死にかけのタヌキのような呼吸音を漏らしてガッチガチに固まっていた。
(な、なんなんですのこれ……!? 本当に現実ですの!? 国民栄誉賞ってもっとこう、歴史に名を残すようなすげー人が受賞するイメージですしわたくしなんてまだまだ不釣り合いな気がしますのに……!? てゆーか総理大臣様って本当に実在するんですのね!?)
穂乃花に続いて内閣官房からかかってきた電話や連日の報道で国民栄誉賞授与は現実だとしっかり受け入れ心の準備をしてきたはずなのだが……実際はす向かいに総理大臣が座っている状況に直面しては心構えなど一瞬で霧散。イカれたドラマーが暴れているかのように心臓もばっくんばっくんである。
ちなみに表彰式の様子は首相官邸チャンネルでのライブ配信に加えてカリンのチャンネルでも同時配信されており、両チャンネルあわせて同接1000万近い大盛況となっていた。
〝カリンお嬢様かつてないほど緊張してて草〟
〝当たり前だけど警視庁コラボ以上に緊張してますわねwwww〟
〝お嬢様顔がヤバいですわよ!〟
〝総理の前にお出ししていい顔じゃねえよこれ!〟
〝いまの1割でいいから深淵突入時に緊張してほしかったですわね……〟
〝つーかスーツ着た内閣メンバーと金屏風の前でフリフリドレスはほんまおハーブ〟
〝まあお嬢様にとっては制服や和服以上の正装だから……〟
〝こんなかしこまった場であのトンチキな服装が許されるの、カリンお嬢様を除いたら美輪○宏か黒柳○子くらいやろ〟
カリンのあまりの緊張っぷりと服装に総ツッコミである。
本来なら一緒に参列した保護者や関係者が緊張を和らげてくれるものなのだが、
「うぅ 、あの問題児がこんな立派な賞を……いやけどなんで私がこんな場に列席を……まあ山田のご両親が既に亡くなってるのもあるから仕方ないけど……き、緊張で吐きそう……」
カリンの保護者や公の場に顔を出さない真冬の代わりに参列することとなったカリンの担任も、緊張やら問題児の功績に対する喜びやらで情緒が無茶苦茶。まったく役に立ちそうになかった。なんならカリンより先に吐き散らかしそうな勢いである。
と、そうこうしているうちに式がはじまった。
『ただいまから国民栄誉賞表彰式を行います。それでは金剛寺内閣総理大臣。前にお願いします』
全国民が知っている顔、強そうな政治家ランキング第一位(非公式)の金剛寺総理がまずマイクの前へ。
『山田カリン殿』
「は、はひぃ!」
続けて司会に呼ばれたカリンが裏返った声で思い切り立ち上がり、周囲にちょっと風を巻き起こしながら総理の前に立った。
その勢いに周囲にいたSP(いずれもレベル2000超え)が若干頬を引きつらせるが……いくら緊張していてもカリンの動きが周囲を傷つけることはなく、総理もまた動じることなく表彰状を読み上げる。
「表彰状。山田カリン殿。あなたは人一倍の努力と類い希なる精神力により、ダンジョン崩壊を1人の犠牲も出すことなく食い止め、高難度ダンジョンにおいても単独で深層を踏破するという世界的な偉業を達成されました。その突出した力を人々のために用い歴史に残る快挙を達成されたことは、多くの国民に深い感動と勇気、社会に明るい夢と希望を与え、このダンジョン社会における力強いメッセージとなりました。よってここに国民栄誉賞を贈りこれを表彰します。内閣総理大臣、金剛寺猛」
「あ、あり、ありがとうございみゃすですの……っ」
バシャバシャバシャッ!
凄まじいカメラのフラッシュが無数にまたたくなか、カリンはガチガチの両手で表彰状を受け取った。
〝国民に与えたのは果たして本当に感動と勇気、夢と希望だけなんですかねぇ〟
〝爆笑と混乱、恐怖とドン引きも加えてさしあげろ〟
〝賞状に書くわけにはいかねぇ要素すぎる……〟
〝お前らやめろよ! 賞状の内容考えた官僚の皆さんは絶望と悪夢、残業とエンドレスナイト(夜勤)も加えたかったのをぐっと堪えたんやぞきっと!〟
〝というか深淵やブラックタイガーについて欠片も触れてなくておハーブ〟
〝それこそ賞状に書くわけにはいかねえだろ!〟
〝虎殲滅はともかく深淵ソロ突入については公的機関や大手マスコミはもちろん三流週刊誌すらどっこも触れてなくて笑うんすよね(笑えない)〟
〝てかさっきからただの表彰式でこんだけツッコミどころ満載なのおかしいだろ!〟
〝お嬢様自身がボケボケの実の全身ツッコミどころ人間だから仕方ない〟
〝周囲にまで影響を与えはじめてんのパラミシアの覚醒じゃねーか!〟
〝超人系(文字通りガチ超人)〟
続けて盾を受け取ったカリンは司会の指示のもと、総理と2人でカメラ台の前に立つ。
ほんの数分間ではあるが、総理との対談の時間が設けられているのだ。
ガッチガチのカリンの緊張をほぐすように、金剛寺総理が名前に反した柔和な笑みを浮かべる。
「本日は本当におめでとうございます。実は私もダンジョン崩壊時のご活躍や深層攻略配信を見ていまして。公務の合間によく動画も拝見させてもらっているくらいにはファンだったりするんですよ? 獅子奮迅の活躍をなさったカリンお嬢様にこうしてお会いできて光栄です」
「ひっ、動画を!? ひゃ、わ、わわ、わたくしも総理大臣お嬢様にお会いできて光栄ですわっ」
〝総理大臣お嬢様ってなんだよ!?〟
〝やめろwwww いきなりわらかすなwwww〟
〝まさかの総理からのお嬢様呼びに反射でお嬢様呼びし返してますねこれは……〟
〝ちょっと賢いオウムかな?〟
〝司会やSPの人もちょっと笑っちゃってるじゃねえか!〟
〝この前のプラカードもそうですけどいきなり笑っちゃいけない国民栄誉賞表彰式はじめるのやめてくださいます!?〟
〝てか総理もお嬢様の配信チェックしてるのか……〟
〝総理がカリンお嬢様の配信チェックするのってそれはもうそういう公務なのでは?(戦略兵器の動向チェックという意味で)〟
カリンが緊張のあまり自分でもなに言ってるのかあんまり把握せず漏らす言葉にコメ欄が加速し、表彰式場もカリンを除いて少しばかりゆるい雰囲気となる。
金剛寺総理もガッチガチなままのカリンに割と素の笑みを浮かべるのだが、しかしすぐに真面目な表情を取り戻した。ある意味本題はここからというように。
「本来、わたくしどもがしっかりしていれば未成年のカリンお嬢様をあのような危険にさらさずに済んだことです。にもかかわらず問題あるクランやそれを許す土壌を一掃する機会までカリンお嬢様にいただいてしまうこととなり、内閣総理大臣として力不足と責任を感じております。このような場で恐縮ですが、大変申し訳ございませんでした。そしてありがとうございます」
「ふぇ? あ、ああ、けどまあ過ぎたことですし。知人や視聴者の皆様に迷惑がかかってしまったことは遺憾ですけど、ブラックタイガー様自体は全然脅威ではなかったですし、平気ですわ!」
「そ、そうですか……」
〝総理の顔ちょっと引きつってて草〟
〝そらまあ物証の有無以前に周囲への被害やゲリラ化を警戒してなかなか強制捜査や逮捕に踏み切れんかった国内最強級クランを無傷で返り討ちにしといてちょっと害虫駆除しときましたわ~くらいのノリで返されたらこうなりますわ〟
〝ジェノサイドお嬢様の印象覆す気なくておハーブ〟
〝いやこれお嬢様緊張しすぎて自分がなに言ってんのかわかってない顔ですわよ!〟
〝なんなら総理がなに言ってるかもあんま聞こえてなくて反射で喋ってる顔でしてよ!〟
〝ブラックタイガーのこと賞状には書けんわなと思ったらここで言及したか〟
〝まあ全部が全部現職総理の責任じゃないとはいえケジメは必要ですしね〟
〝ブラックタイガーが怖いくらいの勢いで自供しまくってるのもあってダンジョン庁内の人員刷新かなりの勢いで進めてるっていうし総理の発言も結構ガチっぽいなこれ〟
〝改めてお嬢様の影響力ヤバすぎない?〟
〝そらまあ核兵器が意思もってお散歩してたら影響力あるどころの騒ぎではないので……〟
〝カリンお嬢様が良い子でホントによかったですわね……〟
〝あとはアニメと現実の区別がついてくだされば完璧なんですが……〟
と、金剛寺総理はカリンの無茶苦茶っぷりを間近で体感し少々ヤバいものを見る目を浮かべたものの、すぐに「こほん」と姿勢を整える。
「しかしお嬢様にとっては大したことではなくとも、わたくしどもは本当に感謝と反省をしております。だから、というわけでもありませんが、今回の国民栄誉賞授与に際しては少々特別な記念品を贈らせていただくことになりました」
「特別な記念品?」
緊張しすぎてぼんやりした頭でカリンはふと思い出す。
(ああそういえば記念品も贈呈したいけど受けてもらえるかという話があったような気がしますわね……緊張しすぎてろくに覚えてないですけど、なんか特別映像がどうとか……。ま、まあなんにせよなに言ってんのかよくわかんねー総理大臣様とのお話ももう終わりみたいですし、一番の難所を越えたならあとはもうその記念品とやらを受け取るだけですわね!)
と椅子に戻ったカリンはようやくちょっとまともに頭が働くようになりほっと息を吐いていたのだが……。
「それでは、今回の記念品は映像になりますので、カリンお嬢様にデータをお渡しする前に、皆様あちらのスクリーンにご注目ください」
とあらかじめ用意されていたスクリーンに列席者の視線が向いた直後。
「……ふぇ?」
カリンがぽかんと目を見開く。
なぜなら映像が始まると同時、首相官邸に流れるはずのないアニソンが流れ始めたのである。
ダンジョンアライブ初代OP。
そしてその熱い曲が流れるなか画面に映ったのは――ティーカップを持つ1人の女性キャラクター。
それは深紅のドレスと青い瞳、美しいウェーブを描く金髪が特徴的な、凜々しくもお優雅なお嬢様で――、
『皆様ごきげんよう。そして山田カリンお嬢様、本日はおめでとうございます。この鬼龍院セツナ、わたくしに憧れてくれているという可愛い後輩がお優雅な偉業を達成したと聞いて参上いたしましたわ』
「え゛……!?」
画面内でお優雅な所作を見せるのは、ダンジョンアライブ屈指の人気キャラクター、鬼龍院セツナその人だった。
完全なる不意打ちで憧れの存在に直接名前を呼ばれたカリンの口から潰れたカエルのような声が漏れる。思考が完全停止するなか、代わりに爆速で流れていくのはコメント欄である。
〝!?〟
〝は!?〟
〝ふぁ!?〟
〝え、ちょっ、マジか!?〟
〝ダンジョンアライブアニメの新規映像!?〟
〝嘘だろ!?〟
〝サプライズすぎるだろこれ!?〟
〝動きぬるっぬるで草〟
〝いまになって映画クオリティのセツナ様新規映像見られるとかヤバすぎない!?〟
〝好きなキャラから新規映像つきで直接メッセージって羨ましすぎなんだが!?!?〟
〝これお嬢様大丈夫!? 最後まで人間の姿保てる!?〟
〝わたくしはもう無理ですわ(パァン!)〟
〝直接メッセージを食らったわけでもない古参セツナ様ファンが各地でキャパオーバー起こして破裂してますわー!〟
〝汚ねぇ花火にされたインセクト・ウォーリアーさんかな?〟
映像開始と同時に配信画面も切り替わったようで、コメント欄から絶叫で埋まる。
そう。今回の国民栄誉賞における記念品とは、実際に当時のスタッフが集まってカリンのためだけに製作したこの特別ショートムービーだったのだ。
元々ダンジョン崩壊事件でカリンに脳を焼かれた当時のスタッフたちがなにかやれないかと裏で相談しており、そこに国からの打診と予算が合流。スタッフのモチベーションが天元突破していたこともあり、ショートムービーということを差し引いてもとんでもない速度で映像が納品されていた。
『このわたくしに憧れてくれているというあなたが人々を守り、そして元気づける偉業をなしたと聞いてわたくしは心より誇りに思いますわ。その髪飾りを贈ったわたくしの目は間違っていなかったようですわね』
「あ……わ……はわ……っ」
本物のセツナ様に名前を呼ばれた上に称えられて完全に凍り付くカリンの前で動画が続く。
鬼龍院セツナはぐっと拳を握ったかと思えば、最後のメッセージを口にした。
『あなたは本当に素晴らしい探索者ですわ。そのお優雅な心持ちのまま、あなたがわたくしたちと同じ〝高み〟に辿り着くのを楽しみにしていますの。もっともわたくしもあなたの憧れで居続けられるよう技も心もさらに磨かねばなりませんが……拳の研鑽に終わりなし。お互い、命は第一に考えつつ、この拳でなにもかも粉砕できる高みを目指して鍛え続けますわよ! これからもお優雅な配信、頑張ってくださいまし。わたくしが認めた山田カリンお嬢様!』
〝!?〟
〝ちょっとセツナ様いい感じのメッセージに紛れてなにとんでもないこと仰ってますの!?〟
〝セツナ様の言う高みって深淵を遥かに超えた奈落粉砕レベルじゃない!?〟
〝ただでさえバケモノなカリンお嬢様をもっとバケモノにしようとしてて草ァ!〟
〝ちょっとたまご先生!? 全部のコラボにしっかり監修入れてるって有名な先生ならこれも当然目を通してますわよね!?〟
〝最初のスパチャではちゃんと常識的なアドバイスしてたじゃないですかやだぁ!〟
¥50000 @motimotimotimoti
え……だってセツナ様なら絶対にこう言うので……
〝そうか……なら仕方ねぇな……〟
〝政府とのコラボでもキャラの解釈違いは許さない原作者の鑑(白目)〟
〝キャラ解釈一致のために再び揺れる世界〟
〝いままでカリンお嬢様の影に隠れてたけどたまご先生も別ベクトルでイカれてて草〟
〝工作員どもの粘着もガン無視して黙々とカリンお嬢様の支援絵書いてたお人やぞ〟
〝まあ週刊連載なんてできる人間のネジが外れてないわけないから……〟
〝週刊漫画家への熱い風評被害〟
〝いやこれたまご先生はともかく政府の人は監修してないのかよ!〟
〝特急進行だったからチェック漏れしたのか、あるいは激励してもギリ問題ないと思われてたダンジョン崩壊時から製作が進んでたせいとか……〟
〝お嬢様が抑止力すぎてもういくとこまでいってくれと国が開き直った可能性〟
〝式場が若干ざわついてるから↑全部の複合事故の可能性も……〟
〝深淵1層ソロ攻略だのアイテムボックス素材だのブラックタイガー消滅だので大騒ぎだったからな……チェック漏れくらいあるやろ……〟
〝ま、まあカリンお嬢様が「なんかこのセツナ様変ですわね……?」って祝いの場でちょっと悲しい想いするよりマシだから……〟
〝国民栄誉賞授与とか国がお嬢様に首輪つけようとしてるなと思ってた時期が私にもありました〟
〝首輪ならちゃんとついただろ? 各種ステータスアップとやる気超絶アップ、成長速度倍化の魔法効果ついたやつが〟
〝おハーブ〟
〝てゆーかカリンお嬢様は大丈夫!? 超絶クオリティの映像と思ったよりかなり長いメッセージだったけど生きてる!? なんかめっちゃ静かだけど!〟
とコメント欄が色んな意味で騒ぎになるなか、
「あ、あ、あ……」
セツナ様からのメッセージ映像を瞬きひとつせず凝視していたカリンは映像が終わって数秒後、ぶるぶると全身を震わせて、
「あ……はわっ」
ぼんっ! ずるっ、べしゃっ。
完全に脳みその処理能力を超えたかのようにオーバーヒート。
そのまま椅子から崩れ落ちて地面にひっくり返った。
「し、死んでる……」
とカリンの奇行に担任がぼそりと呟き、
「ちょっ!? カリンお嬢様大丈夫ですか!?」
「だからもう少し刺激の弱い映像のほうがいいと……あ、当然だけどこの程度でどうこうなる身体ではないので、静かな場所に運んでもらえれば。万が一襲撃があっても殺気があれば自動で目が覚めるから」
カメラに映らない位置でこっそり参列していた光姫や穂乃花、顔を隠した真冬や周囲のSPなどが慌てて駆け寄り、表彰式は表彰式にあるまじきオチとともにバタバタした雰囲気で終了。
〝担任の先生迫真の死亡判定でおハーブ〟
〝セツナ様があの化物お嬢様を声(メッセージ)だけでノックアウトしてて草ァ!〟
〝さすがは単騎で奈落まで突っ込んでいける作中最強格の1人ですわ!〟
〝声だけで決着とかヒュプノシスバット戦かな?〟
〝これもうセツナ様の声優が世界最強やろ〟
とコメント欄も最後まで変な方向に大盛り上がり。
その後、鬼龍院セツナのCVを務める声優・菊之丞ミカが「最強の声優」「声だけで深淵クラスの怪物を倒した女」「対カリンお嬢様最終兵器」と軽くネットミーム化し、これを機に再び活躍の機会が増えたりするのだが……それはまた別の話だ。
――――――――――――――――――――――――――――――
というわけで掲示板に現れた何者かがカリンに会おうとしてるなか、ちょっと後日談というか深層ソロ攻略の余波というか、少しゆるめのお話をはさみはさみやっていこうと思いますわ。というか深層編が高カロリーすぎましたわ!
(ちなみに特別映像は仮にカリンお嬢様が栄誉賞授与を辞退してもスタッフさんたちの厚意(&政府出資)というかたちで贈られてどのみちお嬢様がノックアウトされていたと思われますの)
※あと少し質問あったのですが、カクヨム様のランキングはどうも★の数+フォロワー数の合計で決まっているようですわ(PV数や応援♡などは恐らく反映されておらず、こちらの数字はシンプルに作者が嬉しかったりどのお話がより面白いと思ってもらえたかの指標になる、って感じですわね!)
なのでもし面白いと思っていただけたら★での評価とフォローもしていただけるとより一層多くの人にお嬢様が届きやすくなって嬉しい、ということですわね!
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