第67話 近接殺し


〝冷静に考えれば考えるほど意味わからんすぎますわ……ミスト系モンスターを素手で倒すとかどうなってんですの!?〟

〝さすがにお嬢様でも深層ソロ攻略は無謀じゃねえかと思ってたけどアレを真正面からぶっ飛ばしたならもう大体いけますでしょ!〟

〝深層が思ったよりずっとヤバかったけどお嬢様がそれに輪をかけてヤバかったですわ……!〟

〝いやいや! 深層の魔法生物が怖いのは特殊能力の多様性と初見殺しだから! 油断してるとマジで危ないから!〟

〝それはそうなんだけどこのお嬢様見てるとな……〟

〝てか同接異常じゃね? 400万ってなんなんですの……?〟

〝うわほんとだ!?〟

〝光姫様が実況解説動画()で海外からも導線引いてるとはいえヤバすぎですわー!?〟

〝よく見たら英語の書き込みも増えてておハーブ〟

〝そりゃ400万くらいいきますわ。ネット中がお嬢様の話題で持ちきりですもの〟

〝ミストの素手討伐動画が早速切り抜かれて再生数爆伸びしてておハーブ〟


¥1000

下層までで既にトレンド独占状態だったのに「深層お紅茶休憩」「ミスト素手撃破」「ドレス深層ソロ攻略」「世界記録挑戦」「ダーウィン賞最有力候補」「ぶっちぎりでイカれた女」とかでトレンドワードセルフ更新してるからな……〟


〝意味分からんすぎておハーブ大農園〟

〝動画見ながらSNSで宣伝しまくってるカリン党が多いしそれもあるかもですわね!〟

〝にしたって同接400万は異次元すぎる〟

〝そもそも深層配信なんてまず存在しないからなぁ〟

〝さっきのミスト討伐動画とかも普通は億単位の値段つく代物だし。それを現役女子高生がタダで配信とかニュースバリューヤバすぎる〟

〝最終的な同接が想像できねぇですわ……〟



「ど、同接400万ですの……!?」


 ミストを討伐した勢いのまま深層を進んでいたカリンはその数字にぎょっと目を見開いていた。

 

 深層に突入してからある程度時間が経ったことに加え、ミストを素手で討伐したという情報が拡散して人がどっと増えているらしい。


 さらには今回の動画の盛り上がりがカリンの無実の証明に直結するということで、カリンのファンたちが光姫とも連携して宣伝しまくっているのが大きいようだ。


 それにしたってこの1戦で100万も増えるなど異次元な数字すぎて現実味がないが……なんにせよ画面に表示される数字は正真正銘の本物。凄まじい数の人々がカリンの深層攻略を見守っていた。


「こ、こわ~ですわぁ……ですけど素直にありがたいですわね! 皆様の応援のおかげですの! その信頼に応えられるようゴリゴリ進んでいきますわよ!」



〝いいってことですわ!〟

〝わたくしたちにはこのくらいしかできませんから全力投球して当然ですのよ!〟

〝てかお嬢様しっかり周り見て!〟

〝お礼は嬉しいですけどコメ欄はそんな気にしなくていいから!〟

〝深層配信中にがっつり浮遊カメラ目線はおハーブ〟

〝てかちょっとお嬢様!? さっき少し調べたら加速による過熱は摩擦熱ではなく空気の圧縮によるものらしいですわよ!〟

〝さっきドヤ顔浮かべてたお嬢様にお知らせなんですけど、摩擦熱はよくある勘違いらしいですわ!〟

〝お嬢様! さっきの非常識筋肉クイズの解答が間違ってた疑惑が持ち上がってましてよ!〟



「え……。……。さて! 深層は油断ならないと皆様仰ってますしコメントばかり見てないでしっかり周りを注意ですわね! 次はどんなモンスターが出てくるか、わたくしいまから緊張でプルプルですわ!」



〝あんた戦闘中もがっつりコメント見てたやろがい!〟

〝こんなときだけコメントの意見に素直に耳を傾けてておハーブ〟

〝山田ァ!〟

〝これは疑惑の配信者〟

〝お嬢様相変わらず嘘へったくそでおハーブ〟

〝自作自演疑払拭の配信で別の糾弾がはじまってて草〟

〝お嬢様が同接400万の集合知に殴られてておハーブ大農園〟

〝みなさまおやめになって! さっき普通に騙されたわたくしにも流れ弾がきてますわ!〟

〝さっき普通に騙されてぐぬぬコメントしたわたくし、低みの見物〟



「……あ! ナイスタイミングですわ!」


 とカリンが腕に装着しているスマホに表示されるコメントからがっつり目をそらしていたとき。


「なにか来ますの。これはコメントに目を通してる場合ではございませんわね!」


 カリンが話を逸らすように視聴者へ会敵を知らせる。

 すると広い通路の角から現れたのは――2メートルほどの体躯をした異形だった。 


「キシキシキシ……!」



〝うわなんだこいつ!?〟

〝虫人間!?〟

〝キモなのじゃー!?〟

〝インセクトウォーリアー系か!?〟

〝めっちゃ武器持ってる!〟


 

 カリンの前に現れたそれは、インセクトウォーリアーと呼ばれるタイプのモンスターだった。 


 硬い甲殻を鎧のように纏った二足歩行の虫人間。

 一番の特徴はその〝手数〟で、どこで入手したのか全部で4本ある太い腕に大剣や棍棒を装備している。


 大きさこそ深層モンスターのなかでは小柄だが、纏うオーラはほかの魔法生物と遜色ない。


「さて、あなたはどんな能力をもってまして?」


 とカリンが問いかけた瞬間――ドヒュン!


 答えの代わりとばかりに、インセクトウォーリアーが凄まじい速度で突っ込んできた。

 


〝!?〟

〝うわ速!?〟

〝浮遊カメラの俯瞰視点でも全然動きが追えないんだが!?〟



 下層最強と名高いミノタウロスのブルラッシュすら比べものにならない突進速度。一瞬でカリンとの間合いを詰めた虫人間は間髪入れず四本の腕を振るい、その瞬発力と手数でカリンに襲いかかる。


 ブオン! ドゴオオオン! ズシャアア!


 大剣が空を切り棍棒がダンジョン壁に叩きつけられ轟音が鳴り響く。

 凄まじい身体能力と手数から繰り出される攻撃は並の冒険者を一瞬でミンチにするだろう大型ミキサーそのものだ。だが、


「悪くありませんが、単調ですわね」


 カリンは四方八方から繰り出される攻撃を完全に見切っていた。

 踊るような動きで完全回避。髪にもドレスにも一切の攻撃がかすりもしない。



〝お嬢様やべえええええええ!?〟

〝いやなんでこの人この格好であの速度避けられるんです!?〟

〝髪の毛やドレスにすらかすらせてないんですかこれ!?〟

〝モンスターと事前に殺陣タテの打ち合わせしてません!?〟

〝モンスターと事前打ち合わせはおハーブ〟

〝そういや今回、上層中層はショートカットしたし下層は回避より攻撃優先で進んでたからカリンお嬢様のまともな完全回避は今日ほぼ初めてか?〟

〝カリンお嬢様の変態プレイ初見が深層戦とかご新規さんに対する刺激が強すぎる〟

〝新規視聴者の悲鳴からしか得られない栄養ぱくぱくですわー!〟

〝新規さんおわかりいただけたでしょうか、これがカリンお嬢様です〟

〝にしてもなんかこいつ弱くない?〟

〝殴ってくるだけの深層魔法生物さん……〟

〝さすがにさっきのミストが強すぎたんじゃないの〟

〝同じ深層モンスターっていってもピンキリあるわな〟

〝こいつは身体能力特化で虫モンスターにありがちな群れたら怖いとかじゃない?〟

〝いやお前らお嬢様で麻痺してるかもだけどあの速度と手数は普通に驚異だからな!?〟

〝まあでも深層にしては……ってのはわかる〟

〝なんか殴ってくるだけですしいっちゃえですわお嬢様―!〟



「ではそろそろこちらからもいきますわよ!」


 しばらく回避に専念して様子を窺っていたカリンがぐっと拳を握る。

 

「ふん!」


 相手の動きを完全に読み、隙を晒した腹部に鉄拳を叩き込んだ。

  

 瞬間――ドッ。


 そんな軽い音を響かせて、


「キシキシキシキシキシッ!」


 ブオン!


 拳を受けたインセクトウォーリアーが何事もなかったかのように鳴き、お返しとばかりに武器を振り下ろしてきた。


「おっと、ですわ」


 カリンはその反撃を当然のように避けるが、大混乱に陥るのはコメント欄だ。



〝え!?〟

〝は!? なんだいまの!?〟

〝え、お嬢様いま寸止めした!?〟

〝いや普通にガチ殴りしてたろ! それにお嬢様の場合寸止めしても爆風が突き抜けるはずなんだが!?〟

〝強化ミノタウロスでも吹っ飛んだのになんでこいつ軽いジャブ食らったくらいの反応なんだよ!?〟

〝嘘だろ!?〟



 いままで数多のモンスターを問答無用でぶっ殺してきた拳がまったく効いていないという異常事態に視聴者たちが動揺する。


「ふむ。いまの妙な手応え……もうちょい色々な部位を殴ってみましょうか」


 ドドドドドドゴンッ!


 カリンは連続で拳を叩き込む。

 だが結果は同じ。


「キシキシキシキシッ!」


 愉快げな声を響かせ、インセクトウォーリアーは涼しい顔で武器を振るい続けていた。その甲殻は砕けるどころかヒビの一つも入っていない。



〝うええええええええええええ!?〟

〝なんじゃこいつ!?〟

〝まさか打撃の無効化でもしてんの!?〟

〝え、もしかしてこれCGではなくて??????〟

〝お嬢様の拳がモンスターぶっ殺したときじゃなくて効かなかったときにフェイク疑われるのはおハーブ……とか言ってる場合じゃねえよなんだこの虫!?〟


 

 繰り返される鉄拳の無効化。

 そしてその深層モンスターが持つ特性は防御方面だけに留まらなかった。


「――キイイイイイイイイイイイイッ」


「あ、こりゃヤベェですわ」


 言ってカリンが大きく回避行動をとった次の瞬間――ドッッゴオオオオオオオオオオオオオオン!


 インセクトウォーリアーの口から放たれた衝撃波が、


 その威力はまさに規格外。

 壁には巨大なクレーターが発生し、通路全体が大きく揺れる。



〝はあああああああああああああああああ!?〟

〝え、ちょっ、なんだこいつ!? マジでなんだこいつ!?〟

〝お嬢様のパンチ連続で耐えたと思ったらなにこの威力!?〟

〝ワイアーム戦でお嬢様が放ったガチパンチと同じかそれ以上じゃん!?〟

〝は? そんなん誰も勝てないんだが????〟

〝誰だよこの虫のこと雑魚とか言ってたの!〟

〝いや、え、マジで……?〟

〝いくら深層が魔法生物の巣窟っていってもいきなりこれはおかしくね!?〟

〝どうなってんだよこいつ!?〟

〝いやちょっと待てまさかこの虫……!?〟



「なるほど。この方わたくしのパンチの衝撃を吸収放出してますわね」


 大混乱のコメント欄とは対象的に、カリンが冷静にその分析を口にする。



〝え〟

〝うわそういうことか!?〟

〝マジでか!?〟

〝なんで開戦直後に衝撃波放たなかったんだろうと思ったら……〟

〝いやそれにしてもこの威力を吸収放出するのヤバない!?〟

〝パンチ数発分を溜め込んでから一斉放出して威力爆上げしてるぞこいつ……〟

〝バケモンじゃねえか!〟

〝マジで魔法生物すぎる……〟

〝いやこれ拳じゃ無理でしてよ!?〟



「ふむ。では次は武器のほうも狙ってみましょうか」


 言って、カリンはモンスターの特性を見極めるように再度攻撃を仕掛けた。

 狙うは敵の持つ4本の武器だ。

 

 だが――ドゴッ。

 

 インセクトウォーリアーが持つ武器は体の一部判定なのか、これまでと同様に衝撃が吸収される。かつてお紅茶装備で中層ボスの武器を破壊して見せたカリンの拳が完全に無効化されていた。



〝マジでか!?〟

〝えええ……深層ヤバすぎない……?〟


¥50000 @光姫

武器に対する衝撃も吸収されるとなるとかなり厄介なモンスターですね。恐らくこの武器と切り結んだ際の衝撃も吸収されるでしょう。モンゴリアンデスワームちゃんほどの切れ味があれば突破できるかもしれませんが、なんにせよ近接戦闘は避けたほうがよさそうです。恐らく正攻法は防御に秀でた近接職で足止めしてからの魔法職による遠距離砲撃ですね。


〝光姫様その冷静な解説は自分の配信でやってクレメンス〟

〝光姫様はミスト戦からずっと大興奮でいままともに喋れない状態だから……〟

〝ナチュラルに5万は草〟

〝いやこれ近接無効どころかキッツいカウンターかましてくるって意味ではミストより厄介じゃございませんの!?〟

〝魔法スキルでしかダメージ与えられないのか……〟

〝魔法スキル出るやつは近接弱い傾向にあるし、この虫は近接戦闘もクソ強いからソロで挑んだら普通にやられる〟

〝マジで光姫様の言う通り前衛と後衛で連携するしかないじゃん!

〝そりゃ深層ソロ攻略なんて無理って言われるわけですわ!?〟

〝お嬢様ここはいったん下がって今度こそお優雅トリングですわ!?〟



「うーむ、確かにそれがベターなのでしょうけど……」


 カリンは攻略法を分析提案するコメント欄に視線を落とす。

 そして同時にインセクトウォーリアーの動きをじっと観察して、


「この方、そこまでする必要ないのではなくて?」


「キイイイイイイイイイイイイイッ!」


 ドッゴオオオオオオオオン!


 カリンのそんな言葉に反応したわけではないだろうが、再びインセクトウォーリアーが衝撃波を放った。


 カリンのパンチを何重にも束ねた超威力の砲撃に、カリンが完全回避できるとわかっていてなお視聴者たちがビビり散らす。


 だがその一方で、


「やっぱりあなた、衝撃波を放つときはわたくしから少し距離をとりますわね?」


 ドゴゴゴゴゴゴゴン!


 衝撃波を回避したカリンは虫人間にこれまで以上の速度で拳を叩き込みはじめた。

 

 その行動に「え?」と首を傾げるのは視聴者たちだ。



〝ちょ、お嬢様なにやってんの!?〟

〝またあのでかい衝撃波がきますわよ!?〟

〝どうしまして!?〟

〝衝撃吸収されない弱点部位でも探してるとか!?〟

〝おいおいおいおい! お嬢様の回避能力は信じてるけどあんな衝撃波食らったらおしまいだし危ない真似はやめたほうがいいって!〟



 衝撃波の威力を警戒する視聴者たちが一斉に叫び声をあげる。

 だが、

 


〝あれ……?〟

〝なんだ?〟

〝なんかさっきからこの虫タコ殴りにされてるのに全然衝撃波出さないな?〟

〝それどころかなんか焦ってるように見えるんだが……?〟

〝え、どうなってんの?〟



「……っ! キイイイイイッ!」


 と、散々殴られまくっていたインセクトウォーリアーが武器を投げつけカリンを牽制しながら強引に後ろに下がる。そして衝撃波を放とうと大きく口を開くのだが――ドゴン!


 一瞬で肉薄したカリンが殴りつけた瞬間、衝撃波が中断。

「ギッ!?」と虫の瞳が驚愕に揺れる。


「やっぱりですわ」


 カリンはお優雅な笑みを浮かべて、


「あなた、衝撃の吸収と放出は同時にできないんでしょう?」


「……ッ!?」


「なら衝撃放出しようとしたタイミングにあわせて殴りかかれば、一方的に殴り続けられますの!」


 ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴンッ!


「そして衝撃を無効化ではなく吸収しているのなら……その容量には限界があるのではなくて?」


 カリンのラッシュが始まった。

 そのすべては威力を吸収されろくなダメージになっていない。


「ギ、イ……っ!?」


 だがインセクトウォーリアーの顔に滲む焦燥はカリンの言葉を証明するように尋常ではないものになっていて、衝撃波を放つこともなく一方的に殴られ続けていた。



〝ええええええええええ!?〟

〝お嬢様あの衝撃波ぶっ放されながらそんな冷静に分析してたんですの!?〟

〝しかもなんかあってるっぽいし!?〟

〝いやあの、肝の据わり方が尋常じゃないんですが……〟

〝カリンお嬢様あなたお紅茶休憩しなくても全然冷静ですわね!?〟

〝やっぱりあのお紅茶休憩ってパフォーマンスだったのでは? ボブは訝しんだ〟

〝衝撃吸収に限界があるってマジで言ってる!?〟

〝仮にそれが当たっててもいつ容量限界がくるかわからんしこんだけ打撃ぶち込んだらワンミスでとんでもない衝撃波が返ってきますわよ!?〟

〝悠長なことしてたら相手もなりふり構わなくなるのではなくて!?〟



「ッッッ! ギイイイイイイイイイイイイイッ!」


 瞬間、コメント欄が危惧したとおりにインセクトウォーリアーが絶叫。

 持てるすべての武器をがむしゃらに投げつけてでもカリンから距離を取ろうとする。


 だが――シャッ!


 カリンは決して離れない。

 投擲武器も捨て身の攻撃も最低限の動きで完全回避。

 インファイトの距離を崩さない。


 そして――ドッッッゴン!!


「カッ!?」


 一際強烈なアッパーが叩き込まれる。

 途端、インセクトウォーリアーはこれまでと違い、まるで衝撃を吸収できなくなったかのように中空高くまで吹き飛んで、


「ボンッ、ですわ!」


「ギ――イイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!?」


 ドパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパアアアアアアアアン!!!!


 放出されずに溜め込まれる一方だった衝撃が体内で一気に爆発。

 体に埋め込まれた無数の爆弾が一斉起爆したような凄まじい衝撃がインセクトウォーリアーの体内で弾けまくり、その体は跡形もなく消滅した。


「お~。思ったよりきったねぇ花火……じゃなくて、コホンッ! 綺麗な花火ですわね~」


 爆発四散したモンスターを見上げながらカリンは息を吐く。


「ふぅ。なかなか面白いモンスターでしたわね! アレは是非いつか素材を集めて武器を作ってみたいですわ! いつものお優雅な配信もいいですが、先ほどのミスト様といい、こういう特殊な初見モンスター様と戦う様子を配信するのも謎解きゲーム実況みたいで面白いですわね!」 

 


 とカリンは視聴者に向けて尋ねるのだが、


〝……………………〟

〝…………………………〟

〝………〟



「? あ、あれ? コメントが止まりましたの!? いけませんわ! 今日は大切な配信ですのにこんな接続トラブル! ……はっ、それともまさかこれがまふ――親友が警戒するよう言っていたブラックタイガー様の妨害ですの!?」


 カリンが停止するコメント欄に慌てて悲鳴をあげれば、



〝いや、あの……〟

〝初見深層モンスターの特性を完全分析した挙げ句に結局力業でねじ伏せるのはなんなんですの……!?〟

〝アレを見て綺麗な花火はそれはそれでヤベェ発言ですのよ……〟

〝これブラックタイガーが持ってる情報よりずっと詳しく深層モンスターの生態と攻略法を分析配信してるやろ……〟


 かろうじてといったように、いくつかのコメントがぽつぽつと流れるのだった。


――――――――――――――――――――――――――

コメント欄にちょいちょいある各種質問ですが、もしかすると「カリンお嬢様への質問回答雑談配信」「光姫様の常識講座」などの番外編的なかたちでまとめてお答えするかもです。もちろんカリンお嬢様のレベルなど回答できないものはありますが、コメ欄への返信だけでなくなにかしらのかたちでまとめてお答えするのもいいのかなと(あくまで予定ですが 汗)。


ちなみにですが今回の深層配信編は結構なボリュームになる予定です。週2更新なのもあって色々お待たせしてしまいますが、引き続き楽しんでいただけますと幸いです(書籍発売にあわせて連続更新しようかなとは思ってます)。

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