第64話

 先にエレンを入浴させた。

 ある程度体調もよくなっていると思うが、まだ血を失ってからそれほど時間が経っていない。


 だが今はどうしようもないから、先に入浴させ、ゆっくりとは言わないが、俺が入浴を済ませる間ぐらいは休む事ができるはずだ。

 俺はオリビアに色々確認した。

 食事は誰が用意していたのか、ダンジョンでドロップしたアイテムをどう処理したのか、等々。

 本来であればステファニーさんに聞くべき事なのだが、今彼女は冒険者ギルドでボプさん対策で戻ってこれない状態なのだ。だから彼女に聞いた。

「食事は基本私が担当しています。ドロップアイテムはアンチェが担当です。」

「そうか・・・・食事は一度頂いたが、控えめに言って美味しかった。」

「ありがとうございます。」

「それと、ドロップアイテムってそれなりに数があると思うが、背の高い女性だよな?彼女だけで大丈夫なのか?」

「大きな箱に仕舞ってから運搬させておりますが、彼女は見た目と違い可也の怪力です。なので問題ありません。」


 あまり想像できないが、オリビアがそう言うのであればそうなのだろう。

「もうすぐエッフェン様が出てまいります。今はトゥーナが介助しております。」


 一人で入っていないのか・・・・まあ何かあると困るから、女性に手助けをしてもらえるのは好都合か。

 で・・・・エレンが出てきたので代わりに俺が入ろうとすると、何故かオリビアが付いてきた。

 言っておくが俺は女性に入浴を手伝いをさせようという趣味も、屋敷の主だからと無理矢理とかは無い。


「一人で入るから大丈夫だ。」

「いえ、必ず私が必要となりますから、駄目と言われても付いてまいります。」

「いや、そう言う事じゃなくてだな・・・・」

「分かっております。ヘリット様は紳士でございますから。先ず衣類はこちらへ。新たなお召し物は此処へご用意致しました。」


 俺はどうするか悩んだが、実際にはそんなに時間が無いはずだ。

 いつボプさん達が戻ってくるのか分からないからだ。


 オリビアさんの視線を感じるが、色々考えるのが面倒になったので思い切って全部脱いで、さっさと入りる事にした。


 後からオリビアさんが入ってくるのを感じたが・・・・まさか裸じゃないよな・・・・椅子に座り身体を洗い始めた時、ちらっと肌が見えた・・・・おもいっきり裸じゃないか!


 尤もエレンの裸を見た事があるから・・・・という問題ではないな。

「背中を洗いましょう。」

 ・・・・慌ててうっかり振り返って彼女の裸を直視してしまう事を考慮し、もうオリビアさんに全て任せた。

 任せた瞬間後悔した。

 俺の正面を洗うのに、背中側から密着してきたからだ・・・・

 俺は思考を停止した。

「こうなる事は分かっておりましたから・・・・」


 何か聞こえた気がした。

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