第63話

 3人共泣いている、というか号泣。


 今俺の前で号泣している3人は、俺とエレンがダンジョンアタックに向かうのと入れ違いで屋敷にやってきたらしい。

 修道院から来たそうだが、俺、毎日のように修道院へ行っていたけれど、一度も見た事がない。


 後で寄付を・・・・あ!冒険者ギルドでドロップアイテムの買取、どうするか聞いていなかった。

 寄付するにもお金がないとできないぞ。


「良かった・・・・ただ一人だけ、どう呪われていたのか分からない。」

 あーお喋りの女性だなそれ。

「まあたぶん、胸じゃない?」

「胸?確かにあまり膨らみはなさそうだが、そのような女性は沢山いるぞ。」

 そうなのか?あまり女性をじろじろ見るのは駄目だと思っているし、あまり縁がなかったからなあ。


「ただ、喋っていなかった女性は、ぎこちないけれど言葉が出ているし、解呪してあげてよかったのではないか。」

 ふと思った。何故3人共呪われていたのか。

 偶々3人共呪われていたのか、意図的に呪われていた3人を俺の所へ派遣したのか、まさか修道院の女性は全員呪われているとか?

 神の所有物というのは意図的にそう言わせているだけで、実際には神が自分の所有物という印を付け、それが呪いだったとか?

 神がそんな事をするとは思えないが、何かありそう・・・・今はそれをどうこうする時ではないな。


「あーすまないが俺とエレンは急いで着替えをしないと駄目なんだ。悪いけれど一旦屋敷に入りたいんだけれど。」

 3人は俺を見た。

 オリビアさんが真っ先にやってきた。

「申し訳ありませんヘリット様、エッフェン様。入浴の準備は整っています。着替えも用意して御座います。では案内をいたします。」


 先に解呪していたからか、オリビアさんが動いてくれたようだけれど、何年も呪われていたんだ、解呪して直ぐに仕事は無理だよな。

「俺が来たのは主に倉庫代わりにする場所を見る為だったっけ。明け渡された翌日にはダンジョンに居たから、まだ実感がわかないな。」

「確か精霊・・・・じいちゃんが運んでくれる手はずになっていたと聞いている。ダンジョンでドロップアイテムを全て回収できるというのは凄い事だ。」

 ダンジョンはそう簡単に戻れないから、価値の低いものから順に捨てるしかないからなあ。


「あ、オリビアさん、入浴の前に、一度倉庫を見ておきたいんだ。」

「かしこまりました。ではこちらへ。」


 実は屋敷って結構広いから、何処がどの部屋かなんてわからない。

 暮らすようになればわかるのだろうが・・・・広すぎて落ち着かない可能性あり。

 そうなると部屋を仕切るしかないか・・・・あれ?そう言えば執事になったステファニーさんと、修道院から派遣されている3名の女性って、何処で寝泊まりしているんだ?

 元々住んでいた場所からそんなに離れていないから、通い・・・・だよな?

 あと、エレンはどうなんだ?元々住んでいた場所があったと思うのけれど、1ケ月以上ダンジョンに居たから、まさか宿なし?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る