第62話

「あいた!何も殴らなくてもいいじゃないのおおおおお!!!痛い痛い!」


 オリビアさんがグーで殴って、脛を蹴っている・・・・地味に痛そう。

「そんな事より2人とも、ヘリット様から解呪してもらいなさい。」


 ・・・・初対面だからわからないけれど、2人とも呪われている?

 1人は喋らないからもしかして?と思わなくもなかったが、背の高い女性も呪われているの?ひたすら喋っているのが呪い?


『あー確かに呪われているみたいねーちょっと待ってねーさっき力を使ったばかりだからやってくれるか聞いてくるねー。』


 シルフさん、何だか投げやり?

 暫くして光と闇の精霊さんがやってきた。

『何故誰も治療しない?』

『呪いが一杯。よく生きていたね。』


 呪われているから闇の精霊さんの言葉は分かるけれど、光の精霊さんの言う治療って何だろう。


「あーその・・・・はははっははは・・・・解呪するの?そうなるとどうなるの?ねえねどうなるの?」

『あっちの娘は言葉が戻るわね。あんたはどうなの?無口になる?それとも背が縮む?それとも貴女、まさか・・・・』

「ははははっは・・・・まな板って慣れているからさあ、今更って気がするけれど・・・・大きくなる?それと縮むの?マジで?」

『やってみないとわかんないなあ。でも放っておくとアンタあと数年で死ぬよ。』

 シルフさん、軽いノリでさらっと凄い事言っているけれど・・・・死ぬの?

「じゃあじゃあやっちゃって!トゥーナがお喋りさんになるといいわね!ねえねえ!」

「アンチェ落ち着きなさい。」

「わかったわよオリビア!グーはやめてグーは!」


 ・・・・見ていて飽きない。

 解呪された先輩としてエレンはどう思っているのだろう。

「呪われた人、多いな。私が呪われた時に何かあったのだろうか。」

 うーん、どうなのかな。

 まあ実際年令的には俺達全員近い感じだし?数年違っていても恐らく呪われた時って子供の時だよな。

「何かあったかもしれないが、俺は出自がそもそもド平民だからなあ。」


 つまりエレンみたいに呪われる理由も旨味も無いはずなんだ。

『どうせ今からお風呂でしょ?やっぱり地面にくっついてもらうのが一番なのよ、って事でお願いねえ!』

 折角立ったままでも地脈と繋がる事が出来たのに、結局寝転んでおかないと駄目なのかあ。


 俺は仕方がなく、地面に突っ伏した。

 あ、やっぱりさっきまでとは違う。

 魔素の入りが違うぞ。

『こっちのがいい。二人いるからガッツリ頂く。』

『終わるまでこうしていて。』


 光と闇の精霊さん、あっという間に治療と解呪が終わったようだ。

『貰うよ。』

『濃厚。』

 暫くして満足したのか、光と闇の精霊さんは何処かへ行ってしまった。

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