第60話
気持ちがいい。
柔らかな何かが頭を包み込んでいるような・・・・
目を開けたら何故かオリビアさんの顔が近くにあった・・・・何事!
少し動いたら視界が塞がれた・・・・くるっとしたら少しだけ・・・・俺は起き上がった。
どうやらオリビアさんが膝枕をしてくれていたようだ。
「どうしていた?」
「限界を迎え倒られたのです。時間として僅か数分です。」
限界って何。
「迷惑をかけたな。ほぼ初対面の俺にここまでしてもらってなんだが、俺にそんな価値は無いよ。」
だが真っ直ぐな視線のまま俺を見ているオリビアさんからは、何を感じているのかわからなかった。
「それを決めるのは私です。任務完了おめでとうございます、ヘイマンス様。」
任務完了?失敗の間違いじゃないのか?
「違う。失敗だ。」
「いえ、既に精霊様より詳細はギルドへ伝えられていますから、問題ございません。」
ボプさん達の確保か、討伐する必要があったんじゃね?
「俺はおめおめと逃げてきたんだ。」
何故かオリビアさんが俺を抱きしめてくる・・・・よくわからんが落ち着く柔らかさと匂いだ。
「伝えるべき事が3つ御座います。第一にヘイマンス様も血を失っております。暫く養生が必要。第二にボプ・ポプマは指名手配されました。エッフェン様とヘイマンス様が活躍して下さったお陰です。第三にヘイマンス様は自身の価値を正しく認識した方が宜しいかと。」
自身の価値・・・・今まで精霊の事、誰も理解してくれていなかったしなあ。
地面に突っ伏さないといけないから、パーティーに加入しようとしても、結局正式加入できなかった。
で、精霊が見えないからって法螺吹きって随分言われたんだよなあ。
「あーその、それは後でいいとして、ボプさん達の事はどうなるんだ?結局俺のした事って有用な武具を渡してしまったって事なんだよ。」
「・・・・未確認ながら精神攻撃を受けました。事前に情報を伝えられなかったギルドに非があります。そんな中ヘイマンス様は精霊を遣わし、情報を使える事に成功いたしました。立派な成果で御座います。」
そうなのか?
だがなあ、オリビアさんの表情が気になって。
ここまで全く変化なし。
呪い?そう言えば馬車でそんな事を・・・・
「無駄ですので何もなされませんよう。」
絶対先読みしているよな。
「解呪しちゃったらその能力が使えなくなる?」
「それは・・・・別です。」
「じゃあやっちゃおう。という訳でお願いします。」
今の俺は地面に突っ伏さなくても地脈と繋がる事が出来るんだよ。
『今なら大丈夫。』
『また厄介な・・・・終わったよ。』
厄介と言いつつ、秒で終わるってどうなんだ。
『どう?笑って。』
オリビアさんがにっこりと・・・・おお!にっこりしているのがわかる!
『おめでとう。これであなたも幸せになれるね。』
「・・・・か、顔が・・・・ヘイマンス様、そして精霊の方々、感謝いたします。神から受けた状態保持の神術から解放されるとは・・・・ありがとうございます。」
よくわからないがオリビアさんが泣いている。
俺ももらい泣きした。
そしていつの間にかエレンが隣に居た・・・・
「少し休んだからもう心配いらない。」
よかったが・・・・オリビアさんが俺に抱き着きながら号泣している・・・・修羅場に見える?
俺が対象の修羅場って想像できないけれどな。
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