第14話
エレンとパーティーを組んだ。
なのでいつものように手持ちのお金を全額寄付という訳にはいかなくなってしまい、申し訳ない気持ちでシスターと接した。
「シスター、少し前にパーティーを組む事になったんだ。彼女が仲間になるんだ。」
俺はシスターにエレンを紹介した。
「エレン・エッフェンという。先程の祝福、実に素晴らしかった。心が洗われるような気持になった。」
「いえ、これぐらいしか差し上げる事が出来ませんから。」
目の前に居るシスターは俺より年齢は高めだが、美人なのに親しみやすさもあって大人気だ。話も上手で俺の拙い表現から、俺以上に情報を引き出し導いてくれる。
「それでそのシスター、今後は彼女と活動をする事になったのでその、いつものように寄付が出来なくなったんだ、ごめん。」
「いえ、いいのですよヘイマンス様。貴方は今まで私が心配する程寄付をして頂いていましたから、もっと自身の事に使った方がいいと何度も助言しましたわ。いつも頑なに拒絶していましたから良い機会ですわ。もっと自分と周囲に投資なさいな。」
投資って。俺にとっては修道院で有効活用してもらった方がいいんだ。
修道院は貧しい人々、病める人々に救いの手を差し出す場所だ。
しかも人々にとって最後の砦であり、唯一と言っていい程貧乏人や病人の味方なのだ。
そんな人々に俺は直接何かをしてあげる事が出来ない。
だから修道院にお金だけ、という申し訳ないながらも何らかの手助けになれば、と思い寄付をしている。
「分かっていますシスター。ええとですね、自分に必要な分とパーティーで活動する分を差し引いた金額で申し訳ありませんが、本日の分です。お納め下さい。」
今回はエレンがいた事もあり、いつも以上に精霊達が頑張ってくれたお陰で、エレンと折半し、パーティー資金を確保してもいつも以上にお金が残った。
「いつもありがとうございます・・・・ってヘイマンス様!前回よりも多いですよ!ちょっと待って下さい!」
「これから買い物がありますからさようなら!」
「ヘイマンス様!私の話を聞いていましたか!戻って下さいまし―!」
俺はエレンの手を取り、商店街へ向かった。
「いいのかヘイマンス殿、シスターが叫んでいるぞ。それに私もあの金額はどうかと思った。今後冒険者として活動をするのであれば、今手持ちにある物以上に質の良い武具を買い揃える必要がある。それには先程寄付した金額の10倍以上は金が必要だ。」
俺はエレンの手を掴んだまま助言を聞いた。だが寄付を止めるつもりはない。
「エレンの言いたい事は分かるつもりだよ。だけど俺は前衛として、武器を手にして魔物とやりあうつもりはないから性能の凄い武器は必要ないんだ。防具もそう。精霊達が護ってくれるから、身を護るというよりはかわす方がいいから動きを妨げない服の方がいいんだ。」
今までは平原での活動だったので、殆ど魔物に襲われる事なく活動できた。
どちらかと言えば恐ろしいのは人間だ。
味方を装って襲ってくる。
もっとも精霊の守りを突破できるとは考えにくいけれど。
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