第5話 お気に入りの場所
「モエ、一応これ着て」
玄関のドアを開ける前に、リリィは白いローブを渡してきた。
ローブはちょうどふくらはぎが
ついでにフードも
「あっちの世界からここに来たのはモエだけだよ」
人差し指をそっと口元に当ててリリィは言った。
つまり、私という存在はこっちではひどく
知られたら、何かされるのだろうか。そう思うと、なんだか変に緊張してきた。
リリィがドアを開いた。
その先の
カメレオンが大きくなったような生き物と散歩する人。
あちこち飛び回る
ひとりでに壁をペンキで
それをさも当たり前かのように、街の人は
(本当に
「
「おー、リリィ!」
少し行った先の店でランタンを売っている男の人が声をかけてきた。
「あ、マルルおじさんだ!」
「マルルおじさん?」
「近所の人だよ。よく庭で取れた
(ケミュ???)
しかし、それにいちいち
「お〜!新作のランタンだ〜」
リリィは店頭で売っているランタンに近づいた。
リリィが手に取ったランタンは、
「これは
私も思わず他のランタンに手を伸ばす。
「おや?初めて見る顔だね。君はリリィのお友達かい?」
私に気づいたマルルおじさんが声をかけた。
「あ――」
「そう、違う街の子なの!初めて来たから案内してる」
「そうか、そうか。楽しんで行ってな!」
そう言うと、マルルおじさんは笑顔で私たちを送り出してくれた。
「ごめん、ちょっと先急ぐよ〜」
「ちょっと、どこ行くの〜」
今度は坂道を歩かされ、だんだん息が切れてきた。
「
「も〜!
「モエって意外と体力ないのね〜」
リリィは気にせずズンズンと先を歩いていく。
(友達もいないし、どうせいつも家で引きこもってますよ……!)
心の中で
「見て!」
ようやっと立ち止まったリリィが指差した先は、この
「わぁ……」
トーリィランドは上から見ると、ちょうどハートの形みたいになっていたのだ。
丘の下にいた時は気づかなかった。街全体が木々に囲まれていて、うまい具合に仕切られている。
「暗くなるともっと
「すてきな
「へへっ。お気に入りの場所なの。モエをびっくりさせたくて」
「きれい……」
日はもうすぐ暮れる頃になっていた。
夕日が落ちていって、街を少しずつ
その光景に私は
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