第2話 読まずに破った


本を知りませんか?私の本なんです。


私が小さいころから大切にしている、私の本なんです。

お母さんにもらったその本は、小さい頃の私には分厚くってとても読むのに気が乗らなかったっけ。でも大切な私の本なんです。




大切なものは持ち歩かないほうがいいっていうでしょう?

小学校のころ大切にしているかわいいキャラクター柄の鉛筆を誰かに盗まれたときに担任の先生に言われたわ。

「そんなに大切にしているなら、おうちで使いなさい。」って。

おかしいと思わない?てことはみんな、学校に持ってきているものは大切ではないってことなのかしら。大切でないなら盗んでもいいのかしら。

私はそんなのおかしいと思うわ。誰にだってお守りの一つや二つあるでしょう?

持ち歩きたいと思わないのかしら。

まぁ私はその本を毎日持って歩いて、今日やっとなくしてしまったのだけど。




本は盗まれたのかって? 

そんなことわからないわ。

でも私の手元にはない。なくなってしまったの。


きちんと探したわよ。

でも私から手放すことは絶対にない。

酔っぱらって記憶をなくすけど、毎回本は私ん手元にあったわ。

同じものを買えばいいじゃないって?

もう同じものはないのよ。全部全部同じじゃないと嫌なの。



私は頭がよくないから。

一度読んだ物語は覚えているけど細かいところまで覚えていないの。

好きなアニメもドラマも、大好きなのだけどセリフや情景まで覚えていない。

でも全部大好きなの。

依存している?そうかもね。

それが好きという気持ちに執着しているのかも。

もしくはそれを好きだったという自分が好き?わからないけど。

だからこそ持ち歩くの。全部抱えて離したくないの。




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いつか知ることができたら。 mayoi @mayoimm

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