異世界転生

ぴろわんこ

第1話

おれは異世界に転生してしまった。前にいた世界ではモンスターを倒して賞金を稼ぎ、レベルアップして親玉を倒すという世界だったのだが、ここにはモンスターはいなかった。

倒すべき敵がいないのに、この剣を振るうわけにはいかない。おれはとりあえず自重し、町中を散策する日々を繰り返した。


だが巷に置いてあるテレビというのを見て、おれは愕然とした。人から金を騙し取ったり、人から金を奪ったり、人に性的被害を加えたり、挙げ句の果ては人を殺したり、人同士で戦争を行ったりと、そんなニュースが毎日流されていた。


おれには信じられなかった。おれの世界では悪いのはモンスターだけで、人間たちは皆善良で人の金を奪ったり、ましてや人を殺したり人同士で戦争をするなどということは考えられなかった。


そう考えて初めておれは自分の使命に気づいた。そうかモンスター退治で鍛えたおれの腕と、鋼の正義の心をこの犯罪者と呼ばれる者たちを退治することに発揮せよということだな。


そう目覚めてからのおれの動きは早かった。全国を駆け回り悪質な運転をする車や、店から物を盗もうとする奴、また物を届けに来たようなフリをして家に押し入りそうな奴らを斬り倒した。

時には刑務所や留置所と呼ばれる施設にも忍びより、その中の犯罪者を斬り倒した。


その日もいつものように、怪しげな男を斬ろうとしたところを警官とこの世界で呼ばれている男から銃で撃たれた。

意識が薄れてきた。何故だ。悪を根絶やしにすることがおれの使命ではなかったのか。しかも犯罪者から撃たれたのだったらまだ分かるが、銃という飛び道具を持った正義の側の人間から何故撃たれなければならなかったのか。

いくら考えても分からないまま、意識が完全に失われた。

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異世界転生 ぴろわんこ @pirobigdog

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