13. 俺が悪いのだ、俺が。


 「お前さ、いい加減にしろよな」


 会話の流れで、そして俺も望んで、俺がキタを徒歩5分の家まで送り届けることとなった。


 街灯の少ない薄暗い道路で終始無言だった。


 キタの家のすぐ近くまで来たところで、俺は立ち止まってキタにそう言った。


 「わかってんだろ?自分が余計なことをしたって」


 「……ごめん」落ち込んでいるキタ。


 ——カナちゃん、じゃあねー!また来てね!楽しかった!


 頭の中で嬉しそうなナツキの声が反響するが、さっきまでの苛立ちを全部ぶちまけずにはいられなかった。


 「人の家に土足で踏み込んで色々口出して、何が楽しいんだよ……」


 「……本当にごめん」


 キタは、今にも泣き出しそうな表情だったが俺は止められなかった。


 「お前は、ぬくぬくフツーの家庭で生きてるのかもしれねぇけどさ、うちは違うんだよ。中学のときはどうだったかとか抜かしてたけど、もう違うんだよ。俺は家族の誰にも心配かけねぇようにしてるのにさ、それを全部台無しにするつもりかよ。ふざけんなよ」


 「……ううん、そんなつもりないよ、今日も、ユウが殴られたことに、2人とも心配してるかなと思って……」


 嗚咽が出そうになるキタ。


 「そのお節介が気にくわないんだよ。何様だよ」


 「……ううん、違うの」ひっくと聞こえ始める。


 ——うん!ありがとう、ナツキちゃん、ヒカリさん!

 

 「違うとかじゃねぇよ。お前の自分勝手な善意を俺らに当て嵌めるなって言ってんだよ。勝手に人の家かき乱ししやがって」


 「……本当に、ごめんなさい」


 ひっくひっくとしゃくり上げる声に混じって嗚咽が出始める。


 「何だよ、全部お前が火種だろう?俺がこうして訳もわからずに絡まれるのも、お前がテキトーに俺が良い感じとかバラ撒いてるんだろうが。今回も、お前の噂のせいで俺が殴られるハメになったんだろうが。お前の自分勝手さには虫唾が走るわ。本当になんだよ、マジで。俺だけ不快になるならまだしも、ナツキとか、ヒカリさんとか巻き込んでさ……」


 「ち、ちがうよ。ユウ。そんなことは……」


 声を嗚咽で途切れさせながらも何とか口を開くキタ。


 だが、これ以上話す気になれなかった。


 「もういいよ。マジで俺に一切関わるな。俺の人生にお前は要らない」


 ——エヌケ〜イェイ!

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