6. 数字の喜び
放課後、俺もその順位表を見に行った。自分の順位は各教科の順位を含めて、先ほど放課後のホームルームで返却された成績表でわかっていたのだが、こうして名前が張り出されるのを見ると何よりホッとする。
モリミヤも上手くやってくれるだろうし、奨学金もこれで打ち切りになることはないだろう。成績返却で名前を呼ばれて行ったときモリミヤはさりげなく俺の肩をグーで優しく叩いてくれた。
ただ、国英は1位であったが数学だけは2位だった。まぁこの各教科の順位の配列は、入学してから毎度ながら全く変わらずで見慣れてはいる。
そして、数学の一位の欄には、案の定の名前——クリュウフユ。しかも、クリュウは数学が満点だった。理系S特だから、俺のいる文系S特の隣のクラス。いつも図書室で勉強するか寝ているかの奴だ。
次こそはと思って、模試の前に数学に力を入れて勉強していたのもあって、今回はかなり悔しかった。1つでも2位の教科があるのは学年1位をこのまま維持できないんじゃねぇかという不安もあるし精神衛生上よくない。
だが、満点を取る自信はこの先何度模試を解いたとしてもなかった。何しろ数学だ、俺はこの教科を部分点をどう稼ぐかというものとして捉えていたからな。
「ユウ、また一番だったね」と後ろから声がした。
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