第20話 その勇者、危機を逃れる
料亭で『赤坂のご老人』との面談を終えて、来た時と同じ黒塗りの高級車で学園まで送って貰っている。
隣には、サクラ先輩が頭を俺の肩に預けて寝息をたてている。
ホント可愛い人だなぁ・・・
昨日から寝てなかったが、俺は『赤坂のご老人』から聞かされた話しのせいで、眠気も覚えることが出来なかった。
『日本号は、
『とても慈悲深い姫神は、人に災いをもたらす悪しき神を調伏するために、この日本号に化身なされたのです。本来は、黒田家に伝わる日本号こそ、姫神様の日本号の写し、言わばレプリカなのです。』
『そして、その日本号自身が俺の元に嫁ぎたいと言ったと・・・』
「・・・霧姫様は、
「起きてたのですか?サクラ先輩・・・」
サクラ先輩は俺の手にそっと自分の手を重ねて、
『
サクラ先輩に誰か別人の気配を感じたが、先輩はもう安らかな寝息をたてている。
俺はサクラ先輩の肩を抱いて、今日の出来事を振り返って考えた・・・
『日本号を所有する者よ、神の裏切りに心せよ・・・』
『赤坂のご老人』の言葉は俺の心に波紋を広げた。
◇◇◇
「交流戦代表選抜準決勝をおこなう!3-A 第2席次
なんか色んな事が起こりすぎて、すっかり代表選抜のこと忘れてたよ!
相手は3年のナンバー2だ。実質学園のナンバー2なんだろうが、何故か平安の陰陽師が出てきたよ。烏帽子まで被って。
「天霧。君の実力は充分評価しているよ。だが、今日は
涼やかな平安貴族様がそうおっしゃった。
「首に掛けた呪具といい、どんだけ持ち込んでるんですか・・・」
先輩の
まるで課金無双してる嫌なゲーマーではないかっ!
「戦いは数だよ兄貴でござるよー!」
「当たらなければどうという事はないンゴー!」
「進めば2つでござる!」
「
加茂以外のブラザースは遊んでるな?こんにゃろめ!
「・・・なお、準決勝からは、決闘の壇上から落ちた場合も失格となるので注意するように!」
(°□°)ピコン💡
初めて主審の話が頭に入ったよ!
よっしゃ、これだ!
「早くヤろうぜ!ハヨハヨ!」
「くっ!勝手なヤツめ・・・それでは試合開始!」
先手は俺がとる!
『
『神級魔法【次元隔絶結界】』
初手フライで飛び上がって、主審が死なないように次元結界で守ってあげる。
俺の半分は優しさで出来てるからな、ホント。
「先輩!死なないうちに降伏してくださいね!っと」
『帝級魔法【ムスペルスヘイム】』
準決勝をおこなう壇上全面を範囲に設定して、灼熱火炎地獄のムスペルスヘイムを発動した。
灼熱の火炎地獄に先輩が飲まれて消えた!ちなみに主審は俺の結界で無事!
「先輩!早く降参しろ!」
「心配は無用だ。」
火炎に覆われた壇上の一部、先輩が立ってる辺りの火が消えた。
先輩の周りには4体の妖怪が立って、火炎を消している!
「『
ギャラリーの女の子たちも、先輩の無事に安堵の声援を上げている。でも君たち、BBAに囲まれた貴公子ってありなの?
「では、次はこちらから行こうか。」
『
亀の形をした聖獣が現れ、先輩を甲羅に乗せて空中に浮かんだ。
『
先輩は後方にたくさんの呪符を浮かべて、次々と聖獣を召喚する。恐らくあの呪符が、先輩の呪力を増幅してるのだろう。
「白虎!朱雀!怨敵を滅せ!」
朱雀が炎を
朱雀との空中戦は、ちと不利かな?
『
俺は瞬時に数百の氷の槍を展開し、全ての標的を同時に槍で
ヴォ―――ォォオ!
ドガガガガガガガドンガガガガガガガガガ!
「何!玄武が敵の全てにバリアだと?!」
俺のオールレンジアタックを玄武のバリアで防がれた、その隙に白虎の爪と牙が迫り、朱雀が炎の体当たりをしかけてくる!
だが、白虎をかわし、朱雀に右手をかざし魔法を発動した!
『神級魔法【アブソリュート ゼロ】』
絶対零度の神級魔法で朱雀を凍り付けにした!だが!
『神霊転生!』
先輩が首に掛けた呪具を引きちぎって叫んだ!
「くそっ!朱雀が不死鳥となって復活かよ!」
「邪魔だ!このドラ猫!」
死角から爪を振り下ろす白虎の頭を蹴り飛ばす。
と、その隙に先輩は懐から取り出した宝珠を3つ、両手で印を切ってから飲み込んだ!
「3つ喰らいて、
俺の全周に次元の穴が開き、そこから呪符のついた鎖がたくさん飛び出してきて、俺を絡めとった!
「マズイ!」
『神級まh・・・・・・くっ!』
魔法の構築を阻害される!しかも精神攻撃も同時に・・・マズイ、マズイ!
[
『光の聖剣』を召喚しようとした瞬間!日本号がその白銀色に輝く姿を現した!
『・・・わが
日本号が白銀の光の尾を流星のように引きながら、呪術の鎖を断ち切っていく!
すると、『光の聖剣』と『黒丸』までもが勝手に顕現し、日本号と共に聖獣を斬り倒してしまった!
俺の神剣達に囲まれてしまった
フライで空中に停止している俺の周りを宝剣たちが飛び回っている。嬉しそうに・・・
「ガ、ガ○ダム!ガン○ムのビットでござる!」
「進んだら3つもらえたンゴー」
「
「天霧!主審!主審!死ぬぞ!こらー!」
やべ。勝利コール貰えないと思ったら、次元結界の中で主審様が酸素欠乏症で泡吹いて倒れとった・・・
それから、舞台の火も消しました。
「・・・しょ、勝者・・・あま・ぎ、り・・・」
メディ―――ク!
◇◇◇
「あーん、やだー!トウジさんったら!エッチぃ!」
「ほーら、ジアちゃん可愛いから!こんなんなっちゃいましたあ!ガハハ!」
新宿のキャバクラで派手にあそんでいるの
先日自分がハメられたせいで、師匠2人と、学園生1人を敵の罠にまんまとハメてしまった。
門松は、汚名を挽回するために、事件の唯一の手掛かりである自称留学生のジアの所に通っていた。
「ねぇ、トウジくぅーん!上の個室行こうよ。うんっとサービスして上げるからぁ」
「にしし、しょうがないなあ〜さっさっ行こう!」
・
・
・
バーホールの階上には、簡易的なパーテーションで仕切られた小部屋がいくつもあって、カーテン越しに嬌声が響いてくる。
その中の一室にジアが手を引いてトウジを連れ込んた。
カーテンを閉めるのももどかしげに、ジアはトウジの唇にむさぼりつきながら、トウジとベッドに倒れ込んだ。
お互いに身体をまさぐるジアとトウジ・・・トウジがジアの胸に貪りついた、その時
「うっ!何を・・・・・・」
ジアはトウジの首筋に注射器の針を立てていた。
「・・・うう・・・ジ・・ア・・・・・・」
ジアはベッドから身体を起こして、身支度を整えていると、カーテンが乱暴に開いてパーカーで顔を隠した男たちが狭い個室の中に入ってきた。
『ジア。よくやった』
『こ、これで、本当に解放してくれるんだね?』
『ああ、これでお前は自由の身だ。好きにしろ』
ジアは男たちから手荒に次々と怪しげな液体を注射されているトウジを見下ろして
『あんまり、この人に酷いことは・・・』
『お前には関係の無いことだ!出しゃばるな!』
バシッ!
キャー!
ジアは頬を打たれてよろめいた。
それを後ろに控えていた男がジアの体を後ろから抱きとめ、首にトウジと同じ薬を注意した。
『なん・・・で・・わた・・・し・・・』
『運び出せ!』
トウジとジアは建物の奥へと運ばれて行った。
周りの個室からは、何事も無かったかのように、男女の嬌声だけが響いていた。
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