第8話 その勇者、ホームルームに出る


 すめらぎ先生への決闘申し込みは『マテ』となってしまったが、ホームルームは続いている。


「一部ヤル気のありあまっている生徒がいて、大変嬉しいけど、みんな知ってるとおり本当はダメだからね。

 教師や師範への挑戦は、第一席次の持つ権利だから。

 でも、今回は特例で受けることにするよ。を壊したとしてね。

 だから、天霧は二学期までよく鍛えておくように。ちゃんと『マテ』が出来るよう、きっちりてあげるからね。」


 う〜ん、すめらぎ先生ってよく分からん先生だよな。つかみどころがないと言うか、アオリ気質と言うか、でもクラス全員を入学初日からきつけることは成功したみたいだな。


「それじゃ、あまり時間もないから、サクッと自己紹介してホームルームを終ろうか。

 まずは席次が一番下の番匠ばんじょうから。」


番匠ばんじょう ナガレだ!ここに居るやつらは全員俺がぶっ殺す!」


 ネクラそうなヤツだが、俺を見ながら言うなし。


「うんうん、ヤル気があってとても良いよ!じやあ、次。」


「はい、第5席次の秋津洲あきつしま サラサです。先ずは実力を見せてもらってから挑戦かなぁ〜」


 ポニテが可愛い秋津洲さんだが、君も俺見ながら言うのやめて。

 でも、秋津洲って、カイさん筋肉ダルマの関係者?


「第4席次、九重ここのえ フタバ」


 それだけぇ?メガネっ娘の九重さんは、無口っ娘なのかな?


「第3席次、神流かんな ルイだ。リンネ様の隣に立つのは俺だ!

 天霧!Aクラス内の決闘禁止期間が開けたら、お前に決闘を申し込む!いいか、覚えておけ!」


 左目の眼帯がカッコイイな、おい。病気まだこじらせてるのか?


「いいね、いいね!どんどん君らの可能性を先生に見せておくれ。

 はい、次。」


「第2席次、天霧あまぎり ユキトだ。いちいちお前らの相手するのは面倒だから、まとめて相手してやるよ。

 だが、覚悟しておけ!殺しはしないが、お前らの魂に本当の『恐怖』を刻んでやる!」


「「「くっっ!」」」


「コラ、天霧!まだ『マテ』だ。」


 ちょっとムカついたんで、軽く『威圧』してしまいました。

 

野良のらがこの慈恩院じおんしんどころか、Aクラスに紛れ込んでいるのは不愉快だ!

 貴様に名乗る名などない!天霧!

 第1席と2席の間にある、絶対に乗り越えられない壁というものを教えてやる!」


 長髪の男が、見事挑発に乗ったよ(笑)・・・沸点ふってん低いな〜


「素晴らしい!今年のAクラスは活きのいいのがそろっていて、先生嬉しいよ。

 はい、今日のホームルームはこれでおしまい。では、解散。」


 そう言って皇先生が教師を出ていくと、他の奴らもぞろぞろ出ていった。


 俺は奴らと行動を一緒にしたくなかったので、しばらく席に残っていると、秋津洲あきつしまがトコトコ近寄ってきた。


「いやー、お父さんから聞いてたけど、天霧くん凄いね!想像以上の俺様ぶりだったよー。」


「やっぱりカイさんの?」


 筋肉ダルマが、こんな可愛い子の・・・本当にトンビがタカを産むことがあるんだな・・・


「うん、娘だよ〜。よろしくね、天霧くん。

 それと、私はお母さん似だよ〜。失礼なこと考えちゃだめだよ〜!」


 ぷうっと口を膨らませて抗議する秋津洲。アザトカワイイなぁ


「ははは、こっちこそよろしくな。

 カイさんの娘なら、ユキトでいいよ。中等部にももう一人天霧あまぎりがいるし。」


「じゃぁ、ユキトくん。わたしも、サラサって呼んで。

 でも、ユキトくんって聞いてたとおりの大物ね。入学初日から、御三家の久世くぜ君にケンカを売るなんて。びっくりしたよぉ。」


久世くぜって、あの長髪インテリヤクザみたいなヤツか?クラスで一人だけ自己紹介しなかったヤツ?」


「ぷぷぷっ!インテリヤクザっで、口が悪いなぁ。

 でも、本人プライド高いから気をつけなよ〜。」


「知ってるのか?久世あいつの事。」


「うん、ユキトくんと番匠ばんじょう君以外は、中等部から知ってるよぉ。あんまり話したことないかなぁ。

 でも、私フタバとは仲良しなんだよー。」


「フタバって、九重ここのえのことか?あの無口っ子の?」


「あはは、そうだよ。可愛い子でしょ?あの子。

 女の子から見ても、すごく可愛いと思うし、男の子からしたら守りたくなるような〜、そばに置いておきたいような〜」


 確かに可愛くて、小っこくて守りたくなるのは分かるな。でも、それ以上に胸部装甲がゴリッパ・・・


「じぃーっ」

「うわっ!」


 サラサが顔を近づけて、じっと俺の顔をのぞき込んでいた!


「やっぱり、ユキトくんも男の子ですなぁ〜」


「いやいや、そんなやましい事は、けっして・・・」


「ふふふ、冗談よ、じょうだん。

 でも、私なんか嬉しい。

 ユキトくん、なんか浮世離れと言ったらいいのか、どこか遠いところにいるみたいなはかない感じがしてたけど、普通に男の子だったので、嬉しい!」


「サラサ・・・」


『ユキトは、私たちと一緒にいても、ずっと心は故郷の世界に残しているのですね。私たちがそばにいても、あなたのその心の空洞は埋められないのですか?』


 そう言ってくれたのは、アムネリアだった。最後まで傷ついた俺の心に寄り添ってくれた・・・


「ほら!またどこか遠いところを思っている?

 地元に彼女でも残して来たのかな?ユキト少年は?」


「いや、そんなんじゃないし!」


 サラサは指で俺の鼻先を押しながらからかった。

 でも、この子アムネリアなみに人の心に敏感なんだな。聖女か?


「お兄ちゃん!」


ガラガラピシャ!


 あっやべ!なんか面倒なヤツが・・・


「プギャー!お兄ちゃんが、酷いこと考えてるのですー!激おこプンプン丸なのですー!」


「あらぁ!うわさの妹ちゃんだー!すっごく可愛い――!はぁ、お姉ちゃん、このまま持って帰りたわ――!」


 面倒な場面を覚悟したが、意外にも初手からスズネが抱き人形にされて、詰んでいた。


「はうぅ、誰だこいつ、ですぅ・・・。スズネを抱っこしていいのは、お兄ちゃんたけだぞ、ですぅ・・・ぅぅううう。」


 あっという間にサラサに抱っこされたスズネが、死んだ魚の目で弱々しい抗議をしてる。


「えっと、スズネ。今お前を抱っこして、頬をスリスリしてるのが秋津洲あきつしま サラサだ。カイさんの娘で、俺のクラスメートだ。」


「スズネちゃーん!サラサお姉ちゃんだよ―!よろしくねっ!いや、私よろしくしちゃうからねー!

 んふぅ――!スズネちゃん!カワイイなー!愛らしいな――!天使だよ――ん!」


 スズネがこんな顔してる。

 (´×ω×`)



 スズネになついたサラサと一緒に、食堂に向かおうと構内を歩いていると、数人の男子生徒を連れた男が道を塞いだ。

 どうやら、まだイベントは終わってなかったらしい・・・


「おい!お前!

 エルフを連れているところを見ると、天霧あまぎり ユキトで間違いないないな!」


 ウザ絡みするヤツはスルーに限るわ。

 

「礼儀を知らないサルは、無視するにかぎるのです。」

「あら、ダメよ。スズネちゃん。あれは合鴨あいがもよ。ほら、ヨチヨチならんでアンヨしてるでしょ?それに本当のおサルさんは、もっと可愛いもの〜。」


 俺の連れがバカをあおる件・・・


「ちょ、まっ!待つでござるよ!」


「ござるぅ?」

「お兄ちゃん、確定なのです!こいつイタキモ、イタキモなのです!」

「あらあら、まあまあ〜」


「くそっ!加茂かも家を馬鹿にするな!天霧 ユキト!

 けっ、決闘だ!不正入学した上、ぼ、僕を侮辱したお前に、決闘を申し込むぞ!」




*************


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