春日部 美羽視点

家柄 財力 学力 容姿 許嫁 誰もが憧れる物を持っていた…



有名な名家の生まれでエリートの両親の元で生まれ日本トップレベルのエリート高校に入学し成績は常にTOP3…容姿は自分ではあまりよくわからないけど良いらしい……そして学校の全女子の憧れの存在…浅野 光輝(あさの こうき)くんとは幼馴染であり許嫁でもある…


学校では美男美女カップルで有名になっていた…光輝くんは優しいしかっこいいし学力も家柄も良い何も不満はない…


学校生活にも不満が無く友達も多い……だけど……何故か満たされない……なんでだろう…


「美羽…今日は?」


「はい 学年2位でした」


パチン


父にビンタをされた


「何故だ?前も2位だったな」


「申し訳ございません…」


「予備校はしっかり行ってるのか」


「はい 毎日欠かさず」 

 

「………次…もし一位を取れないならわかってるな?」


「はい…」


父は厳しい…学年一位を取らなければ評価されない…


バンッ


「あの人に!恥をかかせやがって!この出来損ない!」


「申し訳ございません」


母は怖い…私のせいで父の機嫌が悪くなると強めの暴力を振るってくる


「美羽さん おはようございます」 

 

「おはようございます」


「美羽さん 今日も……」


「わかりました」


「美羽さん」「美羽さん」「美羽さん」


毎日同じ日の繰り返し……


「美羽さん 2位だったね 今回も僕の勝ちだね」


「おめでとうございます」


「予備校終わりに少し話そう…将来の事で…」


許嫁の光輝くんとは成績の比べ合いや将来の事についての理想などを聞かせられる……


親の言う事を聞いてそのままレールに沿って走っていけば将来安泰…そんなの何度も昔から聞かされているからわかっている…


不満は無い……はずなのに……

 

私は誰も居ない所で歌を歌いきつい勉強で抱えたストレスを発散している……唯一自分が演技をせず素のままになれる時間だ……この趣味は誰にも話した事はない…


いつも歌っていた場所が工事によりなくなってしまったので新しい場所を探していると人通りが少なそうな橋の下を見つけた……


橋の下は少し生活感を感じた…色んな物が転がっていた…空き瓶 空き缶に吸い殻、ボロボロのソファ テーブル…そしてコンドーム……


あまり良い場所ではないが自由な時間は限られている…私はあまり気にせず歌った

 



やっぱこの時間は私には必要だ……本当にスッキリする……高校を卒業して名門大学に入り卒業…そして光輝くんと結婚する

本当は歌手になりたい……私の歌を皆に聞いてほしい…曲を作ってみたい……けど……無理……だよね…うん


…考えても無駄だ……まだ時間に余裕あるからもう一度歌おう…


そして私が歌い始めようとした時……


「まじでうまー!歌手かなんかスか?」



ヤンキーに絡まれた…


ーーー


「え?なんかの事務所とかに入ってるんですかー?」


「い、いえ…趣味で…」


「まじで!?まじで綺麗な歌声でしたよ!ぜってー人気になる!」


「あ、ありがとうございます」


初めて会話するタイプの人で上手く喋れない…


「歌手にはならないんスか?」


「あ…家が…少し厳しくて……」


「えーもったいない…生で聴いた中でダントツで上手いから絶対人気出ると思ったのになー」


嬉しい…初めて私の歌を褒めてくれた…


「興味とかはあるんですかー?」


「興味はあります…ですが…」


「あー家ねー…そんなに厳しいんだ…」


「はい…」


「つかその制服…どっかで見た事あるような…」


「あ…私◯◯高の生徒です」


「◯◯高!?クソエリートじゃん!近いとはいえ…なんでこんな所に…」


「実は前に歌っていた場所が工事でなくなってしまったので…普段通らない場所に行って歌える場所を探していたんです」


「なるほどーでもここら辺は治安悪いんであまりウロウロしない方がいいですよー」


「そうなんですね…では貴方はなんでここに…?」


「あー普段からここで……まあ…色々やってて忘れ物を取りに来たって感じっすね」


…やっぱりヤンキーの人だ…でも何故かあんまり怖いと感じない…


「んーここで歌うのはあまりおすすめしないんでいい場所紹介しますよ」


「本当ですか!助かります!」


「大丈夫っすよ ちなみに名前は?」


「春日部美羽 ◯◯校2年です」


「え!タメじゃん!落ち着きがあるから年上かと思った!ちなみに俺飛内関路よろしくね」


「あっ…そうなんですね…よろしくお願いします」


「もー敬語やめてよータメだしー」


「う、うん…よろしく関路くん」


「じゃー後ろに乗ってー」


関路くんのバイクに乗り目的地に向かった


「ここ!」


「廃墟?ですか?」


「そー!最初は汚かったんだけど掃除して中はまあまあ綺麗だよ」


中に入ってみると確かに綺麗だった…床には吸い殻とか落ちてるけど…


「ここで昔友達と酒とかタバコ吸ってたんだけど今はもうそん時つるんでた奴が遠くに引っ越ししちゃったからあまり使ってないんだ」


「近くに民家もないし人通りも少ないよ…どう?」


「うん!すごくいい!」


「良かったーじゃーここで決まりー」


「あっ…やばい!私もう家に帰らなきゃ…」


「送ってくよ!家どこらへん?」


関路くんのバイクに乗せてもらい家の近くで降ろしてもらった


「今日は色々ありがとう…」


「いいって!んじゃ勉強頑張ってー」


「あ、あの連絡先…」


「えーまじー?俺なんかの連絡先いる?」


「は、はい…迷惑でなければ…」


「もちろんおーけー…じゃーこれから宜しくねー」


「はい!宜しくお願いします!」




飛内関路くん…見た目は少し怖いけどイケメンで優しい人だったな…歌も褒めてくれて理想の場所まで紹介してくれた…あと筋肉凄かった…前腕しか見えなかったけど服の上からでもわかるボコボコ感…唯一見えた前腕も太くて血管も凄かった…もっと関路くんのカラダ見たいな…


初めて生で見た屈強なオスのカラダに興味深々だった…


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