加藤 颯太視点
今までの人生…僕には何もなかった…普通の家庭に生まれ、退屈だった学生生活…社会人になれば何か変わると思っていたが何も変わらない日々………そう……あの日までは……
僕は加藤 颯太 (かとう そうた)どこにでも居るサラリーマンだ
タバコは吸わないしギャンブルもやらない、酒は付き合いで飲む程度趣味もない…そんな僕だけど一つだけ興味を持っている事がある…
女性だ……
僕は生まれてこの方女性とお付き合いした事がない……大学生時代に気になっていた子がいたが中々告白できず他の男と付き合ってしまった
その後は完全に拗らせてしまい恋愛に消極的になり31歳になったこの歳まで女性経験がない…
さすがにそろそろ行動しないといけないと思い婚活パーティーなどにも参加はしたが惹かれる女性はいなかった…30.40代の女性ばかりで20代の女性はそこそこ居る物のそこまで美人ではなかった…
30超えて女性経験がないのは女性の理想が高いのが大きな理由だ
自分は大したスペックを持っていないのはわかってはいるが……
婚活パーティーでの出会いは諦めた…やはり僕は若くて美人な子がいい!そう思いネットで色々調べているとパパ活という物があるという事を知った
どうやらお金を出せば綺麗な女性とご飯を食べたり旅行なども行ってくれるらしい…もちろん人によっては体の関係を持つ事もできる
さらに調べて行くとパパ活相手と結婚したという記事を見つけた
僕はこれだ!と思い早速評価の高いパパ活サイトに会員登録した、色々見てみると美人ばかりだった…どこを見ても綺麗な子ばかりで普通では絶対に関係を築けない女性達がいた
その中で一際目を引いたのは ひな という子だった 髪型はセミロングで顔立ちは西洋の血を引いているのかハーフ系で胸もかなり大きいのがわかる…
見た瞬間この子しかいない…と思いメッセージを送った…しばらくすると返信が返ってきて条件の交渉をし最初は食事をする事が決まりそれからは床屋に行き髪を切り新品の服を買いに行った
ーーー
いよいよ顔合わせ当日…緊張で心臓が痛い……
「加藤さんですか?」
不意に声をかけられた
声をかけてきた女性はとんでもなく美人だった
「えっ…あっ…まち…待ち合わせの…」
緊張で上手く喋れない
「はい!パパ活サイトのですよね?ひなって言います、宜しくお願いします!」
どうやらこの美人は僕とご飯を食べに行ってくれるひなさんらしい……実物の方が何倍も綺麗だ…グリーン色の瞳にシミ一つない白い肌…露出の少ない服を着ているものの男性を虜にしてしまうボディーライン……今まで見てきた中でダントツで美しい女性だった
「あっ…よっ宜しくお願いします!」
「はい!宜しくお願いしますねーパパ活初めてなんですかー?」
「は、はい!そうです!」
「あはは、そんな緊張しないでくださいよー」
彼女は笑顔でそう言うと
「じゃあ今日は私がリードしてあげますよー」
「ご、ごめんなさい!男の僕がこんな…」
「大丈夫ですよー!じゃーいきましょー」
そこからひなさんとご飯を食べた…あんまり上手い話は出来なかったけどひなさんがフォローをしてくれたり笑顔で話を聞いてくれたりしてとても楽しかった
ひなさんは大学生らしく来年社会人になるから今の内にお金を貯めてある程度余裕のある暮らしをしたいからパパ活をやっているらしい…
その後お金を渡し解散したが完全に惚れてしまった僕はひなさんに入れ込んだ…1000万近くあった貯金がひなさんへのパパ活やプレゼントで全て使い切ってしまった…ついには借金もしてしまった
でも後悔はしていない…なぜならもうひなさん…いやひなちゃんとは相思相愛だからだ…以前こんな会話があった
「ひなちゃんは結婚とかしないの?」
「んー今の所あんまり考えてないですね」
「でも大学卒業したらしたいなーって思います…いい人がいたらですけど」
「じゃあ!僕なんてどう?!そこらへんの男とは色々違うし優しさにも自信があるよ!」
「えっ…颯太さんですか?…うーん…アリかもです……颯太さんの優しいとこ…好き…ですし…」
その言葉を聞いた瞬間…僕は絶対ひなちゃんと結婚すると心に決めた…借金はしてしまったがどうせ結婚するだしあとから色々売ればいい
とにかく今はひなちゃんを自分の物にしたい!
ーーー
いずれくるひなちゃんとの初夜のためにラブホ街を下見していた…かっこ悪い所を見せたくないからネットで評判の良い場所に実際に行ってスマートに入るためだ
色々見ていると少し遠くにカップルがいた…男の方はかなりの高身長でとんでもなく筋肉質、髪で目が見えるか見えないかギリギリのラインだが男の僕から見ても顔立ちは整っていた…両耳にピアス、左腕にはタトゥーが入っていた…一目見ただけでろくでもない男とわかる見た目だった……
そして女の方…肌の露出はかなり多くほぼ痴女だ…ひなちゃんなら下品すぎると言い引いてしまうだろう…ピアスやアクセサリーも多めにつけており、まああの男にはお似合いの見た目をしていた
そして顔の方は………えっ…………
なんで!なんで!なんで!え……!そっくりさん?……いや…間違いない……あれは……ひなちゃんだ…
「ひなちゃん!」
「は?あーーー……はあ……」
ひなちゃんがめんどくさそうな表情をしてきた
「ひなちゃん誰なの?その人」
「はあ…先輩…この人…今日言ってたキモいおっさん…」
「あーなるほどね」
は?…どういう事だ!?キモい……?
「き…!キモい!?ひなちゃん!どういう事だ!」
「そのままの意味ですよーーキモいおっさん…貴方の事です」
嘘だ!嘘だ!ひなちゃんは…だって…
「なっ…ひなちゃん!僕の事好きって…」
「プ……嘘に決まってるじゃないですか…私が好きな人はこの人だけです…………チュ」
ひなちゃんが隣の男にキスをした…僕は…手すら繋いでもらった事ないのに
「う……うわーーーー!!!」
僕はそこから記憶が曖昧だ…完全に壊れてしまった…この1年間で得た物は何もなかった……貯金は全て使い切り借金までしてしまった……もう…何も考えたくない…もう…何も見たくない…
全部…全部…あの女が悪いんだ!僕の事騙しやがって!あのクソビッチ!!殺す!殺してやる!
そして僕は包丁を持ちさっきのホテル街でひなを探していた…
どこだ!どこだ!どこだ!殺す!殺す!
血走った目でひなを探していると……
「君ここで何をしてるんだ?」
警察官に声をかけられた…
「うるせえー!殺すんだよ!あいつを…ひなを…殺すんだよ!」
「なっ!殺すだと!ふざけるのも大概にしろ!」
包丁を警察官に向け言った
「黙れ!邪魔するならテメェも殺す!死ねや!」
そして包丁を警察官に刺した………
ーーー
昨日午後10時過ぎ東京都◯◯◯の◯◯◯で警察官が男に刃物で数カ所刺され意識はあるものの重傷だということです
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