#####(※今回の話には建物の崩壊などの描写があります。注意してください)
「ハァ‥‥‥‥ハァ‥‥‥」
俺は瓦礫の上に立っていた。
おかしいな、事務所の前にはもっと建物があったはずなのに。
なんかスッキリしてる。
「キャァァァ!!!」
「今のは何だ」
「皆さん落ち着いて逃げて下さい」
誰かの悲鳴が聞こえてくる。
俺は何を思ったのか、ふと自分の手元を見つめていた。
「‥‥‥人の血?」
俺の体には、べっとりと赤い血が張り付いている。
それだけじゃない。
瓦礫の下に誰かが潰されている。
周囲の人々が俺を見て恐れている。
俺は‥‥‥一体何を?
「まさか、右腕持っていかれるとは思ってなかったよ」
声のする方向に振り向く。
右肩から滝のように血を流す
「アハハハハ!!誇っていいよ秋にぃ。アルゴスや私の子どもたちでさえ、私の体を欠損させる事は出来なかった。悪神ロキを追い詰めたなんて天界で言ってみなよ。君はたちまち大スターだ!!」
「ロキ‥‥‥‥ファナエル???」
そうだ、思い出した。
こいつを殺して、ファナエルを助けに行かないと。
「ファナエルを‥‥‥返せ!!」
俺はいつの間にか災厄の体に変化していた。
その事を俺自身が自覚するその前に、背中の触手で
「ミョルニル・レプリカ」
その液体はやがて小さなハンマーの形に変化する。
彼女はその得物で俺の触手をいなし、すっと懐に入り込んできた。
ミョルニルと呼ばれたハンマーに蒼い稲妻が走る。
拳を構える。
ミョルニルでの攻撃に対抗するにはこれしかない。
ここで押し負けられない
ここで右腕を失うわけには行かない。
「君を助けたせいでボロボロになった」なんて、ファナエルに言えるわけがないからな。
だから俺は、この拳が
「でぇりゃぁ!!」
「それ!!」
互いの攻撃が激突する。
それによって周囲の建物と人間が簡単に壊れるほどの衝撃波が生まれた。
俺の右腕は所々で傷を作り、崩壊を始めようとしている。
その崩壊を食い止める様に、傷口から
そして、気づいた頃には俺の腕は黒いノイズを纏っていた。
「私が持ってる薬が壊れたらどうするつもりだったのさ?」
「関係ない。俺の力があればファナエルの体を治すことだって出来るはずだ!!」
「う~ん。確かに、その力があればファナエルさんが死ぬのは防げるかもね。でもさぁ、私が安々と君を通すと思う?」
「だから今こうやってお前と戦ってるんだろうが!!」
そう叫んだ後、俺はカパっと口を開いた。
口を開いた理由は良く分からない。
ただただ本能的に、口を開いて『何か』をするのが最善と理解した。
『#################################』
次の瞬間、俺の口から真っ黒のノイズのビームが吐き出された。
そのビームは
壁の近くで逃げていた人達の内何人かが
######################################################################################################
大切な何かがノイズに飲まれて消えていく。
盛大なゲロを吐いた時の様な気持ち悪い感覚だけが俺を襲っていた。
『読心、行動阻害、消滅、性質変化……全部ノイズって要素に集約されてるのかな。元々不安定でイレギュラーだった堕天使の力を良くもここまで完成させたもんだよ。あぁ、本当に殺すのが惜しい』
ただただ楽しそうに、その様子はまるで新しいおもちゃを貰った子供の様だった。
『流石に右手だけじゃ厳しいけど、右腕を治すのを見逃してくれる相手じゃない。まずは時間を稼ごう』
彼女は左腕を上げた。
太陽に照らされるミョルニルがドロリと音を立てて液体に戻り、今度は宙に浮く二つの目玉に変化する。
「ねぇ、君達も一緒に遊ぼうよ」
「あ……あ……」
「アルゴスアイズ・レプリカ」
目玉が嫌な音を立ててその人の眉間に入り込む。
目を入れ込まれた人間の顔は、やがていつぞやにみた鳥頭に変化する。
鳥頭は俺を認識した瞬間、即座に襲い掛かって来た。
その瞬間の縫い目を埋めるかの如く
「冥界の管理者代理として私が命令する。この声に騙された愚かな死骸達全員、私の為の駒にな~れ」
可愛く取り繕った声が響いた。
彼女の声に答えるように、
「さぁ、続けよう秋にぃ!!私と君の
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