第3話…④
ある日、実家から連絡があり
私は帰省した
実家は兄が継いでいたので、私の居場所はなかった
兄さん、どうしたの?
アナ…こんなものが届いたんだ
何をしたんだ?
見ると離婚届である…私は舅の言葉を思い出した
確かに帰省する事は許したが、行動したら制裁をする…と
義家族からの脅しか…
嫁は役立たずのやっかい者、帰って来るな!
と宣言したか…
私は嫁いでからの事を、兄夫婦に話した
母親の葬儀に参列できず、墓参りすらできなかった
理由を話した
アナの話が本当なら…興信所で調べてもらおう
兄は私の話を信じてはいない…
私は離婚届にサインをする
サインをする私を、兄夫婦は静かに見つめて…
これから、どうするんだ?
まず、自分の荷物…フッ…捨てられているのかな
せつなそうに微笑む
アナさん…荷物なら、こちらに届いたわ
この郵便も…
残高0の通帳と銀行印が入っていた
しばらく、ここで暮らすといいよ
アナ…僕は…話が真実なら、嫁ぎ先に責任を負わせたいんだ
仕事を探すわ…それから…住まいも…
役所に提出しないと…ね
私の仕事が見つかり、住まいが決まり
いよいよ引っ越す事になった頃…
くっううう…
兄のうめき声が聞こえる
兄さん…
能面のような表情で、声をかける
アナ…すまなかった
あんな人でなしの所に嫁がせたなんて…
リビングのテーブルに広がる、元義家族の写真…
そして、調査書…
アナの話は本当だったんだな
私に確認を求めた
………
もうどうでもよくなっていた
アナ…
私は大丈夫よ…
作り笑いをする
引っ越し業者が来たから行くわね
お世話になりました
安いが小さなアパートが私の新居になった
誰も知らない…
私だけの居場所だ
新居での夜…
私は夢を見た…暗がりの先にある雑貨屋の夢を
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