第2話 出会い1
雨が強く地面を打っては跳ねている。
雨音さえもう耳には入ってはこないくらいに僕は衰弱していた。何処へともなく歩き続けていて自分が今いる場所さえもわからない。
傘も無く、金も無い、ただ在るのはこれから先の闇。水分を多量に吸った靴と衣服は疲労も合わさって足取り重く、死を選択するのも一つの手段ではないだろうか、なんて弱り切った心身が逃げの一手を脳裏にチラつかせている。
どうして僕がこんな目にあっているのか。それは自分の自業自得といえばそうなのだが、間違っても死んで仕方ないというような悪事を働いたことはない。
大学を中退した。三カ月前のことだ。周りに溶け込めなかったとか学業が追いつかなかったとかという理由ではなく、当時付き合っていた子が自殺をしたのが原因だった。確かに死んだことは悲しかったし、周りも何かと気を遣ってくれた。しかし、その周りが彼女を死に追いやったことをある筋から知って以来、他人という存在がわからなくなり、次第に恐怖を抱くようになっていった。
彼女は人を信じすぎたから死んだのだ。
そう思えてきてしまって、成人している二十歳とはいえ、まだ精神的に未熟だった僕は両親に何の相談も無しに大学を中退した。親の言葉にも耳を貸さず、自分で克服しようという努力も見せず、ただ自室に籠もって壁ばかりを見続けた三か月間。
二十一の誕生日に部屋の扉を蹴破った父親は僕の髪を掴んで必要最低限の荷物と共に家から放逐したのだ。玄関では怒り心頭の両親に縋って僕を許すように乞う中学生の妹。扉を閉められてもしばらく妹の泣き叫ぶ声は聞いていて苦しかった。
あの時に謝罪でもしていればこんなことにはならなかったかもしれない。
僕は逃げ出した。
四日か五日か、それくらいの時間を歩き続ける僕にはもう何も残されていない。このまま野垂れ死んだら両親はどんな顔をするのか。たぶん泣いてくれるのは妹くらいかもしれない。でもその時の僕はもう死んでいるのだから関係が無い。
「もう歩き疲れたし、いいかな、もう」
電柱に書かれた住所、『元八王子町』どうやらここは東京の端の八王子市のようだ。練馬区から東京の端まで歩いていれば足も棒になる。人生最期の偉業だ。此処まで歩けばあとは天国なり地獄なりに召されても土産話くらいにはなるだろう。
「傘くらい差したほうがいいと思うなぁ」
雨が止んだのかと錯覚したのも一瞬。振り返ると女性が微笑んで、少し大きい傘を差しだしてくれた。
「その様子だとお金も無さそうね。ウチにいらっしゃい、お風呂とご飯を用意してあげる」
ニコニコと笑いながら僕の腕を優しく引っ張る女性。相合い傘なんていう恥ずかしい行為を押しつけるその人に、「別にもう濡れてるから、傘なんて……」最後の方は話せる気力も無く、自分でも聞き取れなかった。
「いいのよ。私がこうしたいんだもの、ねっ!」
女性に疑念も抱けぬほどに思考力も低下していた僕は、ただなされるがままに彼女に引かれて歩いた。
彼女の家は下恩方町という駅からも遠い山々に囲まれた場所にあった。外観から見てもそれが一般家庭で築ける家屋でないのは明らか。天気が良ければ日当たりがいいであろうサンルームや、あえて蔦を絡めたようなレンガ造りの橙色の外壁はヨーロッパの田舎風景に溶け込めてしまう佇まい。周囲に溶け込めていない二階建ての家屋。
萎縮してこの家の敷地に足を踏み入れないでいる様子が可笑しかったのか、「私、一人暮らしよ。だから大丈夫、なにも怖い事なんて無いわ。さあ、いらっしゃい」握ってくれる彼女の手に力がこもる。少し強めに、温かく包み込むように。
誘われるまま招かれ、手入れのされた庭を進んで玄関までやってきた。
濡れた衣服や髪先から水滴が落ちて溜まっていく。
「あら。とても可愛らしい顔ね。モテたでしょ」
「別に……、僕はそんなこと……、興味もありませんので」
「タオル持ってくるから待っていて」
女性は早足で廊下に面した一室へと入った。
一体僕はどうなるのだろうか。
死ぬことも考えている。運良くどこかで住み込みの仕事を見つけられたとして、はたして世間から目を背けて大学を中退した親不孝者が生き続けられる自信なんて微塵も無い。
怖い。ただ世間が怖いのだ。他人と触れ合って生きていくことが。社会人として責任を背負って生きていくことが。その他のありとあらゆる要因が僕を押し潰そうとして息苦しい。
「おまたせ。はい、これで頭拭いたらお風呂に入ろうね」
まじまじと彼女の顔を見上げた。
二十代後半くらいか。端正な顔立ちに柔和な笑みを浮かべている。その優しい眼と視線が合うと、言い知れない恐怖が背筋を撫でたのは心身共に限界を迎えようとしていた錯覚か。
「あら、見惚れちゃった? キミは歳上が好みなのかな」
「そんなんじゃありません。どうして、こんなあからさまに怪しい人間を招き入れたんです? 八王子に住んでるなら、知らないわけじゃないですよね」
八王子市で起きている犯罪史に残るであろう連続猟奇殺人。
「ええ、もちろん。でも、キミは犯人ではないわ。仮に犯人だとしても私の不確かな情報が原因。キミを恨むなんできない」
「僕が犯人じゃないという根拠が提示されていませんよ。それに、別の目的だって」
「私ね、情報屋を生業としているの。現時点で掴んでいる、今回の犯人に関する情報は几帳面な男性。しかし、若くはない。この時点でキミは犯人から除外されるわけで、ついでに言えば標的は十代から二十代前半の黒い眼の女性。もし犯人なら守備範囲外の私の誘いには乗らなかったと思うの。それより、別の目的ってなぁに?」
「いえ、なんでもないです」
聞き慣れない情報屋という職業に疑問は残るが今はそんなことはどうでもいいいのだ。そもそも何もかもがどうでもよくなり始めている。
沈黙する僕をフッと彼女は笑う。
「異論も反論もなさそうね。さあ、お風呂で身体を温めてきなさい。ご飯を用意しておくから」
クスリと眼を細めて満足そうな彼女に、「その情報が正しいという前提での話ですよね。その情報の根拠を求めます」どうしてか、どうでもいいはずなのに、このままでは悔しい、そんな矛盾に駆られて、善意で家に招いてくれた彼女に反論していた。
「ご飯の時に話しましょう。ね?」
お母さんが子供を窘めるような態度。
洗面所まで案内してもらい、「お客様用の着替えがあるから、今日はとりあえず我慢してね」そう言って扉を閉めた。
足音がゆっくりと遠ざかっていく。
「今日は……?」
まだ名前も知らない女性の全てが未知数であるはずなのに、会ったばかりだと言うのに、何でも見通されているようなこの不快な感覚は。この感覚を一言で言い表すとこうだろう。
気味が悪い。
情報屋とは、と考える。探偵とは違うのだろうか。情報の価値なんてどれ程のものかなんてわからない。しかし、独り身でここまでの豪邸に住んでいるというのだから稼げる職業ではあるのかもしれない。
「なんだ、この浴室は……」
ぶくぶくと泡が湧いている。円の形をしている白石作りの浴槽は大人が八人くらいは肩まで浸かって身体を伸ばせそうな程に広い。壁に取り付けられたシャワーも三つ並んでいる。ちょっとしたホテルの大浴場ではないか。一般家庭レベルの洗面所の先にこんな想像さえしない光景が広がっていれば思考も停止する。
湯船に浸かった身体はジンジンと痺れ始める。強ばった身体と悲観的な考えがほぐれていくような気がした。
「どうして僕は八王子なんかに」
先ほども話した連続殺人事件が起きているのを知っていたのにもかかわらず、標的が女性だから自分には関係ないと重要視していなかったのかもしれない。実際に犯人の標的は若い女性だ。いいや、そもそも僕は何も考えていなかった。ただ、当てもなく歩いていただけで、八王子に辿り着いたのもたまたまの事。だが、八王子に来なければ今頃は野垂れていただろう。これを運命と言うのならなんとも神の悪戯が過ぎる。
湯に浸かりながらもニュースで報じていた事件を思い返す。
標的とされた女性の遺体は欠損が著しく目立ち、両目が抉り出され、神に祈るような格好で遺棄されている。それだけでも異常で異様な事件ではあるが、犯人をより常人という枠組みから爪弾いている最たる理由。
被害者の両目が見つかっていないこと。
遺体は白いローブのようなものを着せられていると言うのだから、宗教的な意図によるものか。半年前の十月から始まって今月で四名の女性が殺されている。
警察の捜査状況も芳しくはなく、彼らの進捗状況が報道される度に国民の不信感が募って積もっていく。それもしかたのないことだ。彼らは二人目の被害者以降、夜間パトロールに人を回すことしかしていない。
夜間外出を控えるよう学校関係者は生徒や保護者に呼びかけている。下校時間には一般の大人達が町の至る所に立っている姿を見かけた。
娘を持つ親は気が気でないはずだ。
一瞬だけ妹の顔が思い浮かんだ。
すぐに頭を振るって打ち消す。
犯人が標的とする年齢は十代から二十代前半。一人暮らしをする女子大生なんてのは犯人にとって見れば格好の獲物だ。実際、二人目の被害者までは女子高生。三人目からは女子大生もしくは高卒で働きに出た、一人暮らしをして親の目が届きにくい子が犠牲となっている。
被害者たちの顔写真や事件の内容が連日報道されていた。全員がとても綺麗な子であり、黒い眼をしていた。そんな彼女たちの将来を奪った犯人に対する怒りや訴えを露わにするキャスターたち。しかしそんな彼女たちの共通する特徴が黒い眼を除いて二つ。社交的でショートの黒髪。
犯人好みの人間像。遺体に
正直言って。
「真っ当に異常だよ」
そんな時だった、「大丈夫? 溺れていないよね。開けてもいいかな」女性が言う。「溺れていません。ただ、珍しい浴槽だったので」聞こえるように少し大きな声で返す。
「ご飯は温まっているわ。着替えとタオルは洗濯機の上に置いてあるのを使ってね」
女性の影は脱衣所から消えた。
考えに耽って思ったより長湯をしていたようで、「ちょっと逆上せたか」浴槽から出てからこのバブ機能を止めるべきか悩むも、止め方がわからないし操作盤のようなものも見当たらないので、そのままにして脱衣所で身体を拭いた。
サイズが少し大きい男性用の服に着替え、廊下を見渡して明かりの漏れる部屋に入るとリビングだった。外観から見たとおりに広い室内。二十畳くらいはありそうだ。大きな長方形のテーブルが向かい合うソファの間に収まっていて、食事をしながら鑑賞する大型テレビが隅に置かれている。向かって左手側には無駄に広い空間が在り、カウンターを挟んでキッチンとなっているようだ。キッチンスペースも含めれば二十七畳はあるかもしれない。テレビの右手側には木製の扉があり、外から見たサンルームへと移動できそうだ。
「夕飯の残りでごめんね。おかわりもあるから遠慮しないで食べて」
お盆にご飯と汁物、生姜焼きを乗せて彼女はテーブルに置くと、向かい側のソファに腰を下ろした。「お腹空いているでしょう?」小さく手招きされて恐る恐る対面のソファに座る。
「別に毒なんて盛っていないわよ。毒味してあげよっか?」
「いえ、疑ってません。ただ、どうしてここまでしてくれるのかなと」
率直な疑問に彼女は探れない笑みを向け、「男の子が欲しかったの」我が耳を疑うようなことを口にした。
言葉を失った。
男が欲しいなんて言われて、それもこんな綺麗な人に笑顔を付属されて言われればきっと多くの男性は勘違いをして、疑問をほっぽり出して、あれやこれやと期待していたことだろう。
「用途は?」
「そうねぇ。助手が欲しいなぁってところかしら」
「助手、ですか」
「そう、助手。私一人では舞い込んでくる依頼すべてに対応できないのよ。警察のお偉いさんからも八王子事件の情報を集めるよう依頼されているから余計にね。だから簡単な依頼でも手伝ってもらえれば助かるってわけなの」
「それで助手ですか。でも、僕なんかを助手にしたところで、社会に出たこともない甘ったれに何かできるとも思いませんけど」
「誰だって初めは出来なくて当然よ。大丈夫、一つずつ教えていくから」
「教えている時間があるのなら依頼をこなせばいいんじゃないですか?」
「今は少し落ち着いているから時間に余裕はあるのよ。情報屋の仕事って繁忙期や閑散期という周期は無くて、必要なときに求められる仕事なの。だから今のうちに助手が欲しいなぁって、ダメかな? 研修中でもしっかりとしたお給料を払うと約束するから」
両手を合わせられて、お風呂や食事の世話にもなって断れるはずもない。
「わかりました。でも家を親に追い出されていて住所がないです」
「ありがとう! じゃあ、住み込みでお願いしようかな。そのほうが此方としても連携が取りやすいし。お給料は前金で明日渡すからお洋服とか家具とか調達しに行きましょう」
一層に増す笑顔。満開だ。ここまで無邪気な笑顔は世間を知らない子供の様に輝いていて、捻くれ者の僕にはちょっと眩しすぎる。
彼女から料理へ視線を落とし空腹に耐えきれずに箸を手にした。
「――!?」
「どうかな。お口には合った?」
「美味い」
もう箸が、というより、手や口が止まらない。意識のすべてが食事に専念してしまっていた。空腹は最高のスパイスなんて言っていたが、確かにそうだが、しかし、この料理の味はそんなものが無くても胃袋が求めてしまう絶妙な味付けだ。
腹もある程度膨れたところで、「
空腹と彼女の好意が原因だ。
パンッ、と嬉しそうに手を合わせた女性は、「ご丁寧にどうもありがとう」すると姿勢を正して、「
「ミッチーとセイント君、どっちで呼ばれたい?」
「は……、いや、海津原でお願いします。間違ってもそんなダサい渾名で呼ばれたくはないです」
「えー、渾身の渾名なのになぁ……、ダメ?」
「本人の意思が尊重されるなら丁重にお断りします」
「しょうがないかぁ。じゃあ海津原君、明日から宜しくね。ご飯食べたらキミのお部屋に案内するから」
ニコニコとしながら両手で頬杖をしながら食事をする様子を眺めてくる。正直言えば食べ難いことこのうえない。
「そういえば、まだ根拠を提示されてませんよ」
「根拠……? ああ、犯人像の話だったわね。そうねぇ、どうしようかしらねぇ」
「食事の時に話すと言いましたよね」
「まあ、いいでしょう。これは表沙汰にされなかった事件で、同様の手口で一人の少女が殺されていたの。名前は伏せるけど、警察機関やマスコミ関係者に圧力を掛けられる人物の娘さん。その子は目の病を患っていて見えない生活をしていたと聞いているわ。彼女には専属の医者、と言っても医師免許も持っていない闇医者が付いていてね」
「警察やマスコミを黙らせられる権力を持つ人物の娘にどうして闇医者が付くんですか。普通に考えて変ですよね。弱みを握られていた、と考えれば納得はできますけど」
「そう。莫大な資産の蓄えがあったにも関わらず、闇医者を付けていたの。それはね、その娘さんに理由があったのよ」
闇医者と資産家の娘という人生の中で接点などなさそうなもの。二人の出会いの切っ掛けと親を黙らせるに足る何かで取り入ったに違いない。そう考えるのが普通の流れであり、その回答は未來理さんの口から直ぐにでも明らかになる。
口を小さく開けて、「ちょっと待っていて。喉が渇いちゃった」申し訳なさそうに席を立ってキッチンに備えてある大型冷蔵庫を開けると、「海津原君はお酒とか飲める?」なんて問われ、「飲めなくはないですけど、飲みたい気分ではないですね」返すと不満そうに頬をいっぱいに膨らませた。
子供かよ、なんていうツッコミはしない。
むしろリスのようだ。
「じゃあ、このお話は終わりにしちゃおうかなぁ。お酒で気分を上げないと話せないなぁ。情報料ってことでお願い!」
顔の前で手を合わせた。
「はあ……。わかりました。一本だけ付き合います」
興味深い話をツマミに酒を飲むのも悪くはないだろう。あまり酒には強くはないので、ペース配分を考えながら飲み進めなければならないが。
嬉しそうに五百ミリの酒缶二本を手に、自分と僕の前に一本ずつ置いた。
「おっさん臭いのを飲むんですね」
僕達の間に置かれた酒は同じ物だった。
「焼酎ハイボールは身体に良いんだから。これを飲むと頭が良い具合に回るのよ」
「それは酔ってるだけかと……」
「はい、かんぱーい!」
さっそくプルタブを開けた缶をまだ手にすら持っていない僕の缶に軽くぶつけた。付き合わなければ話さないというのなら付き合うのもいいか。本当は家を追い出された悔しさと妹の顔を忘れたいが為、焼酎ハイボールに口を付けた。
よくこんなものをグビグビと飲める。苦い。あまり美味しいとは思えない飲料を未來理さんは、さも好物を与えられた子供の様に摂取していく。
五百ミリリットルの缶を一度も置くこと無く飲み干してしまった未來理さんは、二本目と三本目を冷蔵庫からまた取り出してきて、「あら、進んでいないみたいね」まだ口を付けて二分も経っていないのに、ペースが遅いと指摘してきた。
この苦手な味は料理でカバーしながら飲むとする。できれば料理の味を楽しみたかったのが悔やまれるが、住み込みならば毎日食べられるはずだ、と今回は諦めた。
「うふふ、ああ、良い気分。仕事終わりの焼酎ハイボールは五臓六腑に染み渡るわぁ」
話せるのだろうか、この人は。そんな疑念を胸に秘めながら「それで、話の続きなんですけど」続きを促す。
ほんわか天国に召されていたような表情が一変。彼女の変化は映画フィルムを別シーンでつなぎ合わせたように恐ろしく早い。驚いている間に、「資産家が闇医者を雇っていた理由だったわね」缶は手放さずにジッと僕を見る眼に気圧された。
「海津原君はさ、ブラックジャックって漫画は知ってる?」
「有名ですからね」
「彼が闇医者として働けていた理由は?」
「どんな患者も彼の手に掛かれば完治するからでしょう」
「そう。その資産家はまさにブラックジャックのような闇医者を抱えていたのよ」
「僕が聞きたいのは」
「せっかちさんなのね。報告は結果が先、次いで過程を話すものよ」
指摘されたことが気に障って僕も一本を空にした。
「社会経験もバイト経験もないので知りませんでしたよ」
「もぉ、怒らないで。ごめんなさいね、えっとじゃあ続きだけど」
困ったように表情を和らげ、「盲目のはずの娘さんが昼間に出掛けたみたいなの。いつものように補助者を付けずに一人で」まだ健全な呂律で、「変よねぇ?」付け加えて話し始める。
「当然ご両親は大慌て。警察や使用人たちに捜索させたわ。日が暮れても見つからず、日付が変わった頃に帰って来たの。一人の人物を連れて」
「それが闇医者というわけですか」
「闇医者とはいえ保護して連れ帰ってきた恩人。無下に扱うことも出来ずに家に上げると、その医者はこう言ったそうよ」
焼酎ハイボールで喉を潤して。
「お嬢さんはどうも光を恐れているみたいです、って」
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