第10話 職場(上司)の対応

 5月26日(金)。

 まだ、チーム内に上司からの連絡メールは発信されず。


 いったい、上司はいつメール発信をしてくれるのだろう?

 もしかして、わたしをCCに入れないで既にメールを発信しているのだろうか?


 と、仲の良い同僚に確認するも、午後になってもまだメールは発信されていないとのこと。


 わたしが上司に診断書を提出したのが5月8日。メールはしてくださいましたか?と確認して、メールしてくださることになったのが25日。

 もしや、メール発信までまた1週間ほどかかるのでは?!


 などとうんざりしていると、定時少し前に上司がわたしの席まで来て口頭で告げました。


「今日、定時過ぎにメールを送信するから」


 ……何故に定時過ぎなのでしょう?

 しかも週末の。

 週末の定時前に重ための内容のメールを読まされるよりは、週明けの方がまだマシだろうという、上司なりのメンバーへの配慮だったのでしょうか。

 どちらにしても、遅いのですが。わたしからしてみれば。


 ただ、もう何を言うのも面倒に感じていたわたしは、


「はい。よろしくお願いします」


 とだけ答えました。

 ですが、どのようなメールが送信されるのかは、自分自身の事なのでやはり気にはなります。

 幸か不幸か、会社から支給されているスマホで社内メールは確認できてしまうので、その日も仕事は定時過ぎで上がりつつも、帰宅後もちょくちょくメールの確認をしていました。

 結局、メールが入ったのは、20時前くらいでした。

 内容を確認したわたしは、あまりの内容に思わずメールを母に読ませてしまったくらいです。


「なにこれ?」


 母も驚いていました。

 ※以下メール抜粋(でもほぼ原文)

 ***************


 平さんの勤務に関し、共有(依頼)のご連絡です。

 ・現在、ご自身の体調の様子をみながら、勤務いただいております。

 ・そのため、状況に応じて、休暇の取得や在宅勤務の利用をすすめていただいており、急な勤務変更となることがあります。

 ・そして、出社勤務時は、平さん自身の担当業務の対応を優先することが多くなっています。


 平さん出社勤務時に、照会・確認が集中しないよう、皆で心掛けていきましょう。


 ***************


 わたしが何故体調を崩しているのか。

 照会・確認が集中しそうな時にはどうすればいいのか(加えて言えば、照会・確認は在宅勤務時にだって山ほど対応しています)。

 全く記載されていないメールでした。

 おまけにわたしは、自分自身の担当業務を優先なんてしていません。

 していたら、まだこんな状況にはなっていなかったと思うのです。


 溜息しか出ない内容でした……これでは全く意味が無い。

 幸い、土曜日に心療内科の診察があったので、このことも医師に相談し、いっそ自分で説明した方がいいでしょうかとお聞きしたところ


「それは上司に言って貰った方がいいでしょう。あなたが言うことじゃないですよ」


 とのお言葉。

 そうなんです。

 そうなんですけれど……もうわたしにはどうしたらいいか分からないです、先生……


 ただ、先生はこうも仰っていました。


「上司の方とは、上手く付き合ってくださいね」


 と。


 思えば、初回の診察時にかなりしつこく(失礼な言い方ですが、わたしがそう感じてしまったくらいに)


「職場に合わない人はいますか?」

「その上司の事は嫌いですか?」

「嫌いな人はいますか?」


 と質問されたような気がします。

 もしかして、仕事が原因の【適応障害】は、人間関係の悪化が原因であることが多い、ということなのでしょうか?

 わたしは過去2回転職していますが、確かにいずれも人間関係が原因でした。

 人間関係が原因ならサクッと転職を決断できるのに、今このような状況になって転職が決断できないのは、今の職場のメンバーがあまりにいい人達ばかりなのが、大きな要因です。


 話がズレましたが。

 月曜日。

 わたしは上司に


「これではわたしが何か大きな病に掛かっていて体調が悪いのだと、メンバーに心配をかけてしまう恐れもありますし、照会や確認がしづらくなって業務に支障がでる恐れもありますので、わたしから補足させていただいてもよろしいでしょうか?」


 とメールを返信してみました。

『それじゃあ、私の方から再度補足してみるよ。ドラフト作るから見て貰える?』

 という返信があることを、5%ほど期待して。

 ですが、返って来たメールは、


「承知しました。それでは補足をお願いします」


 でした。


 ……いいんです。

 もう、いいんです。

 こういう上司なんです。

 常識的に「それは上司から説明することでしょう?」と思われる事も、しない上司なんです。

 Uさんが休職に入った時などは、私の時よりももっと酷くて、なんとUさんご自身からチームメンバーに説明をさせたくらいですから。

 上司はその席に同席もせず、何のフォローもせずに。

 みんな、開いた口がふさがりませんでした。

 当時入社したばかりのメンバーなどは、「体調を崩している本人に説明をさせて、上司は一切フォローもしないなんて!」と、恐怖を感じたと言っていたくらいです。


 結局、わたしは自分で補足のメールを送信したのでした。

 もちろん、繁忙期に無理をし過ぎたゆえの体調不良で、心療内科で【適応障害】の診断を受けていること。

 照会・確認については、周りのメンバーが答えられる事であれば、まずは周りのメンバーに確認していただきたいこと。それでも分からなければ遠慮なく照会していただいて構わない事。

 ご迷惑をお掛けして本当に申し訳ないけれども、これ以上悪化させて更なる迷惑を掛けないようにするためにも、協力をお願いしたいこと。

 ……これ、って補足じゃなくて、これが一番メンバーに伝えて欲しかったことなんですけどね……


 そんな訳で。

 月曜日はかなりメンタル的に疲れてしまったのでした。

 もしかしたら私の【適応障害】の原因は、業務過多だけではなく、上司の存在もあるのかもしれません。

 人間的に嫌な人という訳ではないですし、嫌いでもないのですが、上司としては全く頼りにならない人ですし何の興味も無い人なのですけどね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る