第7話 Bye-bye!My sweet darling.

訪れたレオ枠で、私は初めてメルモに出会った。なんかのほほんとしたアニメアイコンが癪に障る。


事前に調べたファンランキングでこのメルモが新しい投げ師だって分かってたの。

文字列だけのコメント欄だけど、リスナーみんなが身体を盾にして、メルモを守ろうとしてるのが伝わるのも悔しい。


今、このメルモがレオの寵愛を受けてるかと思うと、嫌味のひとつも言ってやりたい気持ちになっても当たり前じゃない?

結局、ダンに阻まれ、レオに追い出される形で枠を離れたけど…まぁ分身は置いてきた。

え?サブは禁止ですって?

配信者に取っては困る措置だろうけど、リスナーの私には至って無問題!


枠のなかでの話しを黙って聞く。

自分がレオとの恋愛で勘違いしてた事を聞かされて、身体がカッとなるほど恥ずかしかったけど、レオの生い立ちや過去の辛い恋愛…私への戦友としての想いなんかを聞いている内に私は気づいたのよ。

私とレオは一緒に歩いてて、でも途中で二又に道を違えたと思っていたけれど、そうじゃなかったみたい。

初めから2本の道を並走して歩いてたんだ……



レオの枠で新たな道を宣言した私は、翌日に備え早めにベッドに入ったものの寝付けない。今日の事を思い返してみた。


少しいい女ぶってたのかもしれない。最後ぐらいは物分りの良い女を演じてたのかな?

そう考えたらなんかムカついてきた!私は久しく開けてなかった引き出しを開けた。


かつてBL漫画家を目指していた時の道具類。

両親の反対に『元総理の孫だってBL漫画家なのよ』って頑張ったけど結局諦めた夢。


真っ白な紙にレオとトビ男とダンの三角関係を思いっきり書きなぐった。

『やっぱレオは受けよね。んでダンは攻めと…トビ男はリバかなぁ』

『あ、でもレオの下克上もアリよね』

白白と夜は明けていった。



翌日からは私は忙しくて、はっきり言ってレオたちが今どうしているかも分からない状態だったの。

手始めに【ハムエッグ】の手口を話したり…いかに私がコイツに煮え湯を飲まされたかって話しをしたのよ。


そしたらまぁみんな食いつく食いつく。

それと同時に同じ様な気持ちを味わってきた投げ師から花火があがる。


正直、花火を貰うのもなんだかなぁ…って気持ちがあったけど、こんなにテンション上がるものだとは思わなかった。


もちろんハムエッグの事だけじゃなく、私に色恋DMを送ってきた配信者も、暴露してやったわ。大手配信者もたくさんいたから、このサイトの勢力図もかなり変わったと思うの。


ただ、わたし的に不本意だったのは、裁判を起こせなかった事なのよね。

一般人は知らない配信サイトの世界。

最近になって1部のYouTuberが取り上げられたりするけど世間の認知度はまだまだ低い。

そんな中なら、多少私が暴れたって問題は無いんだろうけど、これが裁判となったら話しは違うらしい。

いつものメイド曰く

『なにもお嬢様の手を汚すまでもありません』とニヤッと笑う。

まぁ多くの財閥系と裏社会との繋がりなんてあるあるよね。

とりあえず、あとは彼女に任せる事にした。


ある日、ツギツギってゴシップ専門の枠で、とある女性配信者が生放送中に失踪か?ってタイトルで配信していた。

配信中に鳴ったインターフォン対応でフレームアウトしてから強制終了する時間まで一切姿を表さないし、それ以降全く動きがないから連れ去られたか?なんて話してたけど、それも翌日に発表した、私のこのサイトからの引退のニュースでかき消された。


そう、私はこのサイトからの引退を発表したの。いつまでも暴露配信してても仕方ないし、目的は全て果たしたしね。


私の最後の配信はカラオケ枠と決めていた。

さりげなく、送り状で知ったレオの本名のイニシャルと同じ【M】とかを紛れ込ませたのは誰も気づいてなかったと思うわ。


そしてラストソングは明るく行こうって思いから、替え歌にしてみたの。分かるかしら?


私が貴方にあげたもの

アイテムファンタで20倍

私が貴方にあげたもの

直振り PayPay 欲しリスト

大好きだったけど 色恋してたなんてー

大好きだったけど 本妻いたなんてー


大勢の悩める投げ師から、エフェクトも追いつかないほどの花火が、私の枠をおおった。

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