第6話 彼女と私の事情
レオとせっかく恋人同士になれたのに、なんだか素っ気なく感じる様な気がする…
当然、枠内でそんな態度を見せる訳にはいかないから至って普通に接してきたけれど、それに調子に乗って、かまってちゃんたちがウザすぎるのよ。
彼の将来の為にも、役に立たないゴミはさっさと切り捨てるべきだわ。
そんな事を何度もレオにDMで伝えてみる。返事は『考えとく』うん。ちゃんと考えてはくれてると少しはホッとするけど、あまりノンビリされても私にも都合があるのよ。
30歳を越えて、親からの結婚しろって圧は強くなってきたし、この前も兄嫁から『奇子さんは理想が高くっていらっしゃるから…』って遠回しのイヤミ言われたし!
でも近い将来、大手ライバー事務所社長になったレオを引き合わせた時の、みんなの顔を思い浮かべてほくそ笑む。
そんな事を考えてたある日。
レオの枠でいつものように投げていたら、突然ピノコが小さなアイテムをひとつ投げた。
『バイト代入ったから』ってコメントが添えられたアイテムに対して『ピノコ!いいから無理すんな』ってレオが声をかけた。
それにカッとなった私は普段から貯めていたピノコへの不満を口にした。
それに対してレオが更にピノコを庇う。
そこから先は修羅場だった。
でも最後に彼の言った言葉は、パンパンに膨らませた水風船を投げつけられたみたいに、私の目を覚ますには充分な威力があった。
あんな事があったけど……
レオに未練が無いかと言ったら嘘になる。
怒りをぶつけたい。謝って許しを乞うなら、やり直しても構わない。
そんな気持ちに揺れているうちに、レオも無期限休止をしてしまった。
そんな気持ちで悶々としていた私の神経を、逆撫でする様な誹謗中傷と色恋DMの山。
嫌気がさしてた私に1通のDMが届いた。
〚まったりとした枠作り〛その言葉に惹かれて、私は【ハムエッグ】という配信者の枠を訪れた。
結城様には程遠かったけど、結城様の相棒の賀來っぽい優しさに惹かれた時もあったわ。
それから、まぁ色々あったけど最終的にはコイツがライバー事務所を立ち上げるだのなんだの言って、女の配信者と共謀して、私から搾取してた事が発覚したのよ。
この2人を、徹底的に潰すために私は策を練った。まず自分が配信者となって、全てを暴露してやろう。再び配信界に戻れないように。
それと同時に、直接振り込んだ分は裁判で返還させてしまおう。私には大した金額ではなかったけど、今の彼らが返せる額では無い。
とはいえ自分が暴露配信するって事は、それなりにリスクを伴うワケで……
その頃、レオが戻ってきた事を知った。
戻って最初のイベントで彼が1位に輝いたことも知り…彼への気持ちが紅茶に浸したパンの様にジワジワと広がって来て、私は彼の枠を訪れた。自分の決意の背中を押して欲しかったのかも知れない。
そこで…私はメルモと初めて対峙した。
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