第5話 愛のかたまり

レオの住所を手に入れた私だけど、すぐにでも飛んで行きたい気持ちをグッと堪えた。

なんか呼ばれたら尻尾を振って走ってくる犬みたいじゃない?多少は焦らさないと…

そんな事を考えながら、レオに逢いに行くと決めた日までの1週間を、エステやネイルに費やした。


1週間が経って、レオの住むアパートメントの前で彼の帰りを待っていると、遠くから鼻歌が聞こえてくる。


『そ〜んな小さな石で〜未来ごと売り渡す君が悲しい〜🎶』

誕生日に贈られたプレゼント。大半がパパの仕事関係だったけど、中には結婚相手候補に名前の上がってる相手からの物もあって…

ブルガリだのロイヤルアッシャーだの高級ブランドで私の気を引こうと送り付けてくる。


やっぱりレオは私が置かれてる状況を分かってくれてる。

そう思ったら矢も盾もたまらず、レオの前に飛び出した。本当は、部屋に入ったら訪ねる予定だったけど……



まぁその後の事は…ご想像におまかせするわ。でも簡単に言っちゃうと、ますますレオが好きになっちゃったのよ。


今まで付き合った人はそれなりにいるけど…

一般家庭で育った人は、私のバックボーンに気後れしながら、恐る恐る私を抱いていた。

逆に私と同レベルの環境の男性は、自分から女性を喜ばせるなんて知らない人だった。


だからレオの愛し方は、私にはものすごく新鮮だった。肉体労働だからなのか、引き締まった鋼の様な腕で私を抱きしめる。

名前の通り野生のライオンの様に、噛みつかんばかりにキスをされたのは初めてだった。


そして……

彼が私を本気で愛してるのも確信できたの。

だって…彼が…私の1番恥ずかしい所にキスをしたの。

自分に置き換えたら普通、愛してない殿方にそんな事できないでしょ?気持ち悪い…

それは彼からの本気ってサインだもの。



彼からの本気の思い…

でも彼が私との事を公にしたら、あまりにも彼の負うリスクは大きい。

私は彼に囁いた。

『この事は2人だけの秘密にしましょ』



自宅の自分の部屋に戻ると、鏡台の前に立って髪をかきあげると、鎖骨の辺りにつけられた赤い跡を撫でながらそっと呟く。


2人だけの秘密って…

なんて甘美な言葉なんでしょう!

私たちは共犯者なのね。

ごめんなさいね。レオのリスナーのみんな…

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