第3話 チェンジリングと女王


『チェンジリング』とは…妖精の取り替え子。人間と妖精の子供が取り替えられること。


妖精の国『ネフリティス』を治める王族、フォーレスト家に生まれた双子の片割れは、チェンジリングで人間と取り替えるという習慣があるらしい。


「異世界から美愛ちゃんが連れてこられたのは、偶然よ。だけど、元の世界へ帰すことは出来ないの。」


エラさんが私に謝罪する。…私なんかにそんなことしなくていいのに。


「私は…これからどうすればいいんですか?」


「あなたのことはもちろん、この城で保護します。それとも、人間の国で暮らせるよう手配することも出来るわ。どちらにせよ、不自由にはさせない。」


だとしたら、できればここにいさせてほしい。

でも…


「人間の私が妖精の国にいるのは、迷惑じゃないですか…?」


「迷惑なんかじゃないわ!確かに種族は違うけれど、基本的に妖精は人間と仲良くなりたいと思っているから。」


迷惑じゃない、なら…ここにいてもいいのかな…。


それと、もう一つ気になったことがある。


「私と取り替えられた妖精はどうなったんですか?」


「おそらく、あなたが元いた世界にいると思うわ。でも、きっと大丈夫だと信じてる。あの子は、私の娘ですから。」


「娘…。」


「私にはもう一人、息子がいる。あの子達を双子として生んでしまったせいで、どちらかは手放さなければいけない。あの子達のことを愛しているのに…。」


エラさんの顔には、心配と悲しみの感情が浮かんでいる。



「…そうだわ。提案なのだけれど……もし、あなたが嫌じゃないなら…私の養子として、フォーレスト家の一員にならない?」


「…えっ!? 私が…ですか!?」


冗談かと思ったが、エラさんは真剣だ。


「急にこんなこと言って、びっくりさせてごめんなさいね。でも、冗談ではないわよ。」


このお城にいさせてもらいたいとは思っていたけれど、私がエラさんの養子に?


「どうして…」


「美愛ちゃんが私の娘になってくれたら嬉しいなって思ったの。あなたともっと仲良くなりたい。」


私と?



「す、少し…考えるための時間をください。」




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る