オマケ 登場キャラクター紹介



※これはオマケのキャラ紹介です。なるべく読んでいてクスリと出来るモノにしたつもりです。執筆時のメモが元になっているので初出の情報もありますが、問題無さそうなモノは敢えてそのまま残しました(作者)。






【イサリ】――最強にして最後の地球人♂


「ボクがロリコンだったら致命傷だったぜ」


「秩序? 罪無き者たちに<魔女>というレッテルを貼り、迫害することで、人々の間に軋轢あつれきと分断をもたらすことがおまえたちの言う秩序なのか? そんなモノは秩序とは呼ばない――混沌というんだ」



 本作の主人公。十六歳の高校一年生で、漁師の家系に生まれ育つ。艶のある黒髪に、鋭くもパッチリとした黒瞳、そして童顔と、遠目には女の子にも見える容姿をしている。

 従妹のアズサと海外旅行中、海へ転落した令嬢・ルーナを救おうと海へ飛び込んだ結果、ルーナともども白鯨シロナガスクジラに飲み込まれることとなり、結果として(?)時空を超えて蒼き月の海ルナマリアへと流れ着く(彼のように蒼き月の海ルナマリアへと流れ着いた地球人は<漂流者>と呼ばれる)。

 当初は凡夫ぼんぷを自称していたが、本当は『自分はどこかおかしい』『壊れている』と自覚してもいた。その原因が母親との死別にあることも薄々理解している。

 幼少のころから『重度の喘息を改善するための運動の一環』として、叔父より『神威かむい体現闘法たいげんとうほう漁火いさりびけん>』と呼ばれる謎の格闘術を、叔母より実戦式薙刀なぎなた術<天鳥船あめのとりふね流>を叩き込まれてきた(ただし後者の流派名は作中未登場)。

 蒼き月の海ルナマリアに『史上初の男性版<漂流者>』として流れ着いたのち、『デイジーワールドの』という不思議な樹の実を食べたことで『幽霊船長』(仮称)に『変身』する能力を手に入れる。

 現在は純白の帆船『トゥオネラ・ヨーツェン』の『なんも船長』として、ルーナとともに地球へ帰還する方法を探すため、そして救った<魔女>を安住の地へと導くために旅を続けている。……が、彼の魂魄タマシイはある理由から『特別』で、造物主たちと『良くないモノ』の戦いに巻き込まれていくこととなった。

 自分では自分を『陰キャ』『非モテ』と思っている(ルーナとカグヤから好意を寄せられている自覚はあるが、年齢差もあり彼女たちのそれは『優しい親戚のお兄ちゃんに懐いてる幼子おさなごのそれと同じたぐいのモノ』と認識している)。いっぽう、周囲の人間は彼のことを『朴念仁』『鈍感』『女の敵』『ロリコン』『マジかおまえ』と認識している。

 本来、年下の女の子より年上の女の子のほうがタイプなため、時折仲間からロリコン扱いされることを不本意に思っている。巫女さんフェチであることは自分でも認めている。なお、従妹とその両親の英才教育の結果、女性をドキッとさせる言動をするように育ったが、本人には自覚も下心も一切無いためたちが悪い。


 自分を兄のように(?)慕ってくれるルーナのことは『フフ……い奴よ』と思っているが、最近になって『このコ、ときどき言動がおかしくならない……?』と気付き始めた。気付くのが遅い。






【ルーナ】――行動力溢れる小さなお嬢様


「必ず……。一緒に帰りましょうね。イサリさま」


「イサリさまっ。わたくし今夜大人になりますから! よろしくお願いしますね!」



 イサリと一緒に蒼き月の海ルナマリアへと流れ着いた十歳の令嬢。命の恩人であり運命共同体とも言えるイサリを兄のように(?)慕い、『イサリさま』と呼ぶ。

 腰元まで届く亜麻色に近い金髪フラクスンブロンドと水色の瞳を持つ、幼いながらも美人と評して差し支えない幼女で、『人間として存在してもおかしくない限界ギリギリを狙ったかのような美少女』とはイサリの評。

 豪華客船の甲板デッキから海に落ちても怪我ひとつ、打撲ひとつしない驚異的な幸運の持ち主で、第十一<神域>ロストワールドにおける騒動の際は仙女の声を聴いたりもした。

 蒼き月の海ルナマリアに流れ着いた当初は水色のドレスを身に着けていたが、『トゥオネラ・ヨーツェン』の女性乗組員クルーの制服である『セイラー服のえりがついたスクール水着モドキ』を何故かいたく気に入り、現在はそちらを愛用している。

 唯一の(?)欠点はネーミングセンスの無さで、白鯨シロナガスクジラに『シロ』と名付けた際は、彼女を可愛がっているイサリでも『……うん……まあ……うん……小学生だしね……』と言葉を濁さざるを得なかったほど。

 当初は人並みに恥じらいを見せていたのだが、元々猫を被っていたところもあるのかきずなが深まるにつれてイサリに対してはかなり大胆な言動を見せるようになってきており、将来がちょっぴり心配。

 ちなみに蒼き月の海ルナマリアに流れ着く<漂流者>はみな、(漂着時点で)十代から二十代であり、ルーナのギリギリ十歳というのは実は史上初である(余談だが、ターニャのように二十年前、二十歳で流れ着いたため、もう四十路よそじだという<漂流者>も極めて珍しい部類)。


 年齢としが近いカグヤのことは『イサリと接吻キスをした』と聞いた瞬間から頭の中の『要警戒対象リスト』第1位に認定している。何そのリスト怖い。






【カグヤ】――謎多き可愛い仙女様


「ようこそ、だんなさま。蒼き月の海――ルナマリアへ」


「そうだね☆ 『まだ』恋人同士じゃないもんね☆ こういうのはちゃんと恋人同士になってからだよね☆」



 イサリが蒼き月の海ルナマリアで出逢った自称・『蒼き月の海ルナマリアを管理する仙女』。見た目は十二歳くらいで、からすのような美しい黒髪をリボン代わりの月下美人でツーサイドアップにした、瑠璃玉ラピスラズリのような色合いの可憐な瞳が魅力的な女の子。『人間離れした、本来この世に存在するはずがないレベルの美少女』とはイサリの評。動きやすいように袖や袴などの丈を短くした巫女装束のような衣装を身に纏っている。

 イサリの『魂魄タマシイ伴侶はんりょ』を自称し、イサリを『だんなさま』と呼び慕う。なんなら夜中、寝所にもぐり込んだりもする。天真爛漫であざといコ。普段はイサリに甘えるために(というかルーナへのライバル視から)わざと幼く振る舞うことが多いが、実はお姉さん感覚でイサリやツバキなどを見守っている。

 イサリに『バビロンの実』で自動翻訳能力を、『デイジーワールドの実』で『変身』する能力を与えた。

 元は彼女が『トゥオネラ・ヨーツェン』の船長兼船医ドクターだったが、イサリとの邂逅以降は船長の座をイサリへ譲った。のちに船医ドクターの座もリオンに譲る。また、乗組員クルーからは『あの子が船長になった途端、「深きものども」と遭遇する機会がめっきり減った』として幸運の女神扱いをされていた。

 彼女がその本領を発揮したときは、髪の色が紫水晶アメジストまぶしたようなすみれ色へ、瞳の色が紅玉ルビーきらめきのような色へとそれぞれ変化する。そして本領を発揮すると、大気循環システムへの干渉による風向きの調整や、プレートテクトニクスへの干渉による地震の誘発などが可能となるが、彼女自身を激しく消耗させ、ときにはイサリをドン引きさせたりもする(イサリは彼女の正体について、『絶対「仙女」なんて可愛い存在モンじゃない』と踏んでいる)。


 後見人であるツバキのことは『苦労性だなぁ。頑張って』と世話の焼ける妹を見守る姉のような心境で陰ながら見守っているが、見た目は彼女のほうがずっと年下なので、そんなときは大抵彼女も乗組員クルーたちから『カグヤちゃん、また背伸びしてお姉さんぶってる……可愛い』と温かい眼差しを向けられていることが多い(彼女はそれに気付いていない)。






【ツバキ】――ツンツンデレデレなお姫様


「まったく……こんな胡散臭いナリした下郎げろうにいきなり抱き着くとは。男の趣味が悪すぎるぞ、カグヤ」


「そ……それはイヤじゃ! 旦那様を甘やかすことは、もはや妾の生き甲斐なんじゃ! 妾に甘やかされて、『ふにゃ~』って骨抜き状態になってる旦那様が一番可愛いんじゃ! 旦那様に尽くしているときが一番『あ。妾、今、生きてる』って感じがするんじゃ! なんならもっと違うお世話も……食事のときに口にご飯を運んであげたり、お風呂で全身洗ってあげたりもしてあげたいくらいなんじゃ!」



 本編登場済み。

 イサリが蒼き月の海ルナマリアで出逢った『ヤポネシア』のお姫様。艶のある黒髪を腰まで伸ばし、前髪を綺麗に切り揃え、所謂いわゆる姫カットにした十九歳の美女。『京都辺りの旧家のご令嬢といった感じ』とはイサリの評。そして『おっぱいオバケ』とはクロエの評。イサリからは『少なくとも容姿に関しては自分の理想に近い』とも評されたが、ファーストコンタクトが最悪だったため第一印象は決して良くなかった(というか、最悪だった)。口調が古風的で、イサリのことを『旦那様』と呼ぶ。イサリへの好意を自覚しているが、『イサリの正妻はあくまでもカグヤ』と弁えており、(これでも)いろいろと遠慮している。

『トゥオネラ・ヨーツェン』の副長であり、同時に航海士オフィサーでもある。当初『トゥオネラ・ヨーツェン』の航海士オフィサーは彼女一人だったが、将来的には彼女を含め三人となるため、最終的には第1班の航海士オフィサーという位置づけとなった。いっぽうで『トゥオネラ・ヨーツェン』の実務面については、その多くを今も昔も彼女が取り仕切っており、実質的なリーダーは彼女だと言える。また、カグヤとは一年ほど前に出逢い、いろいろあって彼女の後見人のような立場となった。

 女だてらに棒術を得意とし、『深きものども』と呼ばれる半魚人モドキ相手でもそれなりに渡り合うことが可能。イサリからは戦いかたについて酷評されたりもしたが、どちらかというとおかしいのはイサリ(の技能)のほうなので落ち込む必要は無い。また、裁縫が得意で、自分の予備の制服を流用しすぐに他の女性乗組員クルーの制服を準備してしまう。

 お姫様ということもあってプライドが高めだが、惚れた男のために部下に頭を下げるなど実は尽くすタイプ。本編でも既にその片鱗をうかがわせてはいるが、閑話においては完全に『愛しの旦那様に対して駄々甘な姉さん女房』と化している。また、その出自に『ある秘密』を抱えていることが本編において匂わされているが、どんな秘密かは閑話を読んだらバレバレ。読まなくてもバレバレ。


 自分と同じ最古参メンバーであるアリシアのことは『いろいろな意味で危ない女』だと思っている。なお間違ってはいない。






【アリシア】――悪友ポジな赤毛のお転婆娘


「私……救われたいって思ってもいいの……? 幸せになりたいって……願ってもいいの……?」


「だいたい、私の作った料理でみんなが死にかけている隙にアイツとイチャイチャしようだなんて、小癪こしゃくなのよ! みんなに謝りなさい!」



 本編登場済み。

 イサリが初めて訪れた蒼き月の海ルナマリアの港町、『ビトルビウス』で出逢った十六歳の<魔女>。腰に届く赤みがかった金髪ストロベリーブロンドひもで縛ってサイドテールにしている。『現代日本でならアイドルにだってなれそうな――かつ絶大な人気を博すこと間違いなしな美少女』とはイサリの評。気が強く、イサリを傷付けた相手に掴みかかろうとするなどお転婆な一面も。行動力の権化。自分を救ってくれたイサリのことをヒーロー視している。

 出身地は『メネラウス』。父親は暴徒と化した近隣住民の魔の手から娘と妻を逃がすために犠牲となり、母親も娘と逃避行を重ねつつ必死に子育てを行うも病死。結果、彼女は天涯孤独となる。

『秩序管理教団』と呼ばれる宗教団体に拉致されたところをイサリに救われ、『トゥオネラ・ヨーツェン』の正式な乗組員クルーとなった。本編ではまだ操舵手クォーターマスター見習いだが、閑話、少しだけ未来においては第1班の正式な操舵手クォーターマスターとなっている。

『トゥオネラ・ヨーツェン』の乗組員クルーである<魔女>としては最古参であり、イサリの悪友的なポジションに収まる(その立ち位置を他の<魔女>に羨まれることもしばしばだが、正式な恋人になりたい彼女にとっては微妙に不本意)。そのためイサリのことを人前では『船長』と呼ぶも、二人きりのときはこっそり『イサリ』と呼んでいる。

<魔女>はみな、生まれながらに異能を持っており、彼女の場合は一時的に腕力の底上げが可能。子供のころはチカラのコントロールが上手く出来なかったが、現在はほぼ問題ない。

 料理の腕前は『致命的に壊滅的』(クロエ評)で、各種食材を『冒涜的な料理ダークマター』と呼ばれる謎の物体に変えては屍の山を築いてきた(なお、ダークマターの名付け親はイサリ)。


 自分の次に乗組員クルーとなったシャロンのことは『自分とは対照的に女の子らしい性格』かつ『年下なのに自分よりもスタイルが良い』ということでこっそりライバル視している。もっとも向こうは向こうでアリシアのことを『自分などでは勝負にもならない物凄い美人』『イサリとの距離が近くて羨ましい』と思っているので、結局のところ隣の芝生しばふが青く見えているに過ぎない。






【シャロン】――内気に見えて意外と……なメカクレ女子


「裸になって船長さんの寝台ボンクもぐり込みます」


「……お母さん、わたしね、救いを見つけたよ。お父さんやお母さん、それに家族だった孤児たち……みんな以外で初めて、<魔女>のわたしに『淋しい思いはさせない』って言ってくれたヒトがいるんだ。生きていてもいいんだって……幸せになってもいいんだって。そう、示してくれたヒトがいるんだよ」



 本編登場済み。

 イサリが第十一<神域>ロストワールドの<遺跡>の近海で炎上していた『秩序管理教団』の横帆船バークから救出した十三歳の<魔女>。

 母親譲りの焦げ茶色ブラウンの髪をセミロングにしているが、前髪が長く下に目が隠れてしまっている。『あまり目立たないけれど実はメチャクチャ可愛くて、全然そんなことはないのに「このコなら俺でもワンチャン付き合えるんじゃね……?」と男を勘違いさせてしまう罪作りなタイプ』とはイサリの評。でもって『ムッツリスケベ』とはリズの評。内気でオドオドしていることが多く、イサリとの初対面の際は母親の背中に隠れていた。……が、意外と大胆な一面もある(ただし自覚は無い)。自分たち母子おやこを救ってくれたイサリに憧れている。どのくらい憧れているかというと、『内気な自分がイサリに好意を伝えるためには裸で彼の寝台ボンクに潜り込むしかない』と思い詰めるほど。

 出身地は『夢の湖』地方にある島のひとつ。孤児院の院長をしていた父親と、家族同然だった孤児たちはみな、暴徒と化した近隣住民の魔の手から彼女と彼女の母親を逃がすために犠牲となった。

 イサリに救われたあとは母親ともども『トゥオネラ・ヨーツェン』の乗組員クルーとなる(そのため彼女もアリシア同様、最古参メンバーの一人として数えられている)。イサリのことを人前では『船長さん』と呼ぶも、二人きりのときはつい『イサリさん』と呼んでしまうことも。

<魔女>としてのチカラは驚異的精度を誇る『気配察知』能力。ただし集中しないと発揮できない。

 寝るときは下着だけ派。


 母親であるリオンのことは大好きだが、それ以上に困ったヒトだと思っている。まあ、三十二歳の母親が、(どれだけ本気なのかはイマイチ不明だが)自分の想い人でもある十六歳の少年に色目を使っているのだから、無理も無い。






【リオン】――見た目年齢不詳すぎるママさん


「いい⁉ シャロン! みんな! 恋は戦争なの! こんなトコで呑気にくっちゃべってたら、本気でルーナちゃんたちに旦那様を取られちゃうわよ⁉」


「言うと思った。だからこそ宣言するわ! ――これからは私とシャロンがあなたのそばにいる。そしてあなたが何かを頑張ったり、立派なことをしたり、称賛されるべきことをしたときは、私が沢山褒めてあげるわ! ……あなたや、あなたのお母さんの代わりにね」



 本編登場済み。

 イサリが娘のシャロンともども『秩序管理教団』の横帆船バークから救出した三十二歳の<漂流者>。つまり元・地球人。

 ぱっと見、焦げ茶色ブラウンの髪をショートカットにした身長150㎝くらいのクリクリした大きな瞳が愛らしい女の子で、十一歳か十二歳くらいにしか見えないという驚異の外見の持ち主。でもれっきとした一児の母。というか十三歳の娘持ち。『娘としてはいろいろと頭を抱えたくなる……そして「老化を忘れちゃったの?」とツッコみたくなる女性』というのはシャロンの評。

 十七歳のときに蒼き月の海ルナマリアへと流れ着き、のちに行き倒れていたところを救ってくれた男性とお酒のチカラを借りて結ばれ(自分がお酒を呑んで告白する勇気を奮い起こしたという意味ではない。恐ろしいことに)一児をもうける。

 イサリに救われたあとは娘ともども『トゥオネラ・ヨーツェン』の乗組員クルーとなり、船医ドクターに任命される(実は医師の家系の出身で、幼少のころから医学的知識を叩き込まれてきた)。

 当初はイサリのことを『イサリくん』と呼んでいたが、すぐに『旦那様』と呼ぶようになる。

<漂流者>なので異能は持っていないのだが、一部の乗組員クルーからは『実は不老のチカラでも持ってるんじゃないの……?』と疑われているとかいないとか。

 イサリに対して気があるような素振りを見せることが多いが、どこまで本気なのかはイマイチ謎。


 愛娘と比較的仲が良いトラブルメーカー・リズのことは『元気があって面白い子』と気に入っている。彼女自身もトラブルメーカーなところがあるからかもしれない。






【リズ】――天真爛漫なトラブルメーカー


「……誰かさんのそーゆー釣った魚には餌をあげないトコ、正直どうかと思う」


「あのねセンチョー。アタシたちのルールじゃあ『疑わしきは罰せよ』なんだよ。疑惑を生んじゃった時点でセンチョーの有罪は確定してるんだ」



 本編では未登場。主な登場エピソードは『閑話 それは少しだけ未来の(イチャイチャ)話①』『閑話 ある<魔女>の調査記録』など。

 砂色がかった金髪サンディブロンドの癖っ毛を背中まで伸ばした十四歳の女の子で、かなりスタイルが良く(特に胸)、一部の女性陣に初対面で『ほ……本当に十四歳なの……?』と戦慄し顔を引き攣らせた実績を持つ。

 孤児みなしごで、少しだけ未来では、第2班の見張りルックアウトとして活躍している。

<魔女>としてのチカラで、どんなに遠くの物体であっても一瞬で正確なサイズを割り出すことが可能。

 かなりの悪戯っ子で日々様々な騒動を生み出しているため、仲間内からはトラブルメーカー扱いされている。『トラブルメーカーだが、悪いコではない』とはクロエの評。

 イサリのことを人前では『センチョー』と呼んでいるが、二人きりのときはこっそり『イサにい』と呼んでいる。


 自分よりもずっと年上の女性であるナズナのことは『まさに理想の女性像!』と思っているいっぽうで、何か胡散くさ……違和感のようなモノも感じている。






【ナズナ】――才色兼備、完璧超人なお姉さん


「でしょう? 決して寝台ボンクの上で船長クンの下着を使って変なことをしていたワケじゃないの」


「裁判長。裁判員の皆さん。船長クンは寝ているダリアちゃんの唇を勝手に奪ったりなどしていません。よぉく考えてみてください。船長クンに自分から女性に手を出す度胸や甲斐性があると思いますか? いえ、あるワケがありません。そのことは皆さん自身が一番よぉくご存じのはずです」



 本編では未登場。主な登場エピソードは『閑話 ある<魔女>の恋愛相談』『閑話 それは少しだけ未来の(イチャイチャ)話③』など。

 ふわりとした亜麻色の髪を肩の上で切り揃えた二十代前半のお姉さん。『あそこまで欠点が見当たらない女性を、ボクは他に知らない』とはイサリの評。また、『とっても優しく非の打ちどころが無い完璧超人で、わたしたちみんなのお姉さんみたいな存在』とはシャロンの評。ただ、レネやクロエといったごく一部のメンバーは、彼女があまりに完璧すぎるため『実は猫を被っているのでは?』と感じている(ただし根拠は無く、ただのやっかみに近い面もある)。

 少しだけ未来では、第3班の『航海士オフィサー』として活躍。またツバキとはイサリを巡って『どっちがより頼れるお姉ちゃん的存在か』を日頃から争っている。イサリのことを人前では『船長クン』と呼んでいる。

<魔女>としてのチカラはまだ不明。だが料理の腕は<魔女>随一。裁縫や洗濯も得意で、イサリの衣類の管理は彼女とツバキの仕事。


 何かと相談に乗ることが多いレネのことは、『無理してお淑やかぶらなくても充分可愛いのに』と思っている。自分のことは棚に上げて。






【レネ】――比類なきチカラを宿したお嬢様


「失せモノ探しですね。承知しました。それで、何をお探しなのでしょう?」


「じ、実は今日も、このあと、船長様がわたくしの『恋愛相談』のためにここへいらっしゃる予定なんですぅ! このままだとまた架空の想い人の攻略法とかを船長様と一緒に考えなきゃいけない羽目になるんですぅ!」



 本編では未登場。主な登場エピソードは『閑話 ある<魔女>の恋愛相談』『閑話 ある<魔女>の調査記録』など。

 銀色の髪プラチナブロンドを緩いふたつのおさげにした、深窓の令嬢といった雰囲気の十代後半の少女。いつも優雅に好物の紅茶を啜っている。『自分の中ではナズナやマリナに並ぶ理想の女性像だった』とはリズの評……だが過去形。

<魔女>としてのチカラは『直観的に正解を導き出すことが出来る』というトップクラスのレアモノで、少しだけ未来ではそれを活かし、毎週一回、金星の日の夜に、乗組員クルーの相談に乗る時間を設け、失せモノ探しなどの相談に乗っている。また、第1班の見張りルックアウトとして活躍している。

 二面性があり、かなり特殊な恋愛観の持ち主である(婉曲的表現)。イサリのことを人前や本人の前では『船長様』と呼んでいるが、こっそり胸のうちで(『旦那様』を通り越して)『ご主人様』と呼んでいる。最近、本性がいろいろな人間にバレてきた。


 同じ第1班所属であるクロエのことは内心『ヤンデレって怖いですわ……』と思っている。これまた自分のことは棚に上げて。






【クロエ】――ヤンデレ気質な(?)眼鏡っ


「大丈夫です。どうせ相手に許された返事はひとつだけ――つまり、両想いになるのは確定ですから。両想いなら、その時点で犯罪にはなりません」


「自分はいつも協定のグレーゾーンギリギリを攻めて旦那様とイチャイチャしてるくせに……。巨乳だからって調子に乗りやがって」



 本編では未登場。主な登場エピソードは『閑話 それは少しだけ未来の(イチャイチャ)話③』『閑話 ある<魔女>の奮闘』など。


 ストレートの黒髪を地面まで届きそうなほど伸ばし、母親の形見である眼鏡を掛けている十代前半の女の子。ただし眼鏡は度が入っておらず伊達。『ヤンデレの素質が充分』とはイサリの評。

<魔女>としてのチカラは瞬間暗算能力で、少しだけ未来では、二代目の主計長パーサーとして活躍している。

 イサリのことを人前では『船長』、二人きりのときは『イサリ兄さん』と呼んでいる。普段イサリに対してツンケンした態度を取っているが、実のところ彼と接しているときは恥ずかしくて緊張しており、心臓がバクバクいって爆発しそうになっている。


 自分の補佐役であるダリアのことは『もっと自分のキモチに素直になって前面に押し出せばいいのに』と思っている。やっぱり自分のことは棚に上げて。






【ダリア】――不器用な最年少<魔女>乗組員クルー


「……みんな、ダリアだけけ者にして楽しそうなことしてる」


「? ダリアが医務室で寝ていたのは、単に船酔いしたからだよ? そもそもダリアのほうからせんちょおにチュウしたのに、ショックなんて受けないよ」



 本編では未登場。主な登場エピソードは『閑話 ある<魔女>の休息日』『閑話 それは少しだけ未来の(イチャイチャ)話③』。

 ワインレッドの赤毛を足元まで届きそうなほど伸ばした十一歳の女の子で、その境遇ゆえに自分の感情を表現するのが苦手。にもかかわらず、どうしてもイサリのそばにいたくて、『いろいろと努力した』結果『トゥオネラ・ヨーツェン』の乗組員クルーとして認められる。

 正式な乗組員クルーとして認められた<魔女>の中では最年少で、『相手の嘘を見抜ける』チカラを有しており、少しだけ未来では、そのチカラを活かして幼いながらも『主計長パーサー補佐』としてクロエの助手を務めている。

 甲板デッキで昼寝をするのが好き。アリシアと特に仲が良い。

 イサリのことを『せんちょお』と呼ぶように気を付けてはいるが、二人きりのときなどはつい『お兄ちゃん』と呼んでしまいがち。


<漂流者>であるイリヤに『せんちょおとおんなじで格好良い!』と憧れていて、『自分も大人になったらあんなふうになりたい』と思っているが、道は険しそう。






【イリヤ】――地球生まれの戦友


「……むー。いくらあなたでも赦せないんだカラ! 覚悟してもらいます!」


「どちらかと言うとブチューだったと思うワ。四秒ほどカシラ」



 本編では未登場。主な登場エピソードは『閑話 ある<魔女>の休息日』『閑話 それは少しだけ未来の(イチャイチャ)話③』。

 地球を出自とする<漂流者>で、良家のお嬢様の嗜(たしな)みとして様々な護身術を習っていた。棒術の腕前はツバキをも上回り、『トゥオネラ・ヨーツェン』の女性陣の中では数少ない『深きものども』とまともに渡り合える実力者。甲板デッキで座禅を組んで瞑想している姿がよく見られる。

 蒼き月の海ルナマリアに流れ着いてからまだ一年も経っておらず、イントネーションがおかしいが、カグヤに自動翻訳能力を獲得できる『バビロンの実』を食べるかと訊かれた際は『これまでの努力を無駄にしたくない』と断る気高さも見せる。

 少しだけ未来では『トゥオネラ・ヨーツェン』でその護身術うでを揮っており、いろいろあって戦友となったイサリのことを『センチョウ』と呼び慕っている。






【アデリーナ】――イサリに救われた若きシングルマザー


「船長さんが怖い怪物をやっつけてくれたところを、この子もその目で見ていますし……もしかしたら、船長さんに亡き夫……半年前に死んでしまった父親を重ね合わせているのかもしれません」


「わたくしなりに船長さんの人柄をいたのですが……。先にルーナさんがお話しされていたこともあり、『そんな! 未亡人と四歳児まで既にあの男に毒牙に⁉』『幼女だけでなく年上もイケるのというの⁉』『母娘丼おやこどん……だと……⁉』と皆さん別のことが気になるご様子で……。お力になれず申し訳ありません」



 本編登場済み。

 銀髪プラチナブロンドをショートカットにした二十台後半の美女で、二十世紀末の北欧から流れ着いた<漂流者>。イサリの手により、アリシアと同時に『秩序管理教団』の横帆船バークから救出された。『ツバキやアリシアにはまだ無い年齢相応の落ち着きと色香を兼ね備えた、うら若くも大人な女性』とはイサリの評。

 夫を亡くしており、四歳になったばかりの娘・サシャを女手ひとつで面倒見ている。サシャの<魔女>としてのチカラはアリシア同様、一時的にだが幼児とは思えないような腕力を発揮できるというモノ。が、それをちゃんとコントロール出来なかったために、周りに<魔女>だとバレて『秩序管理教団』に捕まった。

 自分たちを救ってくれたイサリへの信頼は厚い。『むしろ厚すぎない……?』と周囲がいろいろ不安になるときもあるとかないとか。なお、娘のサシャもイサリに懐いており、『せんちょ』と呼んで慕う。イサリに亡き父親を重ね合わせているのだろうとアデリーナは推測している。






【ターニャ】――肝っ玉母ちゃんな二代目司厨長コック


「惚れた男のために料理の腕を磨きたい……その意気やよし! いいだろう、アタシの技術と知識のすべてをアンタに叩き込んであげるよ!」


「船長サンを酔わせて何をするつもりなんだいアンタは⁉」



 本編では未登場。主な登場エピソードは『閑話 ある<魔女>の奮闘』。

 赤銅色の髪を後ろで縛っている四十歳の肝っ玉母ちゃん。地球出身の<漂流者>で、少しだけ未来では、夫と娘を本拠地ホームに残し、『トゥオネラ・ヨーツェン』の二代目の司厨長コックとして日々厨房で腕をふるっている。

 地球にいたころは有名な五つ星ホテルで見習いとしてだが腕を揮っていたこともあり、各国の料理や食文化に精通していた。だが、そんな彼女でもアリシアの料理の腕を上げることは不可能だった……。ちなみにリオンとは呑み仲間。






【ユーノ】――義姉あねと百合百合な(?)ボクっ


「お兄さん! ボク、ユーノって言います! 助けてくれてありがとう! とっても格好良かったよ! それでねそれでねっ、ボクもあの鯨さんに乗ってみたいの! ねえ、乗せて! お願い! 乗せてくれたらお礼にチュウしてあげるから!」


「それは違うんじゃない、お姉ちゃん。だってもしそうなら、今頃ボクのチュウに飛びついてるはずだよ? ボクまだ十二歳だし。こんなに可愛いし」



 開幕にて登場済み。本編では未登場。閑話では名前のみ登場済み。

 緩く波打つ金髪をショートカットにした十二歳のボクっ。肉親は全員他界しているが、クレアという名の<漂流者>の義姉あねがいる。<魔女>としてのチカラはまだ不明。

 少しだけ未来では『トゥオネラ・ヨーツェン』の乗組員クルーとなっていることが示唆されている。






【アイリン・メイリン・シャオリン】


 本編では未登場の<魔女>の三姉妹。閑話において名前のみ登場済み。

 ……と思わせて実はプロローグ(♯0)でこっそり登場済みで、セリフもあったりする。






【マリナ】――もう一人の仙女


 本編で名前のみ登場済みの仙女。少しだけ未来では『トゥオネラ・ヨーツェン』の乗組員クルーとなっていることが示唆されている。






【ディードレ】――夢の中の登場人物


「……本気……なの……? 本気で信じてるの? いつか『それ』が、あなたやわたしの隣に並び立つ日が来ると……。この孤独も絶望も、包み癒してくれるときが来ると。そんな夢物語を、」


「そう……絶対に大丈夫。わたしが……ううん、わたしたちが必ずあなたを守ってみせる。あなたが天寿を全うできるよう、あなたに寄り添うからね」



 本編でイサリの夢に出てきた不思議な女の子の一人。<破壊と修正のガイア>を自称する。

 白無垢や巫女装束を彷彿ほうふつとさせる白と水色の衣装に身を包んでいる。






【マーシー】――夢の中の登場人物


「わたしは『彼』こそが、永遠の存在者であるわたしたちの救いになってくれるかもしれないと……そう思うの」


「まだ生まれたばかりのこの地球……原始の海というスープの中で、宇宙の闇黒あんこくより単身降り立った『彼』を、あなたとともに見つけたあの日から……。わたしはずっと、信じてる」



 本編でイサリの夢に出てきた不思議な女の子の一人。

 ディードレと同じく白無垢や巫女装束を彷彿とさせる白と水色の衣装に身を包んでいる。






【スーザン】――<種を摘み取るものスピーシーズバスター


「『生きたい』『生きて輝きたい』……。そんな、暗く寒い宇宙の片隅で自然と生まれ彷徨さまよっていた無数の魂魄タマシイの叫びを聞いた。その叫びに、我らは応えたくなった。……それだけだ」


「そうだ。我は、汝を新たな主に相応しいと認める。我がチカラ、存分に揮うといい」



 本編で登場済み。

 イサリが第十一<神域>ロストワールドで出逢った造物主の一柱ひとり。シンボルは『♉』。つまり牡牛座。カグヤとは面識があるらしく、彼女からは『スー』と呼ばれている。その発言からは姉がいることがうかがえる。

 ダークレッドの髪をポニーテールにした、紅玉ルビーのような赤い双眸の、見た目は二十歳はたち手前くらいの美女。

『超巨大隕石の落下を操作し、模造された地球に大量絶滅をもたらすことで、白亜の時代に幕を下ろす者』『「衝突の冬インパクト・ウインター」の体現者』を自称する。

 イサリを『新たな主』として認め、その身に宿った。そのためイサリは彼女の許可を得られればいつでも『衝突の冬インパクト・ウインター』のチカラを揮えるようになったが、あまりにも強大なチカラであることから、自らに使用を禁ずる。






【シロ】――『幽霊船長』の相棒?


『――夢じゃありませんー。現実ですぅ』


『――さあ、今こそ来たれ。この地球ほしを取り戻すため。時空を超えて、<魔女>たちの待つ蒼き月の海ルナマリアへ!』



 地球でイサリとルーナを文字どおり鯨飲げいいんし、時空を超えて蒼き月の海ルナマリアへと運んだ白鯨シロナガスクジラ

 ずっと『トゥオネラ・ヨーツェン』のあとを追いかけてきて(イサリのストーカー疑惑有り)、イサリを戦場まで運んだり、海面からジャンプして敵の隙を作ったりと大活躍。

 地球では少女の声、口調で喋ったが、蒼き月の海ルナマリアに来てからは何故かだんまりである。






【アズサ】――イサリの従妹にして天敵


「ふーん断るんだ。……アンタの夜のオカズ、巫女さんのコスプレものが多いってこと、伯父様や『あっちの』伯母様は知ってるのかしら?」


「ったく。ホント軟弱なんだからっ。雑魚ざこ雑魚ざーこっ!」



 イサリの二歳ふたつ下の従妹。物心ついたころからずっとイサリに好意を寄せていたものの、どうしても素直になれずにきた。海神を祀るそれなりに大きな神社の跡取り娘で、幼少のころから数々の直感を当ててきた実績を持つ。『自分の天敵』『外見は最高なのに内面がアレ』とはイサリの評。

 イサリと一緒に母親から実戦式薙刀なぎなた術<天鳥船あめのとりふね流>を叩き込まれており、その技術はイサリをも凌ぐ。

『イサリが自分を置いてどこかへ消えてしまうのではないか』という漠然とした不安を抱いており、『万が一イサリがいなくなってしまっても、海神様カミサマのチカラをお借りして地の果てまでだって追いかけてやる』と決めているが……。



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