だれに忘れられたのか、だれによって忘れられたのか、色々と考えさせられる物語でした。短編ながらも、文量以上に深く心にしみました。
きらびやかな演目の外、舞台装置のように忘れ去られた「彼」の名残たった一つの望むものも手に入れることなく人知れず物語を紡ぐとも愛する人の幸せを汚しはせず、名乗ることもなく沁みます
さらっと描かれているけれど、かなり深い作品だと感じました。幸福を願わぬ人間などいないだろうに、いつまでもこの世に報われないままの人があふれているのは、人間の望みはひとつひとつ異なっており、文字通り「彼方立てれば此方が立たぬ」という状態になるからなんだよなと痛感しました。そしてラストがしびれました。そう結ぶのかと。是非、沢山の方に読んでいただきたい作品です。最後に作者様へ。深い感嘆をもたらしてくれる作品をありがとうございました。これからも頑張ってください。