28話 夢を現実に

 ギルドは騒めいていた。しかし、そこに不穏な空気は無く。

歓喜の声であった。まるで自分が昇格したかの様に彼等は喜んでいた。



 【ウォーリア】を結成して約一ヶ月と少し、

終に等級がオリハルコンへと昇格した。

今までの最短記録が八年、パーティーリーダーの最年少が二十一歳なので、

圧倒的な速度で昇格したといえる。

さらにパーティー人数の最少記録も更新した。

この偉業はギルドだけでなく、王国中で話題となった。



☆☆☆☆☆☆


【ウォーリア】


等級:オリハルコン

メンバー

アルマ 十八歳 魔法剣士

カレン 十歳  魔法剣士


☆☆☆☆☆☆



 さらに一か月半後、クリステルから嬉しい知らせが届いた。

家が完成したらしい。早速、クリステルと一緒に家に向かう。


(……え?)



 最近で一番驚いたかもしれない。

豪勢な家。いや、豪華な屋敷だった。

心なしかクリステルの屋敷よりも一回り大きい気がする。


「え? いや……これは大きすぎない?」


「私もそう思う……最初の計画は部屋がこの半分だったんだけど……

お父様が恥ずかしいからって……」



(半分でも多すぎるって……)



「わー! 凄いアルマ! クリステル! 見てきていいっ?」


「いってらっしゃい」


 カレンが嬉しそうに庭中を走り回っていた。

そのまま元気よく内部探索に行った。

まあ、カレンが喜んでいるので良しとしよう。


 大きな庭の隣に厩舎があった。

これで移動には困らない。


「でも、管理が大変そうね」


「それは大丈夫。取りあえず、十人ほど雇ってる。

留守中も屋敷の管理や魔馬のお世話もしてくれるよ。

そこもお父様が何故か払うって言ってた。

不審人物が入らないようかなり厳選して選んだみたい」


「何か悪いわね……」


「気にしないで、私たちがそうしたかったの……ただちょっと残念」


「どうして?」


「今日からアルマと離れ離れになるでしょう……

ああ~、私もこっちに住もうかなぁ~」



「……いや、クリステルの屋敷までかなり近いでしょ」



 クリステルが紹介しながら屋敷を回る。

テラスやバルコニー、綺麗な池の傍にはガゼボが設置してある。

室内には豪勢な浴場も完備してあった。


(それにしても広すぎる。落ち着いたら小動物でも飼おうかなぁ)



「クリステル。立派なお屋敷をありがとう」


「えへへ、どういたしまして」





 オリハルコン等級になってもやる事は変わらない。

依頼だ。特に人気の無い依頼、報酬が安かったり、遠かったり、

残りやすい依頼を優先でこなしていく。

そして、その過程でカレンをしっかりと一人前になるように育てる。



 色々あったけれど、今、この瞬間はとても楽しい。

危険だけど、とてもやりがいのある仕事だ。





 本日の依頼が終わり、街で買い物も終わった。

後は帰えるだけ。もうじき日が暮れる。

そんな時、カレンが少し照れくさそうに言った。


「ねぇ、アルマ。手を繋いでもいい?」


「ええ、もちろんよ。さあ、お家に帰ろっか、カレン」


「うん!」




 きっとアルマとカレンの物語はこれからも続いていくのだろう。






☆☆☆☆☆



ご視聴ありがとうございました。

『約2935回の呪いをかけられた最弱女剣士。ヒロインと出会い最強無双の魔法剣士へ~暗殺を企てておいて、今更助けを求められてもね~』

はこれにて完結となります。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

約2935回の呪いをかけられた最弱女剣士。ヒロインと出会い最強無双の魔法剣士へ~暗殺を企てておいて、今更助けを求められてもね~ 刀根光太郎 @tone-koutarou89

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ