11話 因果応報

 シビルは街の人に姿を見られる度にひそひそ話をされる。

それが苦痛で裏路地を好んで使うようになった。


 ある日、日頃から通っている道を歩いている時、

腕を掴まれ地面に放り投げられた。


「な、何をするんですか!?」


 嫌らしい笑みを浮かべている男たちが居た。

シビルは驚いた。知っている面々だったからだ。

慌てて立ち上がると戦闘態勢に入る。



「聞いたぞ……お前、解呪に高額の値段を取ってたらしいじゃねぇか」


「は、はぁ!? 何を証拠にそんな事を言うのですか!? 

貴方たちはもう解呪された。教会でもそれを正面する事は不可のぅがっ」


「黙れ屑ビッチが!?」


 シビルは顔面を殴られ、吹き飛ばされると壁に激突し、地面に崩れ落ちた。

鼻血を出しながら必死に訴える。


「こ、こんな事をして教会が黙っていると思いですか……重罪……ですよ」


「知るかよ。こっちは金がないせいで妻には逃げられるわ、散々だったんだッ」


 男たちは服を丁寧に脱がし始めた。



「それは売るから破るなよ。こいつ顔だけは良いからな」


「や、やめなさい! あぶぅっ」


 男たちはもう一回顔を殴る。


「やめっ」


「ああ? そんな口の聞き方で良いのか?」


「ひぃっ! や、止めて下さい……お願いしますっ」



「じゃあそれなりの誠意が合っても良いんじゃないか?」


「今まで騙して来て申し訳ございません」



「地面に両手と頭を擦り付けて、尻上げろ。それと自分の愚かさを口にしろ」


「そ、そんな事出来るはずないじゃないですか! 私は神官ですよ!」


 髪を掴んでもう顔面と腹部に一発ずつ入れると、シビルは大人しく従う。


「わ、私は散々嘘をついて来た最低のくそビッチ女です。

何でもしますので、どうぞ今までの罪をお許しください」


「分かった」


「ありがとうございます!」


「俺たちが全員満足したらな」


「え? い、今謝ったじゃないですか!」



「何でもって言っただろうがよ!」


「うぐぅむぅぅう」


 男は一物で口を塞いだ。


「俺は前をもらうぜ」


「じゃあ俺は後ろだな」


 シビルは一物から口を一瞬離した。


「う、後ろ何て絶対に無理です! 謝りますッお願いですから、やめてください! 

本当にごしょうでぁぃいぎゃぁぁぁぁあああぁ!!!!!」


「くはぁー、良い顔で漏らすねぇー」


 彼等は問答無用で突っ込んだ。

激しく腰を振る。獣の様な悲鳴をある程度聞いて、

満足した男は再び一物を口に放り込む。

幾ら泣き叫ぼうとも終わる事は無かった。





 一晩中、ひたすら犯されたシビル。

静寂になった路地裏で一人、回復魔法で治療していた。

恨みつらみを言う気力もない。

何とか立ち上がると、布を被され取り押さえられた。


「な、なに! 誰ですかぁ」


 腹を殴られて意識を失った。

目が覚めるとそこは教会だった。


「大司教様! た、助けに来てくれたのですね!」


「シビル……お前は誰よりも才能があり、努力を惜しまない、誠に優秀な神官であった」


「はい! 私は敬虔なるっ…………大司教様……?」


 シビルは途中で違和感に気が付いた。

異様な雰囲気。心なしか大司教が恐ろしく感じたのだ。


「禁忌を侵したな、シビルよ……」


「!?」


 驚きの余り言葉を失う。

だが何か言わなければ肯定ととらえられてしまう。



「そ、それは何かの間違えでは無いでしょうか……」


「神に誓ってか?」



「……と、当然です」



「とても悲しい答えだ」


「え……?」


「その言葉は聞きたく無かった……シビルよ。もう、お前を救う事は出来ない」


「大司教……様?」



「アルマの呪いは解呪した。もうお前たちに力が戻る事は……永遠に無い」


「な! あり得ません! そんな事は不可能! 大司教様ですらもあれを解呪する事は……ぁッ……」



「今更隠す事ではあるまいよ。なんせもう調べはついておる。刑も確定した」


「うッ……嘘ですよねっ!! ……今まで散々ッ、神に仕えて来た私をッ!」



「人には超えてはならぬ一線がある……お前はやりすぎた……」


「ぁ……ぁ……たす……けて……助けて!?」


「達者でな……誰よりも気高く、純粋。才能に恵まれた神官。シビルよ」



 シビルが立ち上がり逃げ出そうとした時、

魔法陣が発生した。大司教に称賛されたシビルは、その場から消えた。




 シビルは隔離された地域に飛ばされていた。

そこには呪いに苦しむ男たちがうごめいていた。

動ける者が反応する。


 彼等は隔離されているだけで、それなりの生活を保障されている。

せめて死ぬまでになるべく苦しまないとの処置。



「おお! 久しぶりの女だぁ!」


「数十年ぶりか?」



「こ、来ないで!」



「はは、威勢が良いな。楽しみだ。今度は長く持ってくれよ」


「お嬢ちゃん……回復魔法は使えるかな? 良い訓練になるよぉ」


「俺は雷の魔法……得意だぜぇ」


「おっ、こいつ洩らしやがった。

神官の癖に今から何されんのか分かってんのか? おもしれー」


 そして、その場にはこの世のものとは思えない叫び声が響いたという。


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