12話 上昇
私が解呪されて一週間が経った。
等級はシルバーに上がっていた。
史上最速での等級上昇。
さらにパーティー最少人数での最速でもあった。
ギルドでは歓声の声が上がった。
急に等級を上がる事を怪しんでいたギルドの人々。
等級が上がると、次第に羨望の眼差しへと変化していった。
コロコロと態度を変える
害がある訳でないので、今は特に気にせず放置している。
前のパーティーを私は脱退した後、すぐに強制解散となっていたので、
少しだけ驚いた。結構散々な目にあったらしいけど。
まあ、やりすぎたってことね。
裏でコソコソやってたみたいだし、自業自得なので同情はしない。
ギルドの人たちにはカレンに何かしたら許さないとは言っているものの、
自分の時の事を考えると、鍛えた方が良いのかと思い始めた。
確認を取って見ると、カレンも強くなりたいと言っていた。
仕事の合間、時間が余った時に魔法や体術、剣術を教えている。
カレンは覚えが早く、とても優秀。
この調子なら一、二か月もあればソロでもレッドになれるだろう。
本日も依頼を受け、馬に乗って目的地へと向かう。
この馬は魔馬と言って、通常の馬より速く、持久力もある。
ただし、気性が荒く中々人に懐かない。
相性の良い魔馬を探すのに時間がかかった。
魔素を豊富に含んだ牧草が大好きなお馬さん。
凄まじい速度で大地を駆け抜ける。
その途中で馬車が止まってた。騎士たちと盗賊が倒れていた。
残りの盗賊は逃げたのか、生きている者は居ない。
しかし、騎士たちは戦闘態勢を解いていなかった。
巨大な狼の魔物が群れを引きつれ、襲っていたからだ。
「クリステル様! 御下がりください……ッ」
「どうして……こんなことに……」
「す、隙あらばクリステル様を逃がせ!」
「は、はい!」
私とカレンは自然と馬を加速させた。
まだまだカレンでは、あの巨大な魔物を倒せないだろう。
一対一なら小さい方には勝てそうだが、状況が状況。
騎士たちが急接近してくる馬に気が付いた。
「副団長! あれを!」
「子供ぉ! と女ぁ!」
「おい! こっちに来るな!? 危険だ!?」
私は馬から飛び降り、一度地面を足に力を込める、地面が沈み穴が空いた。
地面を蹴り、勢いよく前方に跳ぶと、巨大な狼に跳び膝蹴りを喰らわせて吹き飛ばす。
「あの巨体が吹き飛んだだと!」
それに怯まず襲って来た狼。
騎士たちがそれを撃退する。
しかし、数が多く。クリステルと呼ばれた女性に襲い掛かった。
カレンが剣を使い、狼を受け止めた。
同時に私はその狼に拳を当てて絶命させた。
遠くの巨大狼には風の刃を飛ばす魔法、
《ウインドスラッシュ》で止めを刺す。
残りの小さな狼たちは騎士たちが倒していた。
副団長率いる騎士団がお礼を言って来た。
彼女は伯爵家のご令嬢だそうだ。
彼女は力強く両手でギュッと私の手を握って来た。
一生離さないんじゃないかと勘違いするほどだった。
彼等は安全な道を通ったが、盗賊に襲われる。
それは何とか撃退した。
しかし、さらに運悪く巨大な狼と遭遇していまったらしい。
生きている者たちを回復魔法で治癒すると、
その回復量に驚いていた。
傷は完治し、体力も戻ったからだろう。
馬は一頭も残っておらず、馬車が引けない。
街が近いらしく、馬で応援を呼ぶこととなった。
私とカレンが二人乗り、
副団長と令嬢が二人乗りで街へと向かう。
私はカレンを抱えて走っても良かったのだけど、
人数が多く、半端に減らすと残った者が辛い。
街に着くと、馬は彼等へ貸した。
後で帰って来るから、
ここの厩舎に預けて欲しいとお願いした。
ちょっと疲れるけど、
目的地まで走っても行けるからだ。
走り出すまで副団長には信じてもらえなかった。
カレンを抱えて走ろうとすると。
令嬢が慌ててお礼の言葉を述べ、
今度お礼をしに伺うみたいな事を言っていた。
気を使わなくていいと言ったが、それは断られた。
埒が明かないので、適当に待ってますと伝えると、
彼女は喜んでいた。
巨大な蛇の魔物を討伐だ。
普通の剣を抜いて対峙する。
ある程度攻撃し、適度に弱らせた。
その後、カレンになるべく戦闘経験を積ませるために、
支援に回り、私は致命傷になる強力な攻撃だけを防ぐ。
攻撃は上手く避ける事が出来ていたが、
体力面で負けており、後半になると攻撃に当たり出す。
しつこい噛みつきの攻撃、カレンは足が終に止まった。
私はそれを片手で止める。
「カレン、お疲れ様。後は私がやるわ」
「うん!」
私は魔物を切り刻んだ。蛇はなす術も無く一瞬で絶命した。
被害に合った村とギルドにも報告するために帰還する。
先ほどの街。馬はちゃんと厩舎におり、
カレンと嬉しそうにじゃれ合うのであった。
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