異変
「……鮎川さん。」
「へへ、びっくりした?」
――おい!!
一気に力が抜ける。
極限まで追い詰められた直後にこの気の抜けた笑顔を見せられて、膝から崩れ落ちそうになった。
「何やってるんですか…」
「ごめんごめん。」
そう言いつつも、人が来てくれた事にホッとしていた。
「はいこれ、シール剥がしスプレー。
あとこれ、まだお昼まで時間あると思うけど。辻さんには内緒でね」
鮎川はポカリと、比較的こぼれなさそうな菓子パンが入ったレジ袋を渡してくれた。
様子見ついで、動けない朋美の代わりにダ○ソーとコンビニに寄って来てくれたらしい。
そういえば朝から何も食べていなかった。
「悪いけどすぐ行かなきゃいけなくて。それで剥がれそう?」
「はい、ありがとうございます。」
ニコリと微笑んで戻ろうとする鮎川の視線が、ふいに朋美の背後へと移った。
「あー、そこ建付け悪いんだよね。開かなかった?」
「え?」
振り返ると、さっき開けた筈の雨戸の左端が、再び閉まっていた。
――――え?
そんなはずはない。確かにこの戸さっき……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます