第4章 通信制に集う若者
第46話 通信制に集う少年少女たち~不登校の学習支援から
本章では、私が家庭教師として関わった生徒の例を述べさせていただく。
私がこれより述べる4人はいずれも、高校に一度は入学したものの転学もしくは退学後の再入学という形で、広域型の通信制高校に来た生徒たちである。だが最近では、少し様子が変わってきた。前にも述べた通り、この種の学校は中退者だけでなく、中学生で不登校になった生徒や、全日制高校になじめない生徒たちの進学先としての役割も担うようになった。今後、その動きが止まることはないだろう。
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2018年7月下旬のある日。
約5年ぶりに高丸慎太君から電話がかかってきた。中断していた約1年間を除き、私が足掛け4年、家庭教師指導のために通っていた先の生徒であった。
彼の家は、岡山県南部のある駅前のマンションである。父親は医師、母親は薬剤師で、それぞれ県南と県北の県立の名門普通科高校の卒業生である。父は国立大学の医学部、母は同じく薬学部出身。彼にはほかに妹がいる。
彼は中学時代あることがきっかけで不登校になり、そのため、母の実家のある津山市に本社事務所を構え、主として岡山県内全域を対象としている家庭教師業者である備作アカデミー(仮名)に学習指導を依頼し、そこに私が通うことになった。
中3の5月頃から1年、まずは学校の勉強の遅れを取り戻すべく基礎からのやり直し。彼の自宅に私は通い、中学内容の基礎固めから、国語、数学、英語の主要3教科の入試対策までを担当した。
かくして彼は、ある私立高校に合格し入学した。
だが、入学数日で退学してしまった。
1年間引きこもりのような状態ですごした後、彼は私の紹介で岡山駅前に校舎を構えている株式会社立の通信制高校・D学院に再入学した。
彼のケースは転編入ではなく「過年度卒」の入学者というわけである。
その校舎は、駅前のビルのテナントの一角にある。
一見すると他の資格予備校等の学校の校舎とあまり変わらない。
だがこれが、典型的なこの種の高校の校舎なのである。
これまで不登校だった彼も、この高校には、3年間通い続けた。
一方で私の家庭教師指導も継続することとなったというより、ここから本格的に再開となった。
それから3年間、私は彼の自宅に赴いてはレポート対策を中心に指導した。
大体90分から120分、長くて150分程度で月に6回前後指導に出向いた。
私自身は自動車の運転免許を取得していない。また行く場所も郊外の駅前ということもあり、岡山駅からその駅までの回数券を常々買って通っていた。
もし私が運転免許を持っていてクルマがあったとしても、その場所なら列車で通ったことだろう。
(つづく)
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