第18話 退学「屈」・後日談
私は高校を2回「降りた」ことになる。
一度目は、高校入試に不合格となり、再受験を拒否した時。
二度目は、大学に合格して定時制高校を「退学」したとき。
最近ではこんな言葉もあるそうで、それに従えば私の場合、
「岡山県立烏城高等学校 3年時満期修了退学」
とでもなろうか。
しかもこれで、私には中退歴が2つできた。
一つは、父方の祖父母の相次ぐ死により、養護施設に行くために地元の幼稚園を「中退」したこと。
もう一つは、この「高校中退」。
ただし、後に私は岡山大学を卒業したから、学歴は「大学卒業」となる。
・・・ ・・・ ・・・・・・・
退学届の封筒の「誤字」の話をしたが、後日また、誤字で一波乱があった。
大学院入試のとき、民事訴訟法の答案に「紛争」と書くところをひたすら、「「粉」争」
と書いてしまったのである。
お世辞にも出来のいいとは言えない答案に(外国語の出来は言わずもがな)、この誤字と来たものだから、面接のときに民事訴訟法の教授ばかりか、もう一人の憲法の教授にもあきれ返られた挙句、知己の司法試験受験生諸氏の前でも、思いっきり笑いものにされてしまった。
「わっはっは、そりゃあ、君、粉と書いてコナゴナやナ~(一同爆笑)」
たまたま司法試験受験生のたまり場に来られていた行政法の教授(故人)に至っては、こんなことを言われてしまった。
これで周囲の笑いがさらに増したことは言うまでもない。
かくして、大学院入試は粉と書いてコナゴナになりましたとさ。
・・・ ・・・ ・・・・・・・
烏城高校は厳密には卒業生ではないし、こちらからして欲しいなどと思ったことはなかった。
にもかかわらず先方からは、大検から大学に現役で進んでの中退だから「名誉卒業生」であると、斉木先生の後に来られた教頭に言われて恐縮しきりだった。
まさか「退学届」ではなく「退学「屈」」なるシロモノを出したからでもなかろうが(封筒に関する限り、今に至るまで烏城高校には「退学届」を出していないことになる)、現在烏城高校の同窓会からは、卒業生として扱っていただいている。
こんなありがたいことはない。
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