第14話 本当に必要なものは何か? 1
今思えばそうではなかったと言えるが、当時はそうではなかった。
定時制高校に通うのは時間の無駄だと当時は思っていた。
そんなことに時間を割くヒマがあれば自分で勉強した方が正味だと。
それは確かにそうだったろう。
もっとも当時、定時制高校にいるからといって仕事をしていたわけではない。
一時期、足掛け2か月ほどコンビニエンスストアでアルバイトをした(1日4時間程度)ことはあったが、その程度。
後に私の異父妹がパートに出るにあたってアドバイスできる材料となったから、これもまた、無駄ではなかった。
私はなんと、自分が働くわけでもないのにコンビニの面接に30年ぶりに行く羽目となったが、当時とは状況はかなり変わっていた。
・・・ ・・・ ・・・・・・・
当時の烏城高校は修業年限4年。
学校生活を大事にして云々というなら大検など受検せず、ここで「みっちり」勉強すれば、といっていた人もいた。
そういう人間に限って「友達ができたか」とか何とか、どうでもいいことを聞いてくる。幼稚園児や小学校の低学年でもなかろうと思っていたが、それも適当にやり過ごした。
残念ながら、当時の定時制高校の授業だけで国立大学に合格できるような学力は身に着けようがなかった。
模試を課されるわけでもなければ、補習があるわけでもない。
そんなところでみっちり勉強? 片腹痛いわ、このド素人が。
私は高校受験に落ちて以降、人間がかなり変わったように思う。
それまではわりに人のことを素直に聞く方だったが、これ以降、幼少期から潜在的に持っていたであろう「人間不信」が大きく頭をもたげてきた。
確かに私の周りには、「ヒト」はいたが、私にとって必要な「人間」は、当時ほとんどいなかったと言ってもいい。
私自身は精神的にも社会的にも「孤独」を強いられたが、そこで私は、格段に精神的・社会的強さを身につけられたと言えばそうだ。
だからと言って、これは必要なものだったのかと言えばどうか?
はいそうですなどと軽々しく答えられるようなものでは、決してない。
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