第3話
魔法の塔に行くのはリチャードの国にある時空のゲートを使っていかなければならなかった。リチャードの家に集合するためにママにお出かけする手紙を学校からだして、アリーと共にアリーの家に行った。
アリーお家は無機質な宮殿のようなところだった。アリーは将軍の貴族の娘で厳しいのだ。でも今は仕事で家族がいないので使用人と共に暮らしている。使用人に私今日はマリーの家に泊まるわ。と伝えると、使用人は下がっていった。
「私の洋服と魔法の本を持っていきましょう。後お金を持って魔法道具をリチャードの国で買ってからいきましょう。何があるかわからないから。」
アリーは心配性なのかどんどん荷物が多くなっていく。
「アリーそんなに持てるの?」
「大丈夫よ。今から魔法を使って1つのカバンに全部入れるから。」
アリーはそういうと
「ラハージ」
と呪文を唱えた。するとみるみるカバンに吸い込まれて全ての荷物がカバンの中に入ってしまったではないか。
「すごい」
私は感心してつい手を叩いてしまった。アリーは少しそっぽを向いて照れてしまった。
リチャードの国までは馬車で行った。朝に乗ったペガサスの馬車だ。
「リチャード来たよー」
そう言って窓から声をかけると退屈そうなリチャードが出てきた。
「街に行くなら早く行こうぜ。」
私とマリーはリチャードを追って箒を跨いだ。実はさっきアリーの家で箒の練習をしてから来たのだ。だから思ったより遅かったのだろう。私が箒に乗れることにびっくりしたようだったが、リチャードはすぐ前に行ってしまった。
街はとてもにぎわっていた私の背たりより高いテントの下で物を売っている人がたくさんいたにぎわいのある街を少しあけて、水どおりの少な、場所に行くと、小さなお店があった。中に入ると、武器や見たことのない道具がならんでいた。店主と思われる人が
「これはこれはチャード様、今月は、どんな物を買かれますか。」
と声をかけてきた。
「今日は時空の塔に行くから必要なものが欲しいんだ。」
そうすると店主は裏に戻り荷物を持ってきた。
「怪我を治す薬、剣、鏡。」
「ありがとう」
リチャードは頭を下げて出ていった。
「危険なところなのにあっさりね。それにお金は払わなくていいの。」
「いいんだ。鏡を持たせられたから大丈夫だろう。」
それから街ハズレまで歩くとゲートが出てきた。これに乗って一番近くの島に行く、そのあとは箒で移動するしかないのだ。もう夕方なので島で一泊してから行くことになった。
島に着くとすぐに宿を見つけ3人で泊まった。朝になるとすぐに3人で塔へ向かった。塔は海に囲まれていて廃墟のようだった。
島に降り立つと大きな唸り声が聞こえた。
「ここ何かいるの」
「言い伝えではドラゴンが住んでいてその影響で人が住んでいないらしわ。そして晴れないの。でも、ドラゴンを見た人はいないの。」
足がすくむような嫌な霧が漂っている。
「手を繋いで進みましょう。」
深い霧の中を進むと塔の入り口に辿り着いた。ドアを開けると屋敷のようなただの空間が広がっている。
「誰か来たのね」
そう声がしたかと思うと一瞬で目の前に女の子が立っていた。
「こんにちは何のようかしら。」
「人がいるなんて聞いたことないわ。」
「みんなそういうのね。今日はどうしてここに来たの」
「杖を探しに」
「ここにはないわ。残念だけど。」
そういうと少し困った顔をして俯いた。
「あなた一人なの?」
「そうよ。少し遊んで行かない。」
「こんなところに子供1人なんておかしいわ。」
今まで会話していたアリーが言った。
その女の子は黒いワンピースを着ていて紫色の瞳をしていた。
なんだか変な匂いがする。私だけなのかな。
そう思っていると女の子は
「お茶を出すわせっかく来てくれたんだもの。」
そう言って部屋から出ていった。
「ねえここ変な匂いがしない?」
そう聞くとアリーとリチャードは首を振った。
「そんな匂いしないわ。花だって飾ってあるのよ。」
そう言ったので私はアリーが刺した指の方を見たが花瓶があるだけで花はなかった。
「そんなのないわ」
「何言ってるのよ」
呆れた声でアリーが答えた。何かがおかしい。
すると部屋にさっきの女の子が帰ってきた。
「私はカンナカムイよ。」
そう答える私はその女の子にとても違和感を感じた。
なんだろうこの違和感…。
するとすぐに気がついたこのこ目の中の瞳のなかも縦に瞑っていることがわかった。この子人間じゃない。
「あなた何者」
私は初めてその子の会話をした。
「当ててごらんなさい。」
私は今までの話を思い出した。この場所に人は住んでいない。ここにはドラゴンがいるとされているが誰も見てはいない……。
「あなたドラゴンね。」
そういうと彼女は高笑いした。リチャードとアリーはただびっくりしている。
「あなた初めて気がついたわ。褒美になんかあげる。でも私の話に付き合って。私寂しいのよ。ここにずーっと一人遊びたいの。でもみんな私に気づかず帰って行くわ。」
「遊ぶって何するのよ。」
「かくれんぼかしら。」
そう言って女の子は姿を消した。「10分で見つけて。」とどこからか声がした。
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