第565話 見合い話2

「ユリ、シミが落ち込んでいるけれど、大丈夫?」

 皆と暮らしている屋敷、“秘密基地”に戻ったシミリートとユリアンネ。

 ユリアンネは早速写本に取り掛かっているが、シミリートは落ち込んだままのようである。心配したカミラが聞いてくる。


「実はね……」

「ははぁ。それは、あれね。きっと衛兵団の先輩達に入れ知恵をされたのよ」

「やっぱりそう思う?」

「三文芝居の定番じゃない。でも、そうでもしたいシミの気持ちも理解してあげなよ。シミのこと、憎からず思ってはいるんでしょう?」

「まぁ昔からの仲間だし」

「ではなく、男女の相手として。あれだけ一途に好意を示して来ている男よ」

「うーん、今はまだそういうのは良いかなと」

「そのうち諦められて、他の子のところに行ってしまうかもよ」

「そうなったらそうで」

「シミも浮かばれないわね」


「そういうカミラはどうなのよ。ジモとうまく行っているの?」

「え。何か反応が良く分からないのよね。最近はドロテアに料理とか色々教えたり……」

「悪気はないように見えるけれど」

「だから余計に腹立たしいのよ。ドロテアが悪いわけでもないし」


「そこ、黙って聞いているゾフィだって。ヨルクはいつまでも子供の反応じゃないの?」

「う!そうなのよ。この前も屋台に2人で買い食いに行くとかはしているけれど」

「まぁ、そんな感じなのよね、この年齢の男どもは。そういう意味ではシミは前向きなのに」

「私のことは良いのよ」

 屋敷の中で、女子部屋に籠った女性陣3人は“恋バナ”をしているが、今一つ盛り上がっていない。

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