第536話 王国軍の到着3
正体を知った上でも、年下の弟のように感じて来たデレックの涙ぐんだ顔には弱い。
「承知しました。微力ながら」
王国軍が接近して来て混乱が始まると言っても、領主館に侵入するのは色々と力不足と思われる。また何かあったときに単なる冒険者パーティーだけでは不安である。
「他にも何人か連れて行っても大丈夫でしょうか?」
「シミリート達が信頼できるという人物という前提で、2〜3人ならば」
「シミ、具体的にはどなたに?」
「腕が立つ道場の人達、カミラが攫われたときのドミニコラ師範代とか?」
「いや、腕もそうだが、今回は立場が大事だろう」
「王国魔術師団のフェルバー中隊長やニキアス副官?」
「そうだ、男爵でもあるフェルバー大尉と副官のニキアス少尉。それと、可能であれば衛兵団の役職のある人」
「マンファン分隊長って軍曹だっけ。もっと上が良いわよね」
「でも、俺の伝手の範囲で、しかも一緒に行動をするならばそこまでかな」
シミリートとジーモントの2人が手分けして打診に走る。
「居なくなったことを気づかれたくないし、このようなときに王国魔術師団がいくつかの宿屋に分散しているのはまずいだろうから」
「お気遣いありがとうございます」
フェルバーとニキアスは同行に了承してくれた上に、秘密基地での留守番を残りの団員が行うという。
「治安維持の本業のためにも、うちの衛兵達は警らに注力しますので、同行するのは私だけで」
マンファンが、班長のセレスラン達に残業務の指示を割り振ってから駆けつけて来た。
「では、出発することにしよう」
馬車では目立つので、騎乗のみで出発する。それも3班に分かれて、トリアンでも東の港町の方に向かう。
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