第535話 王国軍の到着2
「何だ、みんなわかっていたのか?」
デレックは自分の正体を告白したのに、反応が薄い皆に驚くが、皆が苦笑いしながらうなずくのを見てため息をつく。
「まぁ、ならば話は早い。今から私について来て欲しい。信頼できる仲間が必要なのだ」
「ここは他所に比べて安全と思いますが、どちらへ」
この場はと、シミリートが代表して答える。椅子から降りて床に膝をついて話を聞く体勢になり、頭を下げたままである。
「話し難いから、みんな椅子に座り直して欲しい」
そのまま話を続けるつもりはない様子のデレックの言葉に従い、椅子に座る。
「北の小山の領主館である」
「!」
誰も声を出さないが、ある意味で敵の本拠地である領主館にこの少人数で向かったところで捕まってしまい、独立派の思い通りにしやすくするだけと思ってしまう。
「もちろん、真正面から向かうわけではない。領主の限られた家族だけしか知らない秘密の道があるのだ」
なるほどと思ってしまうが、つい聞いてしまう。
「その道は、当然に叔父にあたるインガルズ様もご存知なのではないでしょうか」
「道は2つあり、直系にしか伝えられない方が存在するのだ」
「承知しました。それで、領主館に向かい、何をすれば良いのでしょうか」
「父上を救い出す!」
「……。お気持ちはわかりますが、市井にも病床と伝わっております。そのような方を連れ出すことは難しいかと」
「だからこそのユリアンネ、そなたの力を借りたい。そなたの治癒の力に期待する」
「……。怪我や病気にならばポーション等は効果がありますが、噂の様子ではお年を召されたことが主な原因とのこと……」
「それでも連れ出す程度の回復ができるのではないか?実際に診て判断して欲しい。今のままでは、王国軍が到達したならば父上は……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます