第534話 王国軍の到着
「シミ、どうだった?」
「いや、また西から王国軍が到着したって狼煙があったらしい。それで貴族街の方も慌ただしくなっているようだが、大抵は前のときのように空振りじゃないかと思っているみたいだ」
「そう。で、小山の付近で発見されたらしい、あのワイスプロット中隊長達っぽい騎士団はどうしたのかしら」
「そっちがまた見つかったのかな。でもまた西に戻ったりするかな」
「ま、何にせよ、そろそろ落ち着いて欲しいわ。こちらの名無しのデン様も、留守番ばかりで不満も溜まっているみたいだし」
オオカミ少年ではないが、今回の狼煙を本物と思えなかったのは“選ばれた盟友”も同じであった。
「シミ、みんなは揃っているか?」
「班長、どうしたのですか?」
「本当に王国軍が到着したみたいだ。西で陣を張っていた迎撃軍と交戦状態になったらしい。トリアンの街中の治安も心配だ。絶対に外に出ず、屋敷の中でこもっていてくれ。デン様の護衛任務を頼む」
「わかりました!」
セレスランの言葉を仲間にも伝えるとともに、デンを名乗るデレックとお付きのゼバスターにも状況を報告する。
「いよいよか。父上達が心配だな」
「はい。ですが、館には……」
「秘密の道を通って向かおう。シミリート達を呼んで欲しい」
食堂に集められた仲間達。
「今まで黙っていて申し訳ない。私の本当の名前はデレック。そう、デレック・テンフルト・フォン・ストローデであり、侯爵家の嫡男である」
既に分かっていたので驚きもしないユリアンネ達だが、今のタイミングでそれを明かしたことによる続きが気になる。
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