第506話 再度の大捕物

「今度の大捕物はトリアン北部の高級街になるから、北部旅団にも話を通させて貰っている。我々東部旅団だけで変なことにならないよう支援の方々が来られている。粗相の無いようにな」

「衛兵団が、冒険者たちの力を借りて捕物をするとは。話には聞いていたが、大丈夫なんだろうな」

「はい、彼らは信頼がおける者たちです。しかも大変役に立ちますので、どうかしっかりご覧ください」

「今回は証拠の確保から事前調査まで全て東部旅団が段取りしているからの異例の対応であることを忘れないようにな」

 同じ衛兵団でも北部旅団は貴族街に隣接する高級街が所掌になるため、他の旅団より格上の意識が高い。実際に貴族の子弟の団員も多い。


「ニキアスさん、すみません。冒険者のふりをして貰っているから余計に、なんかあんなことを言わせてしまって。それに実際は支援というより目付ですよね」

「シミリートさんが気にされることではありませんよ。それにあちらの立場も分かります。自分たちの所轄エリアにおいて、衛兵が指揮しているのに何か問題が起きると責任がきますからね」

 ニキアスは相変わらず組織の中の苦労人なんだと思ってしまうシミリート。


 トリアン北部の高級街で“闇ギルド”が拠点にしているのは商店などがない、大きな屋敷だけが並ぶ高級住宅地の一角であった。何かあったときに逃げ道を確保するためなのか、3方面が道路に面する本当の角地であった。


「では、囲め!」

 屋敷を取り囲むことも見られると何か事前準備される可能性があるため、少し手前から同時に接近する。道路のある東・南・北方面から接近するが、特に隣接する屋敷側に逃げたり戦火が及んだりしないように西側に近いところには人を多く手配してある。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る