第492話 踏み込み2

 ユリアンネはシルヴィスの視点で見ており、踏み込んだシミリートに物陰から斬りかかろうとする男を発見し、その背中にシルヴィスを突っ込ませる。

「ユリ、助かったよ」

 シルヴィスに合図をし、重傷になった男から武器だけを取り上げて、先に進むシミリートとドロテア。

 シルヴィスが案内した扉には廊下側から頑丈な鍵がついている。

「これだな!」

 ショートソードの武技≪斬撃≫を何度も発動し木扉を壊そうとしていると、奥からならず者が2人、それぞれブロードソードとダガーを構えて走ってくる。

「お前、何をしている!」

「死ね!」


 怯えたドロテアが屋内であることを忘れ≪火炎≫をブロードソードの男の方に発動してしまう。

「テア、焦らなくて大丈夫だ。任せておけ」

 シミリートの発言で、火魔法を使ってしまったことに気づくドロテア。

 シルヴィス経由で状況を把握しているユリアンネはダガーの男の方にシルヴィスを突撃させる。

「何だ、コイツ!」

 見たことのない銀色の小さなワイバーンのようなものが突進してくることに焦る男の隙をついて、シミリートが切りつける。

 服に火がついて慌てていた男が上着を脱いで落ち着いたときには、ダガーの男は倒れており、シミリートがショートソードを突き出していく。自分は服を脱ぐためにブロードソードも手放しているので、それを拾おうと目線が逸れた隙にシルヴィスの突撃を受け戦闘不能になる。


 この2人からも武器を取り上げて、先ほどの続きの扉の破壊をして、部屋に飛び込む。

「うっ」

 半裸の女性が3人、麻薬中毒なのか虚ろな目線で粗末なベッドに座り込んでいる。

「被害者発見!安全確保!」

 シミリートが大声で叫ぶ。

 その後は、別の敵が来ないことを警戒しながら、倒していた男たちを縛り付けていく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る