第446話 トリアンへの帰着2
「お母さん、ただいま!」
「ゾフィ?ゾフィ!おかえりなさい!」
それぞれの実家に順番に帰って行くつもりだが、最初はゾフィの皮革屋である。
「みんな元気そうで良かったわ」
「お母さん、いろいろあったみたいだけど大丈夫?」
「知っていて帰って来たの?王都で安全にしてくれていたら良かったのに」
なんだかんだとゾフィが家族の無事な姿に泣いているのを見て、
「じゃあまた明日に」
とそっと離れていく仲間たち。馬をつなぐ場所は無いので、ゾフィの乗馬のハンクは連れて行く。
その後のカミラの実家の工芸屋でも同様である。ただ、カミラの母から言われた言葉が何となく引っ掛かる。
「ユリちゃん、うちに来てくれても良いからね」
ただ、カミラが久しぶりの家族と喜んでいる姿を見て、聞き返すことなくヨルクの実家に向かう。
ヨルクの実家の鍛冶屋では、ヨルクの腹回りがさらに太くなったことに対して笑っている家族に軽く頭を下げるだけで挨拶して次に向かう。
「お父さん、お姉さん、ただいま!」
ユリアンネの養父ラルフの薬屋“木漏れ日の雫亭”である。
「ユリ!おぉ、おかえり!」
ラルフの声だけでなく、アマルダは声にならず泣きながら抱きついてくる。
「元気そうで良かった」
ユリアンネの言葉に対して、一瞬二人の顔が暗くなる。
「ユリ、この後は高級街か?俺たちも一緒に行くよ」
急いで店を閉める作業をするラルフに違和感を感じるが、いま聞いても答えてくれない雰囲気なのでそのままにする。
港街に近いここから、シミリートの実家の武器屋などもある高級街には徒歩で1時間ぐらいである。せっかく乗り手のいない馬もいるが、ラルフとアマルダが馬に乗り慣れていないので、それぞれシミリートとユリアンネの大きな戦馬(バトルホース)に二人乗りして移動することになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます