第445話 トリアンへの帰着

「やっと帰って来たんだな」

「そうは言ってもここら辺ではまだ実感がわかないわ。はやく家に帰りましょう!」


 トリアンに着いても、一番近い西門は商業区であり護衛業務もしていない騎乗の冒険者7人がそのまま城門を通られるか不安である。王国に対して独立宣言を行ったストローデ領の領都であり、王国の間者などを厳しく確認する可能性もあり、面倒に巻き込まれる可能性がある。

 そのため、一般住宅が多い南門まで遠回りしてきた。また7人は多いため、馬の大きさが違う戦馬(バトルホース)に乗ったユリアンネ、シミリート、ドロテアの3人とその他の4人に分かれて冒険者証を提示して門を通り、少し東に向かったところで合流したのである。


「無事に門も通れたし、この辺りでは内戦のあとも無いのは安心したわ」

「そうだな、南エリアはダンジョンからの出口の方だから冒険者ギルドに近いし、冒険者や一般人が多いから、政治にはあまり関係ないだろうからな」

 つまり、北の小山にある領主館から貴族街に続く北側の高級街は、内戦関係の被害もあり得るということである。シミリートとジーモントそれぞれの実家の武器屋、宿屋、そしてユリアンネの住み込み見習い先の“オトマン書肆(しょし)”に対する不安は残る。


「大丈夫だって。ほら、もうすぐ港街よ。この辺りもみんな元気そうじゃない」

 何となく街を歩く人数が少ない気がするが、誰もカミラの言葉を否定しない。

「あぁ、潮の香りがして来て、この風景。帰って来たのよ」

「本当だな。帰って来たんだな」

 この街の出身ではないドロテアは特に実感はないが、みなが嬉しそうであり、それだけで自身も喜ばしい。

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