第444話 トリアンの手前
モンブロワの街から東へ向けて出発し森の中で一度野営をする。翌日さらに東に向かうと森は終わり草原が広がる。この向こうに領都トリアンが待つはずである。
「いったんここで休憩にしましょう」
ニキアスが22人の騎馬集団に停止の声かけをする。
「シミリートさん、皆さん。ここまでありがとうございました」
中隊長のフェルバーが“選ばれた盟友”の7人にお礼を述べ、報酬の貨幣が入っていると思われる布袋を差し出してくる。
「ここで良いのですか?トリアンまでもう少しありますが」
「はい、ここから先は草原で隠れる場所がありませんので。我々は遠回りをして海沿いからトリアンに接近することにします。もし何かあればトリアンの南東の海沿いに来てください」
「……わかりました」
積極的に敵対するつもりはないが、今後のトリアンやストローデ領の行動によっては王国の魔術師団員たちと戦うことになる可能性もある。フェルバーもニキアスもわかった上でトリアンまでの同行を依頼して来ている。
しかし、トリアン出身のシミリートたちから引き続き情報を入手できる期待も込めて、自分たちとの連絡方法を伝えていることが分かるユリアンネたち。
「飯、本当に美味かったよ」
「怪我の治療、ありがとう」
「山脈を無事に越えさせてくれてありがとう」
他の団員たちともそれなりに仲良くなっており、別れを惜しむ声もかけて貰えるが、これ以上は同行することはできない。
「こちらこそお世話になりました」
“選ばれた盟友”の7人は時々振り返り頭を下げながら、東に馬を進める。
魔術師団員たちはある程度まで見送った後は南に向かったようである。
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